社史編纂通信 vol.12 2021年7月アーカイブからひとつかみ「旭化成八十年史」

『旭化成八十年史』が完成するまで

創業80周年を記念して編纂された『旭化成八十年史』は、1922年にレーヨンの製造を目的に設立された旭絹織と、日本窒素肥料による我が国最初のアンモニア合成工場の2つを起点とし、経営環境の変化と経営戦略・管理、事業活動、業績を基本に編成しています。

ミッション・インポッシブル!? 初めての社史制作

旭化成として初めての社史制作となった『旭化成八十年史』。1998年10月に設置された社史編纂室(室長と室員4名)により、社史編纂室の前身となる史料センターで一元的に保存していた会社資料や、100余りの工場史、各事業史などの基礎資料を参考に編纂されました。

ここで最初の壁が出現します。90年代後半は従業員全員にPCが支給されておらず、また資料のほとんどが紙という時代。史料センターから送られてきた山積みの段ボールを開封・整理して、PCにリスト化し、目録を作るというところから始まりました。

次に年表の作成。年史の基本となるため正確さが必須条件です。年表の完成まで3カ月を要し、そこから社史に掲載する6,300項目をピックアップ。複数の裏付けにより確定作業を進め、2,700項目まで絞り込むという苦難の作業がありました。

そして、ここからやっと社外の企業研究の専門家による執筆作業に突入。認識違いがないか、分かりやすい記述か、表現の統一がされているかなど、大学の先生が書き上げた原稿を、さまざまな角度から細かくチェックするという恐れ多い作業を続けました。

また原稿執筆が進んでいくのと並行して、掲載する写真候補を選定するという難局に見舞われます。ネガのないものも含め20,000枚以上のプリント写真を収集し、約640点を選定しました。

そして編纂方針の変更!2001年3月に当初予定していた“七十五年史”から“八十年史”へ変更することが決定したため、追加の5年分の資料収集と編集という予想外の事態がありました。

『旭化成八十年史』は、これら4年3カ月にわたる編纂の歳月を経て、02年12月に発刊されました。「旭化成」の名前を冠した初めての社史は、従業員へ頒布(はんぷ)とともに、全国の図書館や取引先などにも配られ、高い評価を得ました。

現在、この『旭化成八十年史』の続編として編纂している直近の20年史(2001-2020)では、デジタル化が進み、資料の収集や整理の作業量はかなり減りましたが、事業構造の変化やグローバル化といったグループの環境変化への対応、執筆者との認識の違い、読みやすい記述、記述方法の統一など、編集作業の道のりの困難さは同じです。この直近20年分と“八十年史”を合わせた“100年史”の発刊は、2022年度初めを予定。お楽しみに。

『旭化成八十年史』
2002年12月5日発行
発行 旭化成株式会社
編集 日本経営史研究所
印刷・製 本 凸版印刷株式会社
本編807ページ 資料編199ページ
※「旭化成八十年史」閲覧をご希望の方 は、社史編纂室までお問い合わせください。