旭化成エレクトロニクスのオーディオDSP、Diracのオーディオ補正技術に対応
当社独自の音響処理に加え、より自然で臨場感のあるサウンド体験を実現
2025年5月19日
旭化成エレクトロニクス株式会社
旭化成エレクトロニクス株式会社(本社:東京都千代田区、社長:篠宮 秀行、以下「当社」) は、当社のオーディオ用デジタルシグナルプロセッサー(オーディオDSP)が、オーディオテクノロジー企業Dirac(本社:スウェーデン・ウプサラ市、以下「Dirac社」)の先進的な音響補正ソフトウェア「AudioIQ」に対応可能となったことをお知らせします。この連携により、当社のオーディオDSPを採用する自動車製品で、これまで以上に自然で臨場感あふれるサウンド体験を実現するとともに、車種ごとの音響チューニングを含めた開発工数の削減にも貢献します。
Dirac社が提供する音響補正技術は、自動車、スマートフォン、ヘッドホン、スピーカーシステムなど、幅広い分野で高い評価を得ており、車内エンターテインメントが重視される電気自動車(BEV)でも採用が進んでいます。また、当社のオーディオDSPは20年以上にわたり累計2億個以上出荷され、自動車等のオーディオ・ボイスソリューション(下記参照)として広く使用されています。今後、これらのソリューションに加えて、Dirac社独自のアルゴリズムを活用した高度な音響最適化が可能となり、音の透明性や空間表現の向上に貢献します。
なお、Dirac社の「AudioIQ」は当社フラッグシップ製品である「AK7709」をはじめとした自動車向けオーディオDSPで動作させることが可能です※。
- ※動作が可能なオーディオDSP製品・ソフトウェアの組み合わせは当社にお問合せ下さい。
- フラッグシップオーディオDSP「AK7709」
Dirac社との連携による新たな提供価値
- 1.臨場感のある音響環境の提供
フラッグシップオーディオDSP「AK7709」は「AudioIQ」を含めたDirac社の様々な音響補正技術を全て搭載可能です。Dirac社の技術を最大限に発揮し、全ての搭乗者に透明性と臨場感あふれるサウンド体験を提供します。 - 2.開発工数の効率化
Dirac社の高度な半自動チューニング技術は、従来、数か月かかっていた手動の音響チューニングから大幅な作業工数の削減を実現します。また、オーディオDSPの動作については、当社が技術サポートを行い、迅速なシステム開発を支援します。 - 3.当社の多彩な音響ソリューションとの相乗効果
当社が従来より提供しているオーディオ・ボイスソリューションをDirac社の技術と組み合わせて使用することで、さらにその音響効果を向上させることが可能です。
当社のオーディオ・ボイスソリューションの例
- ①ダイナミックサウンドコントロール: 走行中の路面状況や走行環境の変化に応じて音楽や音声のバランスを自動調整し、常に快適で自然な音響空間を維持します。
- ②カラオケ:高音質サウンドによるプライベートカラオケルームを車室内で実現します。低遅延でのエコーキャンセル、ハウリング抑制処理を活用したアプリケーションです。
- ③エンジンサウンドクリエイター: オーディオDSPにてエンジンサウンドを再現して再生します。車速とアクセル開度に連動させることで、エンジンのないBEVであってもV8やV12気筒といった個性豊かなエンジンサウンドを楽しむことが可能です。
- ④アクティブロードノイズキャンセル: イスラエル・Silentium社との協業によるソリューションで、走行時に路面とタイヤの接触により発生するノイズを逆位相の音で打ち消すことで低減し、静粛性を向上します。
- 当社 ESプロジェクト長 藤田 健 コメント
- 「自動車の電動化や自動運転の普及に伴い、車室内の“音”、そして“移動中の過ごし方”はますます重要になります。一方で、専用のオーディオルームとは異なり、車室内空間では走行時のロードノイズがあり、スピーカーを配置できる場所にも限界があるため、車種ごとのチューニングを含めた音響環境のセッティングは簡単ではありません。長年の実績がある当社のDSPとDirac社のソフトウェアの組み合わせにより、お客さまの開発・チューニング工数が削減され、エンドユーザーの快適で心地よい移動に貢献できることを期待しています。」
- Diracについて
- Diracは、スウェーデンのウプサラに本社を置く世界的なオーディオテクノロジー企業です。音の透明性や臨場感を向上させる独自のアルゴリズムを提供し、自動車、スマートフォン、スピーカーシステムなど、幅広い分野で採用されています。同社の技術は、最高品質のサウンド体験を追求する企業から高い評価を受けています。
デンマークのコペンハーゲンとインドのバンガロールにR&D施設を構えており、中国、ドイツ、日本、韓国、米国にも拠点を展開しています。
以上