旭化成グループの環境貢献製品
環境貢献製品とは
旭化成グループは中期経営計画「Cs+ for Tomorrow 2021」で、“Care for People, Care for Earth”というコンセプトのもと、持続可能な社会への貢献に取り組んでいます。
持続可能な社会に向けて、グループの生産拠点での温室効果ガスなどの排出削減に加え、社会の環境負荷低減に貢献する製品・事業の展開も重要と考えています。当社グループでは、ライフサイクル全体で考えて、現在の市場における標準と考えられる製品や自社従来製品と比べて環境改善に貢献している製品を環境貢献製品と定義しています。
当社グループでは、自社製品に対して、ライフサイクル全体での環境影響の評価(Life Cycle Assessment:LCA)を行い、製品を使用する段階でCO2削減に貢献できる製品を「温暖化配慮製品」と定義し、認定してきました。2019年1月には「環境貢献製品に関するガイドライン」※を作成し、製品のCO2を含む環境負荷の削減貢献について見直しを行いました。
- ※ガイドライン作成にあたり、日本LCA学会の『温室効果ガス排出削減貢献量算定ガイドライン』、日本化学工業協会の『CO2排出削減貢献量算定のガイドライン』、経済産業省の『温室効果ガス削減貢献定量化ガイドライン』などを参考にしています。
上記の算定にあたっては一般社団法人サステナブル経営推進機構が提供しているLCAツール「MiLCA」も活用しています。
LCA(ライフサイクルアセスメント)とは
当社グループの素材や中間製品は、製造段階でCO2を排出しますが、使用段階では省エネルギー化に貢献するなど、製品のライフサイクル全体で考えると、CO2をはじめとした環境負荷を低減することで環境改善に貢献している製品が多数あります。
このように、ライフサイクル全体を通して製品の環境影響を評価する手法がLife Cycle Assessment:LCAです。
社内認定の流れ
各事業本部・事業会社から提案された製品について、第三者機関からLCA視点で環境貢献の算定方法や考え方の妥当性について助言を受け、社内認定したものを「環境貢献製品」と定義しています。
また、認定案件の検討の際には、外部有識者から、削減貢献算定の妥当性についてアドバイスを受けています。
LCAレビューパネル(2021年7月26日実施)
- 委員長
- 稲葉 敦 氏 (日本LCA推進機構 理事長)
- 委員
- 小林 謙介 氏 (県立広島大学 准教授)
松田 圭悟 氏 (山形大学 准教授)
内田 裕之 氏 (みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社 上席主任コンサルタント)
- (参考)2019年度の様子
LCAレビューパネルでは、各担当者から算定内容を説明し、外部有識者の方々から、比較対象(ベースライン)の設定や削減貢献の考え方の妥当性についてコメント、アドバイスをいただきました。
2020年度、2021年度は、新型コロナウイルス感染防止対策としてリモート形式で開催しました。
環境貢献製品の紹介
お客様の省資源・省エネに貢献
製品名 | 認定理由 | 貢献するSDGs |
---|---|---|
リチウムイオン電池(LiB)
|
電動車[EV/HEV/PHEV]の電池(LiB)を構成する主要4部材(正極材、負極材、電解液、セパレータ)の一つ。 電動車の普及により、ガソリン車と比較して走行段階のCO2削減に貢献しています。電動車普及には電池の性能向上(航続距離延長と安全性の確保)が必須であり、当社セパレータの技術開発がその一端を担っています。 |
|
苛性ソーダ・塩素は、塩水の電気分解(電解)により製造されます。電解には「水銀法」「隔膜法」「イオン交換膜法」があり、イオン交換膜法は水銀や石綿を使用しない環境にやさしい製法です。旭化成はイオン交換膜、電解槽と電極を製造販売している世界唯一のメーカーであり、世界トップシェアを誇っています。より少ない電力で電解できるよう開発を重ねており、最新のイオン交換膜グレードは消費電力が最も低くなっています(当社比:現行グレードに比べて約2%低下)。 |
|
|
軽量化樹脂「ザイロン™」 |
エンジニアリングプラスチックの一種で、ノンハロゲンでの難燃化、低比重による樹脂使用量の削減など、環境へ配慮された素材です。その他、寸法精度、機械的強度、耐電解液特性の特長も有し、車載二次電池のセルや構造部材に多く採用され、電動車普及の一翼を担っています。 また、優れた絶縁性により、高電圧の太陽光発電システムに採用されています。高電圧のシステムでは必要なモジュール数が少なく、省資源です。また、低比重であることから、輸送段階のCO2排出量削減にも貢献しています。 |
|
アサクリンはプラスチック成形機用洗浄剤(パージ剤)です。 プラスチック成形現場では、色や樹脂種類の生産切り換えの際、ある程度の材料を流し続ける必要があり、どうしてもロスが出てしまいます。 アサクリンを生産切り換え時に使用することで、使用しない場合と比べ1/3~1/10程度の量で切り換えができ、省資源化、プラスチック廃棄物削減によるCO2削減に貢献しています。 |
|
|
道路の表層部分に使用される改質アスファルトの添加剤として使用されています。 旭化成が独自に設計した特殊なエラストマーを用いることで、道路の耐久性が上がり、道路の補修・修理の回数を削減することができます。 |
|
|
空気中のCO2濃度を測定することができる小型、高精度、低消費電力のガスセンサーです。本製品を業務用空調システムに搭載し、CO2濃度をモニターしながら換気量を最適化することで、冷暖房の消費電力削減に貢献します。 |
|
|
乗用車用タイヤのトレッド部(路面と接する部分)に使われています。独自の技術開発により、タイヤの低燃費性能とブレーキ性能を高次元でバランスさせ、自動車の燃費向上に大きく貢献しています。 |
|
|
LONGLIFE(ロングライフ)/ZEH 創エネ・高断熱・省エネによって家庭のエネルギー収支をゼロ以下とするZEH(Net Zero Energy House “ゼッチ”)基準を達成し、かつ、基本躯体構造耐用年数60年以上の長寿命住宅を提供することで、一般的な住宅に比べて部材製造・建物建築時に発生するCO2削減に貢献しています。 |
|
|
薄い厚さでも高い断熱性を有し、その断熱性能は長期にわたって維持することができるなど、トップクラスの断熱性能を誇っています。 また、業界で初めて発泡ガスとしてフロンガスや代替フロンを一切使用しないことにも成功するなど、さまざまな観点から環境にやさしい断熱材です。 |
|
|
深紫外線(UVC)波長で殺菌に最も効果的な波長265nmを発光する世界最高クラスの出力のUVC-LEDをウォーターサーバー等に搭載しています。 UVC-LEDは瞬時のON/OFF駆動が可能なため、殺菌が必要なときにのみ電力を使うという機器設計が可能となり省エネルギーに貢献します。 また、最近では水殺菌のみでなく、空気殺菌用途でも使用されています。 さらに、従来の紫外線殺菌で使われていた水銀ランプ(UVランプ)とは異なり、環境負荷物質である水銀を使わないことも特長です。 |
|
|
現像の際に有機溶剤を使用しないためVOCを低減できます。 さらに、乾燥工程の簡素化によるエネルギー低減によってCO2排出量削減に貢献しています。また、印刷時には優れた印刷品質と高生産性による印刷ロスを低減でき、CO2排出量削減に貢献しています。 |
|
バリューチェーンでの貢献
製品名 | 認定理由 | 貢献するSDGs |
---|---|---|
アクリロニトリルの製造プロセス |
ABS樹脂やアクリル繊維の原料となるアクリロニトリルは、触媒の助けを借りて、プロピレン(またはプロパン)とアンモニアを反応させることで製造されます。 旭化成は、より少ない原料から効率的にアクリロニトリルを製造できる触媒の開発を続けています。 当社の触媒は、他の一般的な触媒を使用してアクリロニトリルを製造する場合(モデルケース)と比較して原料使用量を低減できるほか、CO2をはじめとする副生成物の発生量や廃棄物処理に伴うCO2発生量を低減することができるため、環境負荷の低いアクリロニトリル製造に大きく貢献しています。 |
|
シクロヘキサノールの製造プロセス |
ナイロンほかの化学製品の中間原料となるシクロヘキサノールを旭化成が世界で初めてシクロヘキセン法で製造するプロセスを開発しました。 このシクロヘキセン法は廃棄物がほとんど発生せず、カーボン収率がほぼ100%である点が特徴です。従来の製法と比較して原料使用量や廃棄物処理に伴うCO2発生量を削減できることで、環境負荷低減に貢献しています。 |
|
CO2を原料としてポリカーボネートを製造する技術のライセンスを行っています。 他工場から排ガスとして大気放出されるCO2を回収し、本プロセスの原料として活用することで樹脂を製造する技術であり、CO2削減に貢献すると考えています。また、人体に有害となる物質を使用していないことも特徴です。 |
|
その他の環境貢献製品
■お客様の省資源・省エネに貢献
- 大量水ろ過用モジュール「マイクローザ®」
■環境負荷の低い原料による貢献
- 「Bio-PLA不織布エコライズ™」(カートリッジ式コーヒー向け)
- 「バイオグリーン・プロマックス®」(プラスチックカップ向け)