社史編纂通信 vol.18 2022年7月企業理念の変遷

旭化成の企業理念が初めて明文化されたのは1996年。それまでは、理念という形はなく、カリスマ経営者であった野口遵や宮崎輝の考えが、そのまま経営理念に代わるものとなっていた側面がありました。その後、2001年に旭化成への社名変更と同時に「旭化成グループ理念」を制定。途中改定を経て現在のグループ理念になっています。創業者である野口遵の経営理念と、1996年以降の企業理念の変遷について紹介します。

創業者 野口 遵の理念(「人類文化向上と吾社の使命」より抜粋、1933年7月)

凡おおよそ工業と云ふものは、大衆の社会生活に必要なものでなければならぬ。無限に増大する人類の生活資料を、限りある国土に於て如何に給して行くかを考へる時、生産組織の改良が必要となり、工業の発達が促されるのである。而もっとも人類の生活には日々に向上が伴ふものであるから、単に寒さを凌ぎ飢えを満すを目的とする最低の生活資料を給するを以て工業の使命と考へてはならぬ。大衆をしてより良き生活を営ましむベく最善の生活資料を、豊富に且つ廉価に供給することに依つて始めて工業の意義が生れて来るものである。(中略)故に単に衣食の資を給しそれで以て生活難が緩和されると思ふことは大なる誤りで、吾々工業家は飽までも大衆文化の向上を念として、最善の生活資料を最低廉価に然も豊富に給することを以て究局の目的としなければならぬ。
(「旭ベンベルグ絹絲株式会社全貌」より)

1996年6月制定 企業理念

(1) 旭化成とは…
人と地球の未来をみつめ、「くらし」と「いのち」のテクノロジーで21世紀の幸せをつくる企業

(2) 旭化成の使命
1.人と社会への調和と貢献
2.地球環境への調和
3.新たな価値の創造

(3) 旭化成の経営基本方針
1.お客様の満足を大切にする経営
2.環境と安全を重視する経営
3.技術的先進性で新たな市場を創造する経営
4.強い国際競争力を備えた「リーディング事業」を育てる経営
5.バイタリティとスピードのある経営
6.相乗効果を生み出す多角化・グループ経営

2001年1月制定 グループ理念

基本理念
私たち旭化成グループは、科学と英知による絶えざる革新で、人びとの「いのち」と「くらし」に貢献します。

経営指針
1.私たちは、お客様の視点に立って共に考え、新しい価値を創造します。
2.私たちは、社員の個を尊重し、働きがいとチームワークを大切にします。
3.私たちは、国際的な高収益企業を目指し、株主及びかかわりある人びとに貢献します。
4.私たちは、地球環境との調和に努め、製品と事業活動における安全を確保します。
5.私たちは、良き企業市民として法と社会規範を守り、社会と共に歩みます。

行動スローガン
Breakthrough-Together
・Customer-focus お客様を起点とする行動
・Global-development グローバルな視野に立った行動
・Group-dynamics 自立し競いあう事業群の構築に向けた行動

2011年4月制定(改定)グループ理念

グループ理念(グループミッション)
私たち旭化成グループは、世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します。

グループビジョン
「健康で快適な生活」と「環境との共生」の実現を通して、社会に新たな価値を提供していきます。

グループバリュー
誠実:誰に対しても誠実であること。
挑戦:果敢に挑戦し、自らも変化し続けること。
創造:結束と融合を通じて、新たな価値を創造すること。

グループスローガン
昨日まで世界になかったものを。(Creating for Tomorrow)

現在のグループ理念図(2022年5月 最新版)