100 Stories1957 手芸ブームの火付け役!ハマナカ手芸糸

「旭化成〜ハマナカ手芸糸〜♪」というCMソングが懐かしいハマナカ手芸糸。今でも手芸屋の手編みコーナーに行くと色とりどりの手芸糸が売られている。

この糸を取り扱うハマナカ株式会社は、1957年に旭化成との提携を開始。バッグやカゴを作る手芸糸として人気を博したレーヨン糸「アンダリヤ」や、カシミアに似た風合いを持ち、保温性と染色性が高いアクリル繊維「カシミロン毛糸」の取り扱いを行った。中でもアンダリヤは、当時の他の糸とは違う全く新しい風合いを編む楽しさが女性たちの間に広がって、手芸ブームの火付け役となった。

ハマナカの創業者である濱中利基男(はまなか りきお)氏は、同業他社から「ハマナカは毛糸屋じゃない、手芸屋だ」と陰口を叩かれても全く意に介さない豪快な人物だった。むしろ、「創意工夫にこそ価値を認める」という考えを持っていた濱中氏にとっては、天然の毛糸をそのまま売るということの方が違和感のあるものだった。

1968年には新作合繊手編み糸の内見会-ハマナカフェスティバル—を赤坂プリンスホテルで行っている。

1980年代後半、大阪のレディース組合では、手編み教室が開催された。使うのはもちろんハマナカの手芸糸だ。編物の講師を呼んで基礎から習うなど、仕事とは別のコミュニケーションの場、ストレス解消の場としても重宝された。

旭化成との提携は解消されているが、今でも手芸店ではハマナカ手芸糸の製品が一角を占める。アンダリヤもアクリル毛糸も旭化成の素材ではなくなってしまったが、健在だ。