Message メッセージ

旭化成グループは、2022年5月に創業100周年を迎えます|2022年4月1日
旭化成株式会社 代表取締役会長 小堀 秀毅

旭化成グループは、2022年5月に創業100周年を迎えます。厳しい環境が続く中、100周年を迎えることができたのは、諸先輩方や従業員の皆さんの努力の賜物であり、心より厚く御礼申し上げ...

社員に期待する|1970年1月
旭化成グループ代表 宮崎 輝

現代は激動の時代である。企業の競争は国内にとどまらず国際的規模で行なわれ、当社をとりまく経済 環境はますます厳しい。この中で、われわれ旭化成グループは、水島の石油化学事業を...

人類文化の向上と吾社の使命|1933年7月15日
旭ベンベルグ絹絲株式會社 取締役社長 野口 遵

凡(おおよ)そ工業と云ふものは、大衆の社會生活に必要なものでなければならぬ。無限に増大する人類の生活資料を、限りある國土に於て如何に給して行くかを考へる時、生産組織の改良が...

100周年まであと1年になりました|2021年5月25日
旭化成株式会社 代表取締役社長 小堀 秀毅

旭化成グループは、2022年5月に創業100周年を迎えます。創業者の野口遵は、「大衆文化の向上を念として、最善の生活資料を最低廉価に然も豊富に給することを以て究極の目的」と...

小堀秀毅 2022年4月1日旭化成グループは、2022年5月に創業100周年を迎えます

旭化成は今年の5月25日に創業100周年を迎えます。
厳しい環境が続く中、100周年を迎えることができたのは、諸先輩方や従業員の皆さんの努力の賜物であり、心より厚く御礼申し上げます 。

旭化成が常に成長を続けてきた原動力には、時代のニーズに合わせて柔軟に事業ポートフォリオを転換しながら、積極的に新しい分野に変革力と多様性をもって挑戦してきたことにあります。この背景にあるのが、「自由闊達で風通しの良い文化」と「チャレンジ精神」です。これらは旭化成のDNAとも言えるもので、グループバリューである「誠実」「挑戦」「創造」にほかなりません 。

2022年度は、100周年であると同時に、新たな経営体制のもと新中期経営計画のスタートやマテリアル領域での大幅な組織再編など、大きな節目の年です。このタイミングを、皆さん一人ひとりが今までの会社生活を振り返り、旭化成が大切にすべきDNAとは何か、を考える機会にしてください。そして、次の100年に向け、先人たちの貢献に思いをはせるとともに、良い企業文化を継承し、「昨日まで世界になかったもの」を創造すべく、世の中へ貢献する気持ちを心に刻み、旭化成の進化に向けて皆で挑戦していきましょう。

旭化成株式会社
代表取締役会長
小堀 秀毅

宮崎輝 1970年1月社員に期待する

まえがき

現代は激動の時代である。
企業の競争は国内にとどまらず国際的規模で行なわれ、当社をとりまく経済環境はますます厳しい。
この中で、われわれ旭化成グループは、水島の石油化学事業をはじめ多くの新規事業を展開し、その成功を通じて「世界の旭化成グループ」へとさらに飛躍しようとしている。この数年間は、当社にとって「大きな希望と楽しみをかけた厳しい時期」となろう。
一方、日本の双状は、学園紛争に典型的にみられるように、ますます混乱の度を深め、民主的社会をてんぷくしようとする極左暴力勢力は、1970年の安保改訂の時期をとらえ、企業内にその闘争地点を求め生産活動を破壊しようとする動きが活発化している。
われわれ旭マンは、こうした社会の混乱に押し流されることなく、今こそ、統一した会社目標、行動目標を定め、確固たる信念のもと総力を結集すべきときである。
われわれは、この小冊子で旭化成グループの果すべき役割、会社経営についての考え方、および社員に期待するものをあきらかにし、旭マンとしての精神的支柱を確立したい。
社員諸君の共感を得て、この激動期を乗りこえ、社業のより一層の成長とより豊かな生活の実現のため、ひいては自由で明かるい社会の建設のため努力してゆこうではないか。

第Ⅰ章 われわれの会社の役割をどのように考えるか

会社は人が働くところである。そして人のためになる物を生産するところである。さらに目的を同じくする多くの人が集まっている「集団」である。
このような認識の上にたって当社の役割をあきらかにしたい。

1. 人間性にみちた労働の実現
われわれの会社は働くひとりひとりの集まりである。
人はまず自分のために働く。働くことの中で自分の能力を伸ばし、自らの創意や努力によって、生み出す喜びを発見する。会社はひとりひとりが力を伸ばし、働く喜びを感じるようなところでなければならない。

2. より良い国民生活への貢献
人は自分自身のためだけでなく、国家社会に役立つために働く。われわれの会社は日本の富の生産の一翼を担い、日本経済を発展させ、衣・食・住のすべてを通じて国民生活をより豊かにしてゆくという使命を帯びている。会社は絶えず革新的なるものを求め、より良きものをより安くより多く社会に供給することに努めなければならない。

3. 社員の豊かな生活の実現
われわれの会社は経営の充実を通じて株主の期待にこたえるとともに、会社に働くすべての人々とその家族の福祉を向上させ、豊かな生活を実現するという使命を帯びている。社員すべての生活は会社の発展にかけられている。
会社は常に社業の発展と生産性の向上に努め、働くすべての人々とその家族の豊かな生活を支えうる力を備えなければならない。

4. 運命をともにする会社と社員
われわれの会社は生産という目的のために集まった多くの人々からなる共同体である。会社に働くすべての人々とその家族は、人間的な心のふれあいを通じて、仲間意識をもった同志的結合体でありたい。

第Ⅱ章 われわれの会社の経営をどのような考え方で行なうか

われわれは、旭化成グループを〈バイタリティーと技術力で常に未来に挑戦する〉企業グループに成長させていきたい。この考え方を基本に、当社の経営をどのような考え方で行なうかを明らかにしたい。

1. 会社の成長
会社は成長しなければならない。不断の成長によってのみ因の宮を増大し国民生活を豊かにすることができる。また、会社の成長こそが、社員とその家族の豊かな生活の泉をつくるものである。会社は将来に向っての成長の方策を常に探究し、その実現に努力する。

2. 人材の育成
企業は「人」である。
活力にみちた人材こそ社業発度の根源であり、職業的成長こそ人間の大きな喜びである。会社は人材の育成に全力をつくす。

3. 生きがいのある職場
仕事の中にこそ、生きがいはある。仕事において、職場において、すべての人が常に主体性をもち、創造力を発揮できなければならない。会社はやりがいのある仕事、生きがいのある職場の実現に努力する。

4. 豊かな生活の実現
会社は社員の物と心の両面にわたる生活の充実をはかる。会社の発展を通じて労働条件の改善と、生活水準の向上をはかるとともによき市民よき職業人となるよう積極的に援助する。

5. 破壊分子からの防衛
会社は破壊分子から防衛されねばならない。反体制闘争の手段として会社の生産活動を破壊しようとする行動や、社員を惑わす思想に対しては、毅然として防衛の措置をとる。会社を守るものはわれわれ以外にはない。

第Ⅲ章 社員に期待するもの

以上に述べたわれわれの会社の役割を十分に果たし、われわれの考える経営を実現するために、社員に期待するものは何かを明らかにする。社員一人一人が自分自身の問題として、これをとらえ、着実に実践することを期待する。

1. 誰もが自分の仕事の管理者になろう
自分が担当する仕事については、自分が、だれよりも早く、だれよりも深く考え、心を配り、行動を起す人になろう。その仕事については、自分しか知ることが出来ないこと、自分しか考えつかないことが多い。最も早く知ることが出来るのも自分である。仕事について、最良の成果をあげるようにもっていける者は、自分以外にないという自信と責任感を持って仕事に取り組もう。

2. 力を伸ばし仕事に強くなろう
絶えず自分の仕門についての知識を深め、必要な技能、技術を営実にものにしよう。仕事に強くなれば、仕事の主人公になることが出来、仕事を興味深くやりがいあるものにすることが出来る。仕事の中で自分の力が伸びていくことは、人間としての大きな喜びである。

3. 創意をこらし仕事に自分を活かそう
自分の仕事に問題意識をもって、自分の目でえず観察し、そして考えよう。観察の中からのみ真実は見出され、良き考えは生れる。
どんな仕事の中にも絶えず創意工夫をこらし、仕事の中に自分を活かそう。
仕事に対しては、受身でなく常に自分の目標をはっきり持って積極的に取り組もう。達成の喜びはその中に生れる。

4. よきチームワークにより職場の総力を結しよう
一人の力は限られている。互いに協力し合う心を持とう。職場の一人一人が問題意識を持ち、互いに情報を交わし、共に討論し、共通の目標を掲げ、職場の総力を結集して仕事を推進しよう。

5. 温い心の交わりのある職場をつくろう
職場のなかまと共に働き、助け合い、共に語り、共に遊ぼう。なかまの喜びは祝福し、悲しみは悲しみとして共感しよう。自分の職場を、なかま同志の友情にあふれ強い心の交わりのある職場に、つくりあげていこう。
温い心の交わりと共こそは、われわれの生きる忍びの泉であり、働く意欲を養う心の根である。

6. よき社会人となろう
われわれはよき社員になると共に、よき社会人になろう。われわれは多くの人と共に生きている。また、多くの人と一緒でなければ生きられない。この事実を十分自覚し、お互いの人格と自由を募重しあい、社会のルールを守って生活しよう。よき社会人はよき社員である。

7. 企業を防衛しよう
われわれの日は、いきいきとした生産活動を通して、社業の発展をはかり、社員の人間的で豊かな生活を実現し、ひいては国民生活の幸福に食献することである。この目標を実現するためには、自由にして、民主的な体制でなければならないことは、理論と歴史の示すところである。特定の政治的主義、主張達成のため、暴力革命方式を背後に秘めつつ公社の生産活動を妨害し、破壊しようとする動きが原著になりつつある。この動きに対して、われわれは断固として対決せねばならない。政域分子の実態を知り、これら分子の侵入できない基盤をつくろう。会社は自らの手で防衛しなければならない。

あとがき

当社で働いていることが、すべての社員にとって、生きがいと喜び、誇りと満足にみちたものであるように、当社を経営していくことがわれわれの理想である。そして、それを可能とする企業として、当社を絶えず守り育て、次の世代の人たちに引継いてゆくことが、われわれ当社で働く者の役割であり、責務ではないだろうか。この理想の実現と責務の達成のため、われわれは共に手をとりあい、相協力して、日々努力してゆこうではないか。

以上

1970(昭和45)年1月
旭化成グループ代表
宮崎 輝

野口 遵 1933年7月15日人類文化の向上と吾社の使命

凡(おおよ)そ工業と云ふものは、大衆の社會生活に必要なものでなければならぬ。無限に増大する人類の生活資料を、限りある國土に於て如何に給して行くかを考へる時、生産組織の改良が必要となり、工業の発達が促されるのである。而(もっと)も人類の生活には日々に向上が伴ふものであるから、単に寒さを凌ぎ飢えを満すを目的とする最低の生活資料を給するを以て工業の使命と考へてはならぬ。大衆をしてより良き生活を営ましむベく最善の生活資料を、豊富に且つ廉価に供給することに依つて始めて工業の意義が生れて来るものである。

近代工業の発達は人類の生活に偉大なる貢献を為しつゝあるが、しかも世を挙げて生活難の声益々喧しいのは何故であるか。之は単に衣食の資に窮しての生活難ばかりではなく近代文化の向上に伴ひ、より良き生活を為さんがための悩みからであらう。乃ち数十年前の生活と現代のそれを比較対照して見るにたとひ場末の貧民窟に於てすらも其の生活程度には格段の相違が見受けられる。若し吾人(ごじん)の生活が数十年前のまゝを踏襲しているものとすれば、今日に於ける生活難の声もそれ程大きなものでは無からう。単に食はんが為め着んが為めを目的として只生命を繁ぐと云ふならば何も苦悩は無い筈、今日生活難の声を聞くその大多数は生活のレベルを引き上げようとする所から発し来るのである。

之は人間自然の要求であつて、かくあらばこそ人類に進歩があり文化の向上が招致されるものである。故に単に衣食の資を給しそれで以て生活難が緩和されると思ふことは大なる誤りで、吾々工業家は飽までもも大衆文化の向上を念として、最善の生活資料を最低廉価に然も豊富に給することを以て究局の目的としなければならぬ。

茲(ここ)に於て大衆的服飾の原糸を提供する人絹工業の如きは最も意義ある使命を有するものと云ふべく、吾社は十餘年の貴重なる犠牲と経験とを以て一路その目的の達成に向つて邁進しつゝあるものである。
惟(おも)ふに今日世界を通じて斯界(しかい)の改良に關(かん)する研究は種々加へられているが畢竟(ひっきょう)するに原料の安値供給に依つて真の効果が挙げられ最後の勝利を獲得し得られるものと信ぜられる。そこで吾社は三社を合併して薬品と動力の自給自足を圖(はか)ることゝなつたのであるが、その結果コストの低下は必然的に期待し得らるゝであらう。

合併に依つて原料薬品並に動力の自給を計ると共に陣容を整へ、伝統の技術と研究と相俟って一段と向上発展を為し、更に是迄日本に紹介されていなかつた高級人絹を供給して新使命を果し質に於て量に於て人絹事業としての完璧を期することが出来るのである。かくて始めて工業報國の目的が達せられると同時に人類に幸福を齎(もた)らし斯くする事に依つて吾社の使命が果されることゝなる。

1933(昭和8)年7月15日
旭ベンベルグ絹絲株式會社
取締役社長 野口 遵

小堀秀毅 2021年5月25日100周年まであと1年になりました

旭化成グループは、2022年5月に創業100周年を迎えます。
創業者の野口遵は、「大衆文化の向上を念として、最善の生活資料を最低廉価に然も豊富に給することを以て究極の目的」とする考え方のもと、合成化学や化学繊維事業をスタートしました。
以来100年間、当社グループは、社会・環境の変化に合わせて積極的にさまざまな事業を展開し、多彩な製品・サービスを世に送り出すことで、この目的を実現してきました。そしてこの考え方は、現在のグループ理念「世界の人びとの"いのち"と"くらし"に貢献」という形で、今の時代にも受け継がれています。

この節目の年を迎えるにあたり、従業員の皆さんには、当社グループが過去100年続いてきた企業であることをあらためて認識していただくとともに、未来のあるべき姿を追求し、一人ひとりがさまざまな挑戦を続けていくことを期待しています。
2022年5月に向け、皆で100周年を盛り上げていきましょう。

旭化成株式会社
代表取締役社長
小堀 秀毅