100 Stories1956 17大会連続で五輪に従業員を派遣!スポーツの深い絆

コロナウイルス感染拡大による1年の延期、無観客体制など未曾有の事態の中で開催された東京2020大会。自国開催という特別な大会に、旭化成からは柔道と陸上から5名が出場した。

結果は男子柔道73㎏級で大野翔平選手が2大会連続の金メダル、同じく81㎏で永瀬貴規選手もリオ五輪の雪辱を果たす金メダルを獲得。さらに大野将平選手は混合団体戦でも銀メダルを獲得した。陸上は、男子50km競歩で川野将虎選手が6位入賞、男子20km競歩で池田向希選手が銀メダルを獲得し、4つのメダルを持ち帰るという見事な成績を残した。

旭化成はこれまでも多くのオリンピアンを輩出してきており、その歴史は1956年のメルボルン大会にさかのぼる。メルボルンの陸上競技で2名の選手を派遣してから、毎回オリンピックに従業員を送り出している。

バレーボールでは、南将之選手が1964年東京大会で銅メダル、1968年メキシコ五大会で銀メダルを獲得し、そして1972年ミュンヘン大会では念願の金メダルを獲得している。

旭化成の代名詞ともいわれる陸上では、1984年ロサンゼルス大会に兄弟で出場した男子マラソンの宗茂選手と宗猛選手、同じく1992年バルセロナ大会の男子マラソンでは銀メダルを獲得した森下広一選手や、給水ポイントで靴が脱げてしまいながらも8位に入賞し、「コケちゃいました」で一躍世界の注目を浴びた谷口浩美選手などがいる。

また柔道でも、1976年のモントリオール大会での柔道無差別級金メダリストの上村春樹(第5代講道館館長)、アトランタ大会では95kg級の佳央選手、と65kg級の行成選手、71kg級の兼三選手の中村3兄弟が出場し、兼三が金メダル、行成は銀メダルを勝ち取っている。さらにシドニー大会で世紀の誤審とも言われた判定で銀メダルとなった篠原信一選手など、日本のオリンピック史を彩る名選手たちが活躍している。

このスポーツ文化が根付いた背景には、1940年代半ばから各地で設立された「旭陽会運動部」がある。

陸上や柔道、バレーボールなど、各種スポーツのトップアスリートを頂点に、社内のスポーツ愛好者が集った。柔道や剣道は選手が集まると200畳の大道場が埋まってしまうほどの活気があった。単にスポーツを支援するという側面だけでなく、各部が競争心を高揚させ、切磋琢磨する場としても大きな役割を果たした。

その代表格とも言えるのが、旭グループでの対抗戦も行われた駅伝だ。「オール旭」というキャッチフレーズのもと各チームが優勝を目指す対抗戦は、毎回プライドをかけた白熱した展開となり、オリンピックさながらの気迫が感じられるものだった。

駅伝はチームプレーが重要な競技でもあるため、対抗戦を通じて各地区の団結力も強化された。スポーツを通じて社内には「旭はひとつ」という大切な資産が形成されていくのだった。

旭化成とスポーツは深い縁で結ばれ、これまでの発展に欠かせない社員たちの活力を奮い立たせる要となってきた。そして、オリンピックもまた社員にとって重要なイベントのひとつになっている。スポーツの祭典であると同時に、日本代表クラスの選手が近くの職場で働いていることから、「仲間を応援する大会」でもあるのだ。

招致が決まった時には、誰もがこういった形になるとは想像していなかった東京オリンピック。過去の大会と比較すれば、大盛況のうちに幕を閉じたとはいいがたい。しかし、選手たちがひたむきに戦う姿はコロナ禍の日本に少なからず勇気を与えた。

旭をひとつに、そして日本をひとつにしてくれた選手たちに、今後のさらなる活躍のエールと、ささやかながら感謝の気持ちを届けたい。

五輪出場選手とメダル獲得の歴史

1956メルボルン 廣島庫夫 Kurao HIROSHIMA(陸上 男子マラソン 33位)
1960ローマ 廣島庫夫 Kurao HIROSHIMA(陸上 男子マラソン 31位)
大串啓二 Keiji OGUSHI(陸上 男子400mハードル 予選落選)
大串啓二 Keiji OGUSHI(陸上 男子4×400mリレー 準決勝5位)
安田矩明 Noriaki YASUDA(陸上 男子棒高跳び 予選3位)
岡本登 Noboru OKAMOTO(陸上 男子ハンマー投げ 13位)
1964年東京 南将之 Masayuki MINAMImi(バレーボール 男子 銅メダル)
三輪寿美雄 Sumio MIWA(陸上 男子50㎞競歩 27位)
岩下察男 Satsuo IWASHITA(陸上 男子5000m 予選6位)
大串啓二 Keiji OGUSHI(陸上 男子400mハードル 予選5位)
油井潔雄 Kiyoo YUI(陸上 男子400mハードル 予選7位)
田中章 Akira TANAKA(陸上 男子110mハードル 予選6位)
岡本登 Noboru OKAMOTO(陸上 男子ハンマー投げ 予選落選)
1968年メキシコシティー 南将之 Masayuki MINAMI(バレーボール 男子 銀メダル)
油井潔雄 Kiyoo YUI(陸上 男子400mハードル 予選5位)
1972年ミュンヘン 南将之 Masayuki MINAMI(バレーボール 男子 金メダル)
1976年モントリオール 上村春樹 Haruki UEMURA(柔道 男子無差別級 金メダル)
宗茂 Shigeru SO(陸上 男子マラソン 20位)
1980年モスクワ(日本不参加) 宗茂 Shigeru SO(陸上 男子マラソン)
宗猛 Takeshi SO(陸上 男子マラソン)
1984年ロサンゼルス 宗猛 Takeshi SO(陸上 男子マラソン 4位入賞)
宗茂 Shigeru SO(陸上 男子マラソン 17位)
1988年ソウル 大迫明伸 Akinobu Osako(柔道 男子86㎏以下級 銅メダル)
米重修一 Shuitchi YONESHIGE(陸上 男子10000m 決勝17位)
米重修一 Shuichi YONESHIGE(陸上 男子5000m 予選11位)
宮原美佐子 Misako MIYAHARA(陸上 女子マラソン 29位)
1992年バルセロナ 森下広一 Koichi MORISHITA(陸上 男子マラソン 銀メダル)
谷口浩美 Hiromi TANIGUCHI(男子マラソン 8位入賞)
大崎栄 Sakae OSAKI(男子10000m 予選14位)
南克幸 Katsuyuki MINAMI(バレーボール 男子 6位入賞)
1996年アトランタ 中村兼三 Kenzo NAKAMURA(柔道 男子71㎏級 金メダル)
中村行成 Yukimasa NAKAMURA(柔道 男子65㎏級 銀メダル)
中村佳央 Yoshio Nakamura (柔道 男子95kg級 7位入賞)
谷口浩美 Hiromi TANIGUCHI(陸上 男子マラソン 19位)
千葉真子 Masako CHIBA(陸上 女子10000m 決勝5位入賞)
2000年シドニー 篠原信一 Kenichi SHINOHARA(柔道 男子100㎏超級 銀メダル)
中村兼三 Kenzo NAKAMURA(柔道 男子73kg級 出場)
中村行成 Yukimasa NAKAMURA(柔道 男子66kg級 7位入賞)
川嶋伸次 Shinji KAWAHIMA(陸上 男子マラソン 21位)
佐藤信之 Nobuyuki SATO(陸上 男子マラソン 41位)
2004年アテネ 大野龍二 Ryuji Ohno(陸上 男子10000m 19位)
内柴正人 Masato UCHISHIBA (柔道 男子66㎏級 金メダル)
高松正裕 Masahiro TAKAMATSU(柔道 男子73㎏級 出場)
塘内将彦 Masahiko TOMOUCHI(柔道 男子81㎏級 出場)
2008年北京 内柴正人 Masato UCHISHIBA(柔道 男子66kg級 金メダル)
泉浩 Hiroshi IZUMI(柔道 男子90kg級 出場)
2012年ロンドン 中村兼三 Kenzo NAKAMURA(柔道 男子コーチ)
2016年リオデジャネイロ 佐々木悟 Satoru SASAKI(陸上 男子マラソン 16位)
村山紘太 Kouta MURAYAMA(陸上 男子5000m 予選22位)
村山紘太 Kouta MURAYAMA(陸上 男子10000m 30位)
大野将平 Shohei ONO(柔道 男子73㎏級 金メダル)
永瀬貴規 Takanori NAGASE (柔道 男子81㎏級 銅メダル)
羽賀龍之介 Ryunosuke HAGA(柔道 男子100㎏級 銅メダル)
2021年東京2020 池田向希 Kouki IKEDA(陸上 男子20km競歩 銀メダル)
川野将虎 Masatora KAWANO(陸上 男子50km競歩 6位入賞)
相澤晃 Akira AIZAWA(陸上 男子10000m 17位)
大野将平 Shohei ONO(柔道 男子73㎏級 金メダル)
永瀬貴規 Takanori NAGASE (柔道 男子81㎏級 金メダル)