• プレスリリース

旭化成、バイオマス原料由来のポリアミド66の実用化検討加速へ

米国Genomatica社とバイオHMDに関する戦略的パートナーシップを締結

2022年3月16日
旭化成株式会社

旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:小堀 秀毅、以下「当社」)は、米国のGenomatica, Inc(本社:米国カリフォルニア州、CEO:Christophe Schilling、以下「Genomatica社」)と、Genomatica社が現在開発中の「バイオマス原料をベースにしたヘキサメチレンジアミン(HMD)」(以下「バイオHMD」)に関する戦略的パートナーシップに合意したことをお知らせします。

1. 背景

当社は、現在、化石燃料由来のHMDを原料とする耐熱性や強度・剛性に優れたエンジニアリングプラスチックであるポリアミド66※1(通称PA66、またはナイロン66。当社商標「レオナ™」※2)を製造しています。ポリアミド66は、自動車や電子製品向けの樹脂部品、エアバッグ向けの基布などの幅広い用途において使用されており、今後も世界的な需要は増加すると予想されています。一方、カーボンニュートラルの実現に向けて、化石燃料由来の化学製品についてはGHG排出量の削減という社会的な要請も高まってきており、その解決方法に対する関心が高まっています。

2. 当社の取り組み

このような状況のもと、当社は、バイオマス由来原料を利用したポリアミド66(バイオポリアミド66)の検討を加速するため、バイオテクノロジーを用いた多様な化学品の製造技術と商業化実績を有するGenomatica社から、開発の初期段階からバイオHMDを優先的に利用し、ポリアミド66用原料としての可能性を評価・検討する権利を取得しました。今後は、このパートナーシップにより、バイオHMDと当社が有するポリアミド66のポリマー重合技術を活用し、他社に先駆けて自動車やエレクトロニクス用樹脂部品、産業用途の繊維素材向けにバイオポリアミド66を実用化することを目指します。
また、今回のポリアミド66を含むエンジニアリングプラスチックのバイオマス由来原料化に加え、今後はリサイクル原材料の積極的な活用を通じて、お客さまにとってのグローバルサステナブルパートナーとなることを目指してまいります。

このバイオテクノロジーの活用は、当社グループが目指す2050年までのカーボンニュートラル実現に寄与するものと考えており、当社自身のGHG排出量を削減し、お客さまの製品のライフサイクル全体での環境負荷の低減に貢献することも期待しています。

ご参考

Genomatica社の概要

Genomatica社は、バイオテクノロジーを活用し、現在多岐に使用されている化石燃料由来の製品や化学品を、より地球にやさしい製品へと作り変えています。同社は、化石燃料に代わり植物または廃棄物を原料とし、各種産業で用いられる化学品をより持続可能なものにするための技術開発、スケールアップを実施しており、ブランドやサプライチェーンの気候変動に対する目標達成および透明性の確保に貢献しています。また、Genomatica社はプラスチックや化粧品に使用されるより持続可能な化学品を既に商業化しており、現在、植物由来ポリアミド、家庭用洗剤などの開発に取り組んでいます。

  • ※1ポリアミド66について
    ポリアミドは、化学構造から主にポリアミド66とポリアミド6に分けられます。ポリアミド66はより耐熱性や強度に優れていることから、自動車や電子部品など工業部材向け需要が多く、ポリアミド6はアパレル向け繊維の需要が多いです。

  • ※2「レオナ™」について
    当社は、HMDを原料とするポリアミド66、ポリアミド6I、ポリアミド612に加えて、ひまし油といった植物由来の原料をベースにしたポリアミド610などのエンジニアリングプラスチックをアジアで唯一、原料から製品まで一貫生産するメーカーであり、自動車や電子製品向けの樹脂成形材料、エアバッグ向け原糸・基布、タイヤコードなどお客さまのニーズに応じた最適な素材を提供しています。

以上