100 Stories2012 内モンゴルの砂漠化地域での緑化活動

日本から一番近い砂漠化地域に緑を。

そんなスローガンを掲げ、旭化成は2012年〜2017年まで、内モンゴルのホルチン砂漠で砂漠化進行を阻止するための植樹を、中国の大手メディアである第一財経と協同して行った。

ホルチン砂漠は、日本にからいちばん近い距離にある砂漠化地域であり、中国・内モンゴル自治区の東南部にある。数十年前までは森と草原の豊かな土地であったが、過剰な開墾と放牧、伐採により砂漠化が進行した。一方この地域では、元々は草原であったことから地下水が豊富で、果樹・野菜・水稲もできるという側面もある。

この活動は、ホルチン砂漠の砂漠化に対し、2011年より第一財経と旭化成で展開している「樹が待っている」公益プロジェクトの一環として行われ、日本と中国の旭化成グループのメンバーによって、毎年数千本の植樹を実施した。

2013年には中国の旭化成グループ従業員から8名が参加し、強風で砂塵が舞う厳しい天候の中、砂漠に穴を掘り乾燥に強いポプラの苗木を植えた。

参加した中国人スタッフは、内モンゴルの自然の過酷さを痛感した当時を「想像の中でのホルチン砂漠は無限に広がる大草原でしたが、実際には風が吹くと顔が砂で覆われるような荒凉とした砂であることに気づきました」と振り返った。

「人間の過度な欲望が環境に及ぼす影響を、大自然が私たちに伝えているのです。1人ずつが微力ながら最善を尽くすことで、私たちの生活環境が美しく素晴らしいものにできるとも感じました」

厳しい現実に対面しながらも、「人間の手で失った自然は再び人間の手によって取り戻せるのではないか」という希望も感じたという。この活動に参加したことで、現実を知ることになり意識が変化した。

また別の中国人スタッフは、「植林事業は息の長い事業であることを初めて認識した。ポプラの寿命は15~20年で、木を植えて終わりではなく、15年後には、再度、植樹する必要がある。剪定や害虫駆除などの管理も大変。さらには経済性が高くないため、一般的に事業としては取り組みにくいし、当社の寄付や活動は非常に良かったと思います」と語った。

この活動は2017年で終了となった。希望する参加者は年々増加し、抽選となるほどであった。中国で事業を展開していくためには、環境問題への対応、また企業は社会の公器であるということを認識し、従業員に自主的に行動してもらう機会となる活動であった。

  • 2013年の植樹風景