100 Stories2011 グループの力をひとつにoneAK活動

「oneAK」という言葉。「旭化成はひとつ」というチームワークを表現したものだ。

2011年度からの中期経営計画「For Tomorrow 2015」に先立ち、90年にわたる事業の歴史を支えてきたものを整理し、旭化成の存在意義、事業活動の方向性、発揮すべき強みを再定義したのだ。

中計発表の少し前、2011年4月にoneAK委員会が発足する。社長の藤原健嗣(ふじわら たけつぐ)を委員長に、経営企画部、人財・労務部、広報室が事務局となってグループ融合を目的に活動が開始された。

藤原は委員会の発足にあたり、その狙いを語っている。

「旭化成の人であればこういう思いをもって働いて欲しいという価値観の共有が第一。もうひとつは資源の共有です。会社の規模によって投資に枠を持たせる経営は正しくないと思いました。資源の流動化、共有化というのを目指したのが2番目です」

分社化したグループ全体を、個人としても会社としても一つにすることで、強みがさらに増していく。次に向かう行動力という点で分社化をして身軽な体制を作ったが、これからは旭化成としての理念やビジョンを再構築して発信していく意気込みだ。

藤原を委員長としたoneAK委員会は、グループ理念の制定、理念浸透施策(シェアバリューズ)、役員による従業員との対話、理念バリューの人事目標管理シートへの組み込み、作業服の統一など様々な「ひとつのアサヒカセイ」施策を開始した。

まず行われたのが、事業部長フォーラムだ。役員以下、事業部長全員を集めて、「旭化成らしさとは何か」「旭化成グループが守り受け継ぐべきこと/変えていくべきこと」について議論するとともに、自らの事業ビジョンとそれを実現するための方法、事業部内で共有するための準備を行なった。

その上で理念ビデオを作成し、「理解編」と「共感編」という2部構成でグループ従業員全体の認識共有へとステップを進めていく。これは英語・中国語にも翻訳され、海外グループ企業の従業員も含めた全社員へ行う徹底ぶりだった。

さらにグループ役員と社員による対話が実施され、理念ビデオでは達成していなかった双方向のコミュニケーションも実現。役員1人に対して各事業から約10名が参加し、自らの経験や事業観をもとに、旭化成グループの今後のあり方やグループシナジー等について語り合った。

グループ全体の規模の大きな施策はもちろん、社員1人ずつに対する施策も行われ、その本気度が施策の端々から感じられた。社内報「A-spirit」でも旭化成グループの歴史を振り返る連載をスタートするなど、社員が日頃から旭化成の歴史や考え方に触れられるようにした。

また、ユニフォームも統一、一新された。それまで旭化成グループでは、作業着などのユニフォームは、地区や工場ごとにバラバラで統一されていなかった。デザイン・素材・発注先などを統一することで、生産ロットの拡大、管理点検の削減、地区間異動に伴う新規発注が不要になるなどの効果も見込め、グループ全体のコストカットにも寄与した。

委員長を務めた藤原は、oneAKのグループとしての考え方として、以下のように語っている。

「oneAKというキーワードだけ取ってしまうと組織面の話だと考える方が多いですが、それは結果であって旭化成らしい事業のあり方がまずあると思います。数多くある分社が今ある仕事で融合するのではなく、旭化成が考えた新しい仕事の中で融合する。それを中心に旭化成を回していけば一つの旭化成になるわけです」

単に「気持ちを一つに」ではなく、まず事業ありきで考え、組織面はその結果としてついてくる。それに対して分社の既存事業を無理やりグループ全体で考えるのではなく、新しい旭化成らしい事業によって作り出していこうという考えだ。

oneAK委員会は「For Tomorrow 2015」の終了とともに解散が決定。2011年の発足からの2年間走り続けてきた委員会は、2013年をもって活動が終了し、その役目を終えた。