100 Stories2000 ノンフロン発泡の断熱材「ネオマフォーム」

旭化成が未知の技術に向けて研究を重ねて完成させた断熱材「ネオマフォーム」。1962年から始まった旭化成の断熱材事業の歴史を大きく前進させた、業界初のノンフロン発泡された高性能断熱材だ。

1990代半ばから、オゾン層破壊や地球温暖化につながるとしてフロン系ガスの問題が叫ばれ始めていたが、断熱材の発泡技術はフロン系ガスによるものが一般的だった。これにあたり、当時社長であった山本一元が「ノンフロン発泡で事業化する」という決断を下す。

1997年からこの前代未聞の技術開発のため、技術者は研究に研究を重ね、ノンフロンで長時間運転可能な製造技術を確立することに成功。翌98年には福島県小名浜にパイロットプラントも完成し、2000年にいよいよ本プラントが完成した。商品名は、新しい素材=ネオマテリアルから「ネオマフォーム」に決定し、主に住宅分野の外張り断熱工法に使用され、多くの住宅に使われるようになる。

その性能を高く評価され、2001年に地球環境適合型の高性能断熱材として、省エネルギーセンターによる「省エネ大賞」を受賞。2003年には「オゾン層保護・地球温暖化防止大賞」も受賞した。その後「ネオマフォーム」は、高い断火性能も評価され、非住宅の建築物にも採用を伸ばしていく。

さらに「ネオマフォーム」は住宅関連だけにとどまらず、新幹線・飛行機など非常に高い性能が求められる分野においても使用されていった。2005年にはマテリアルリサイクルによる生産を開始。広域認定も取得し、自治体を超えて広く廃棄物を回収することができるようになった。この年、「ネオマフォーム」の優れた技術が評価され、全国発明表彰において「発明賞」も受賞している。

その後も「ネオマフォーム」の勢いは衰えることなく、2014年に工場の製造ライン増設工事が完了し、市場への供給が強化された。断熱リフォーム専用「断熱ボード」が発売されたのもこの頃である。これにより、生活者の負担が少ない住みながらの断熱リフォームを提案し、普及活動を継続している。

近年では環境負荷低減への貢献に対して、新化学技術推進協会グリーン・サステナブルケミストリーネットワーク会議の「第18回GSC賞環境大臣賞」と日本化学工業協会の「第52回日化協技術賞環境技術賞」を受賞。発売から20年近くが経ってなおその評価は抜群だ。

断熱材を通して地球環境問題に貢献してきた旭化成。2020年に発売20周年を迎えた「ネオマフォーム」は、理想の断熱性能を広め、持続可能な社会を実現するために新しい20年の歩みを始めている。

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