100 Stories1972 社歌

旭化成の社歌を耳にしたことはあるだろうか。

1970年1月、宮崎輝が「社員に期待する」を発表。従業員の行動指針が明らかにされた事を契機に社内報で社歌の歌詞を募集することとなった。それまで旭化成には、企業CMソングや工場歌、運動部の歌などはいくつもあったものの、「社歌」というものはなかった。

11月に社内報「社報あさひ」誌上で募集を開始。1971年1月末の締め切りには106編の応募があった。結果はまず応募作品の中から、一次選考で23編に絞り、最終選考で6編を入選として発表し、その中から最終候補作品として2編が残った。

この2編について、歌詞の補作を作詞家の山上路夫(やまがみ みちお)氏、作曲をいずみたく氏に依頼。録音したものを従業員に公開しアンケートを取ったところ、僅差で大阪繊維マーケティング部の村上重郁(むらかみ しげくに)の作品に決定した。「風・光・力」という最初のフレーズが印象的な歌詞で、当時の若手社員を中心に得票を集めたことが理由だ。村上は「社歌というものがどんなものか、その“形”がわからない上、企業イメージをどう表現すれば良いのか迷いました。結局ソフト調でいこうと決心し、歌詞のベースとして『さわやかな風、暖かい光、たくましい力』を持ってきた訳です」と制作の苦労や冒頭の歌詞の意味を語っている。

こうして作られた社歌は、運動会をはじめ、地区のイベント、従業員が集まる会や新入社員研修で披露され、昔はソノシートも制作された。東京地区では、東京混成合唱団が、設立翌年の1987年の年始式から社歌の合唱を行っている(2022年1月現在、コロナ対応で休止中)

最近では新年の年賀式や運動会など、年1回程しか耳にすることがなくなってしまった社歌。みんなで立派な会社にしようという想いのもと、従業員の心をまとめるために制作されたのが社歌である。100周年という大きな節目に今一度スポットライトを当てたい。

1
風、光、力
大空めざして 鳩は飛ぶ
強くあかるく 力を合わせ
今日も生きよう 幸せ求めて
明日の旭を 若さでめざす
旭、旭、旭化成

2
風、光、力
命を育てる 陽の光り
誰も心に 希望をだいて
生きるうたごえ こだましていく
明日の幸せ 若さでめざす
旭、旭、旭化成

3
風、光、力
つないだこの手は 暖かい
緑やさしい この国守り
夢を豊かに 築いていこうよ
明日の旭を 若さでめざす
旭、旭、旭化成