100 Stories1986 延岡展示センター

旭化成の歴史や経営全体の姿、そして発祥の地である延岡・日向地区との関係性などを知ることができる施設が、1986年に延岡に開設した延岡展示センターだ。旭化成グループの製品を直に触りながら見学することができ、年間約6,000名が来場する。

使用されている場所は「向陽倶楽部」の一角だ。向陽倶楽部とは1923年にルイジ・カザレ博士が自らアンモニア・カザレ社長のレプラスタ氏を伴って来日した際に、日本窒素肥料が外国人技師の宿舎として工場の近くに建設した建物である。カザレ博士とは、野口遵が導入した「カザレ式アンモニア合成法」の発明者だ。これによって、日本で初めてアンモニアの工業化に成功し、旭化成の前身となる日本窒素肥料が誕生した。

この延岡展示センターは、2000年前後に大規模リニューアルの計画があったが、様々な状況が重なりあって何度もスケジュールが延期となってしまう。計画時に、制作会社が突然の倒産、後継製作会社が決まったところで2002年のレオナ火災が発生。最後にはプロジェクト長が異動になるなど、幾度となく困難が降りかかったのだ。これらの困難を乗り越え、規模を縮小して2005年に再オープンし、2012年に12年越しのリニューアルを果たした。

この延岡展示センターの近くにある「ベンベルグ工場」と「旭化成エヌエスエネルギー延岡発電所」も見学が可能だ。ベンベルグ工場は、世界で唯一のキュプラ繊維の生産工場であり、棉の実から採れるコットンリンターを主原料として「ベンベルグ糸」や不織布「ベンリーゼ」を製造。その製造過程を直接見学できることで人気となっている。

旭化成エヌエスエネルギー延岡発電所では、石炭の他に樹皮、間伐材や木屑等を加工したバイオチップ、バイオペレット等の木質バイオマスを利用して電気を作っている。その発電の仕組みが見学の見所となっている。

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