100 Stories2012 世界最大級のインド市場を狙う拠点「旭化成インディア」

インドは世界第2位の人口を背景に潜在的消費市場として存在感が増しており、今後旭化成グループでの事業展開が進むことが予想される地だ。これに対応し、迅速かつ的確にニーズを把握するため、市場調査及び販売支援を行う拠点として2012年にムンバイに旭化成インディアを設立した。これは旭化成にとって、グループ横断的に事業支援を行う地域拠点として、アメリカ・中国に次ぐ拠点となった。

インドとの関係は60年ほど前にさかのぼる。1960年代、独立してまもないインドは工業化を推進していた。1960年6月にバローダ・レーヨン社(Baroda Rayon Corporation Ltd.)と日本では最初のレーヨンの技術輸出を契約し、1961年に工場を竣工している。また1979年にはボンベイ事務所を設置している。

ムンバイ市は、インドを代表する商業都市として現地財閥本社が集中する重要地区だ。旭化成は、旭化成インディアを通じてヘルスケアや自動車等の成長期待分野への参入機会を増やし、インドビジネスをグローバル展開の大きな柱の一つとして育てていく計画である。

2013年にグランドハイアットムンバイで旭化成インディアの開所式が開催され、旭化成グループや日本国総領事館、取引先企業などからおよそ100名が出席。式では旭化成インディアの堀義尚社長による会社紹介をはじめ、プロのダンサーによるダンスが披露されるなど盛大なものとなった。この時、ケミカルズやメディカルの専任スタッフ等6名が在籍しており、さらなる事業拡大のために増員も予定している。

この年から営業を開始した旭化成インディアは、医薬品材料などの事業拡大を狙いとし、インド向け売上高を2011年度の100億円弱から2015年度に200億円まで増やす計画だ。これまでインドでは民族衣装用途で繊維を販売するほか、薬を錠剤の形にするための材料や、ウイルス除去フィルターなどを商社経由で取り扱ってきたが、今回の現地法人開設を足がかりに、目標の200億円に向けてグループの事業展開を加速させたい考えである。

10人に満たない人数で始まった旭化成インディアは、現地のインド人の社員も含めて2019年には22名の会社となった。2021年には新しいマネジメントチームと9つの部門で構成されるようになるなど、企業としての形は日を追うごとにはっきりとしてきている。インドという世界最大級の市場を切り開く旭化成インディアの挑戦はまだ始まったばかりである。

  • 旭化成インディアのオフィスがある、
    ムンバイのビジネスセンター、ザ・キャピタル