100 Stories2016 コンセプトカーAKXY

「昨日まで世界になかったものを」 そんな想いを込め2017年に発表したのが、旭化成初のコンセプトカー「AKXY」だ。コンセプトカーとは、一般的には自動車メーカーが、モーターショーやショールームでの展示目的で製作する。なぜ自動車メーカーでない旭化成が製作に踏み切ったのだろうか。

自動車メーカーではない企業がコンセプトカーの製作・発表を行うことは、それだけでも十分な話題性を持つ。また旭化成グループの総合力を結集したコンセプトカーを世に示すことで存在感を発揮することができる。そんな狙いを達成すべく動き出したのが、2016年に新設されたばかりのオートモーティブ事業推進室だった。事業の横串を象徴するコンセプトカーを製作することが、推進室のミッションの一つとなった。

コンセプトカーのプロジェクトメンバーは8名と少数でありながら精鋭揃い。社内でも選りすぐりの人材が集まった。しかし、車の製造経験を持ち合わせる人材は皆無、パートナー探しから着手することになる。

選考の結果、電気自動車の製造・販売を手掛けるベンチャー企業「GLM」とパートナー契約を締結。若く勢いのあるベンチャー企業と組むということは、制作期間の短さにも表れている。車のデザインから仕様の決定までを、わずか10ヶ月で遂行。これは自動車メーカーも驚くほどのハイペースであった。

こうして大きな期待とともに完成したAKXYは、世界的に人気の高いSUVベースのデザインで、27品目の旭化成の製品を搭載し実走行も可能。搭載された製品の多くは量産車への導入もできるものだった。

そして、いよいよ国内最大の展示会である「人とクルマのテクノロジー展」が間近に迫る。AKXYの名前の由来は、「Asahi Kasei × You」(旭化成×お客様)。展示会はついにそのお客様に披露する場でもある。

周到な準備の効果もあり、展示会は大盛況。AKXYのデザイン性と最先端技術が高い評価を得た。その後も、世界中の展示会や社内関連施設で展示されるなど各地を飛び回り注目を呼んだ。

2019年には、未来の車の快適空間を提案し、お客様とともにこれからの素材・部品・材料を開発していくことを目的として、車室空間のコンセプトモック「AKXY POD」を公開、AKXYの挑戦は続いている。

  • AKXY™
  • AKXY™ POD