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プレスリリース

血糖コントロール指標グリコアルブミン測定試薬の米国における販売店契約締結のお知らせ

2018年7月24日
旭化成ファーマ株式会社

旭化成ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:青木 喜和)は、このたび、グリコアルブミン1)測定試薬の米国向け仕様製品「Lucica Glycated Albumin-L」(日本向け仕様製品販売名:「ルシカ GA-L」)について、EKF Diagnostics Holdings plc.(本社:英国カーディフ、社長:Julian Baines)の米国子会社であるStanbio Laboratory, L.P.(本社:米国テキサス州、社長:Mike Salter、以下「Stanbio」)と、米国における独占的販売権をStanbioに供与する販売店契約を締結しましたので、お知らせします。

グリコアルブミン測定試薬は、旭化成ファーマが自動分析装置用測定試薬として開発したもので、日本(2002年)、中国(2005年)、韓国(2013年)、インドネシア(2013年)、台湾(2015年)および欧州(2015年)で承認を取得し販売されています。米国においては、2017年10月12日付で米国食品医薬品局(FDA)の認可(510(k)クリアランス2))を取得しており、このたび締結された販売店契約に基づき、Stanbioが米国における流通・販売を、旭化成ファーマが製造を担うこととなります。

近年、米国では糖尿病患者が増え続けており、糖尿病により、心疾患、がん、認知症の発症リスクが高まることが確認されています。米疾病対策予防センター(CDC)は、2015年時点で、米国の人口の9%(3,030万人)が糖尿病に罹患しており、18歳以上の34%(8,410万人)が糖尿病予備群と報じており、その対策は急務です。糖尿病の治療においては、血糖値をより正常に近づけることが重要であり、そのために、米国においてもさまざまな糖尿病の血糖コントロール指標が使用されています。

糖尿病の血糖コントロール指標の中で、グリコアルブミンは、現在最も多く使用されているヘモグロビンA1c(過去2~3ヶ月の血糖コントロール状態を反映します)よりも短期間の過去2~3週間の血糖コントロール状態を反映する中期の血糖コントロール指標であり、特に糖尿病の治療開始時および治療変更時の短期的な治療効果の確認に有用とされています。また、ヘモグロビンA1cが血糖コントロール指標になりにくい妊婦、透析患者、溶血性貧血や腎性貧血の患者、ヘモグロビン異常患者等にもグリコアルブミンは有用と考えられており、これらの臨床的有用性に関するさまざまな報告※)があります。

旭化成ファーマは、このたび締結された販売店契約に基づき、Stanbioと共に血糖コントロール指標の新しい選択肢を提供することによって、米国における糖尿病治療に貢献してまいります。

  • ※)臨床的有用性に関する報告

    グリコアルブミン値の上昇が次の疾患の発症や進展に関連があると報告があります。

    • 細小血管障害(網膜症、腎症)発症や進展
    • 大血管障害(動脈硬化、心疾患等)発症
    • 糖尿病発症
    • 出産時の母子合併症の発症
    • 糖尿病透析患者の予後

Stanbio Laboratory, L.P.について

Stanbioは、米国テキサス州に本社を置く、EKFグループの基幹会社であり、特に糖尿病関連の自動分析装置用測定試薬を米国内の医療機関に提供することを通じて、質の高い医療に貢献しています。詳細はホームページをご参照ください。

EKF Diagnostics Holdings plc.について

EKFは、グローバルな先進医療・診断薬企業として、英国カーディフの本社の他、5ヵ国に拠点を有しています。EKFは、ポイント・オブ・ケアに注力しており、主に糖尿病や貧血を含む患者の診断に用いられる小型の装置や関連する製品を提供しています。また、液状試薬、酵素等の、自動分析装置に用いられる製品も取り扱っています。詳細はホームページをご参照ください。

用語解説

1)グリコアルブミン

アルブミンに糖が結合した物質をグリコアルブミンといいます。血糖値が低い状態が続けば低下し、高い状況が続けば上昇します。

2)510(k)クリアランス

米国FDAはリスクの程度に応じて、医療機器・体外診断用医薬品をクラスⅠ~Ⅲに分類しています。そのクラスⅡおよび数種のクラスⅠに分類される製品を米国において販売するためには、510(k)として知られる市販前届をFDAに申請し、そのクリアランス(認可)を取得する必要があります。

以上