社史編纂通信 vol.10 2021年3月経営計画の変遷

旭化成は、事業と事業、既存の技術と新しい技術を融合させることで新事業を開発し、「多角化」経営を進めてきました。21世紀を展望した1996年からは、企業理念に「くらしといのち」を掲げ、中長期で経営計画を策定しました。今日に至るまで成長を続けてきた経営計画の変遷を紹介します。

WIN“G”21 (1996-2005)

はばたこう、成長へ、卓越へ、調和へ。
21世紀の飛躍はひとりひとりの
イノベーションから生まれます。

21世紀を目前にして、私たちを取り善く社会・経済は、大きく変動しています。
この時代を切り拓いていくために、企業は「創造的革新=世界に通用する新価値による新市場の創出」の経営を、国際的な競争原理に基づいて遂行する必要があります。

旭化成が、今後とも健全かつ永続的な成長を実現するには、「パブルの収束を今世紀中に終了する」ことと「新規事業の創出に全力を挙げる」という2つの命題を同時に解決する必要があります。そのためには、自己変革を恐れない発想の転換<創造的否定>をもつて、長期的視点から新しい事業を構築するとともに、マネジメントの革新を積極的に推進することが不可欠です。

そこで、このアクシヨンをグループ縮—的に展開し、活力ある21世紀企業に進化していくために、このたび私たちは、10年後を見据えた経営計画を策定、これをWIN”G”21と名付けました。

企業理念、めざす事業構造、中長期甚本戦略からなるWIN”G“21は、旭化成がチャレンジする未来像であり、社員全員がこれから取り組むべき行動計画の基本となる指針でもありました。

※3つのGを勝ち取る(WIN)ための旭化成の翼(WING)。3つのGとは「Growth of Grou(グループ成長)」「Group Technology (卓越した技術力)」「Geo-Enterprise(地球企業)

ISHIN2000(1999-2002)

国際的なルールで競い、勝てる経営へ

「ISHIN2000」は、「国際的なルールで戦い、勝てる経営」を目指した経営改革に取り組むものです。本中期計画では、21世紀に向けて、経営環境の変化と連結会計、時価会計、退職給付会計等の法制度改正に対応した経営戟略の実行シナリオを明らかにいたしました。当社は、本中期計画の実行を通じて、第一に、大胆な事業構造改善による資産効率の向上と企業価値の増大、第二に、よりシンプルで分かり易く、効率性の高い経営システムヘの改革に取り組んでいきます。

方針として、「選択と集中(資本効率と労働生産性の向上)」「自己責任による自立経営(独立分社体制)」「安上がりの経営(儲かる仕組み、経営の枠組みの再構築)」を掲げ、年金や退職給付金の積み立て不足を一括償却しました。

ISHIN-05(2003-05)

選び抜かれた多角化とキャッシュフローを稼ぐ経営

「ISHIN-05」は、前中期経営計画「ISHIN2000」の基本構想を引き継ぎ、高収益型事業ポートフォリオヘの転換を加速し、顧客に新しい価値を提供できる事業を創出すると同時に、分社・持株会社制への移行など経営マネジメント体制の改革を実施し、高収益事業からなる「選び抜かれた多角化」企業を目指すものです。
2005年度計数目標は、連結売上高:13,000億円、連結営業利益:1,100億円、ROE:10%以上、D/Eレシオ:0.7以下の水準においています。

個別事業の強化およびグループ全体のポートフォリオ変革による高収益事業群を目指すにあたって、戦略に「選択と集中(高収益事業ポートフォリオへの転換)」「顧客価値の創出(2010年への布石)」「事業単位での自主自立経営(経営マネジメント体制の改革)」を掲げ、2003年10月には持株・事業会社制へ移行しました。

Growth Action 2010(2006-10)

拡大・成長への事業ポートフォリオの転換と戦略投資の実行

「Growth Action-2010」は、「分社・持株会社制」移行後に策定した初めての中期計画で、新時代を切り拓くための計画としています。かつての旭化成グループの特長であった“拡大・成長ⅢへのDNAを呼び起こし、グループが溢れる活力をもって前進していくことを目指します。

しかしながら、当社グループは、バブル崩壊後10数年、事業再構築中心の経営を強いられてきたこともあり、将来に向けた“拡大・成長"への芽が多くはないのが現状です。この事実を認識し、当社グループが“拡大・成長"するためには、さらに土壌を耕し、根気よく種まきを行って新規事業を育み、強みのある事業については積極的に拡大していくことが重要です。

「グローバル型事業の拡大」と「国内型事業の高度化」を戦略の柱として、10年までの5年間で、M&Aを含めた4,000億円規模の戦略投資を実施し、総額8,000億円の投資の実行を目指しました。

For Tomorrow 2015 (2011-15)

これからの社会の変化を先取りした“いのち”と“くらし”への貢献

“For Tomorrow 2015"では、当社グループが進むべき軸を明確にするだけでなく、日本が新たな社会システムを作りあげていく上で、当社グループが果たしうる貢献の道筋を示しました。その先にはさらに、世界への展開、世界の人びとへの貢献も広がっています。

今回、中期経営計画の策定と同時に、グループ理念、ビジョン、バリュー、スローガンを改めて制定しました。旭化成グループが比類なき価値を発揮して、企業価値を一段と高めていくためには、皆さん一人ひとりが主役となり、これらグループ理念等をよりどころに結束して行動していく“oneAK(one Asahi Kasei)"の推進が大切です。
ぜひ、心を合わせ、“For Tomorrow 2015"をともに実行していきましょう。

さらなる成長への追求として「グローバルリーディング事業の展開」と、「新しい社会価値の創出」を目指し、環境エネルギー、住・くらし、医療関連において「これからプロジェクト」を設置しました。

Cs for Tomorrow 2018(2016-18)

多様な“C”(Compliance, Communication ,Challenge, Connect)によって、飛躍の基盤をつくる

「Cs for Tomorrow 2018(CT2018)」は、事業持株会社制、および「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」という3領域へのポートフォリオ再編とともに始動しました。

本中計では、グループの総合力をよリー層発揮し、変化の激しい経営環境の中で当社グループがいかに社会へ価値を提供し貢献していくかを見つめ直しました。その結果、「クリーンな環境エネルギー社会」と「健康・快適で安心な長寿社会」を実現するために、多角的な事業と多様な人財を結束(Connect〉させることをコンセプトとし、次なる飛躍の基盤をつくるための3年間と位置付けました。

その上で私たち旭化成グループは、創業100周年とその先の2025年を見据えとなることを目指していきます。

事業ポートフォリオを「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」の3領域に再編するとともに、2016年、事業持株会社制に移行。「クリーンな環境エネルギー社会」「健康・快適で安心な長寿社会」の実現を目指し、「成長・収益性の追求」「新事業の創出」「グローバル展開の加速」を基本戦略に掲げ、7,000億円規模の投資を実行しました。

Cs+ for Tomorrow 2021(2019-21)

旭化成が目指すサステナビリティ“Care for People, Care for Earth”

持続可能な社会への課題が、世界のさまざまな場面で議論されています。
今回の中期経営計画では、人と地球の持続的な発展に貢献し続けていく旭化成グループの姿勢を、「Care for People, Care for Earth(人と地球の未来を想う)」と表現しました。
旭化成の特徴である「多様性」「変革力」を活かしながら持続可能な社会への貢献と、持続的な企業価値の向上を図っていきます。

5つの注力する分野「Environment/Energy」「Mobility」「Life Material」「Home & Living」「Health Care」で価値提供を進め、デジタルトランスフォーメーション(DX)による事業高度化を推進する新事業創出においては、社内外でコネクトによる新たな価値創造を図り、『収益性の高い付加価値型事業の集合体』を目指しました。