100 Stories2006 環境問題の解決へ エコプロダクツ展

環境問題が重要な人類の課題として叫ばれている昨今。国連総会で、2021年から2030年が「国連生態系回復の10年」と決定されたほか、米国のバイデン大統領が脱炭素を掲げるなど、世界的に環境意識が高まっている。

それぞれの国や地域、企業が努力をしていく必要があり、中でも大企業が果たすべき役割は大きい。旭化成でもかねてから環境問題に力をいれており、各事業や各プロダクトで様々な工夫を重ねているほか、2006年からは、日本経済新聞社が主催する日本最大の環境展示会「エコプロダクツ展」にも出展をしていた。

エコプロダクツ展は、電気・自動車・エネルギー化学等、日本を代表する企業や地方自治体、NPO・NGOなど全国から出店者が集うイベントだ。例年15万人以上が来場する大規模な展示会であり、旭化成のブースにも毎年5,000人近い参観者が来場する。当初は分社単位での出展をしていたが、2006年以降は旭化成グループとして、グループ全体の環境対応の取り組みや、環境対応製品を紹介していた。

事業単位で参画し、それぞれが工夫を凝らして一般の来場者の方々に少しでもわかりやすく、面白いものになるよう、入念な準備をしてデモンストレーションを行う。毎年700社ほどのブースが連なる中で、旭化成のブースが関心を多く集めるのは、ひとえに従業員たちの創意工夫の賜物だ。

初回となる2006年に参加した建材事業の従業員は、当時の印象をこのように語っている。
「当時の旭化成は、ヘーベルハウスやサランラップの会社としてのイメージが強かったようです。私が紹介するネオマフォームという断熱材は認知度が低かったため、どのように興味を持ってもらうか苦心しました」

たしかに一般的には断熱材の「ネオマフォーム」と言われてもなかなかピンとこない。そこでその断熱効果を体験してもらうために、「ネオマキャリー」という保冷ボックスを使った体験コーナーを制作した。

また、エコプロダクツ展は小・中学生の校外学習の場としても活用されている。社会科見学で訪れる学校もあり、2008年には2万人を超える子供たちや学生がこのイベントに足を運んだ。

「初日のプレゼンでは、子どもたちの反応があまりにも悪く愕然としました。次の日からは急遽、実験の演出も大幅に変え、またクイズなど、より子どもたちが参加できる要素を作りました。フレキシブルに対応し、内容を改善することで、子どもたちの反応もぐんとよくなるんです。いかにわかりやすく製品を紹介できるかというのは、普段のビジネスでも重要な要素だと良い勉強になりました」

その後も、「子どもから大人まで楽しめるコンテンツづくり」が社内で受け継がれ、「きれいな水を作る膜」という難しい題材でも大盛況を収めるようになる。

現在では「旭化成は環境に配慮した会社というイメージがある」という声も多く聞かれるようになった。「子どもから大人まで楽しめるコンテンツ作り、誰でも学べるコンテンツ作り」は、エコプロダクツ展だけでなく、さまざまなプレゼンテーションの機会で現在も受け継がれている。