旭化成グループの環境貢献製品

社会のGHG排出量削減への貢献

旭化成グループでは、脱炭素社会構築を目指し、自社のGHG排出量削減と同時に、社会のGHG排出量削減への貢献に取り組みます。事業成長と環境貢献の両立を図るべく、2030年に向けた目標を以下のように掲げ取り組んでいます。

環境貢献製品の展開によるGHG排出量削減への貢献

  • 目標 2030年度に・GHG削減貢献量を2倍以上・環境貢献製品の売上高比率の向上 環境貢献製品のGHG削減貢献量 2020年度⇒2030年度、GHG削減貢献量2倍以上 ※GHG削減貢献量は社外の有識者の意見に基づくLCA観点での当社独自算定 環境貢献製品の売上高比率(ヘルスケア領域を除く全社売上高における) 2020年度30%⇒2030年度30%以上 ※「ヘルスケア」はCare for Peopleの観点での価値を追求する

環境貢献製品とは

持続可能な社会に向けて、グループの生産拠点での温室効果ガスなどの排出削減に加え、社会の環境負荷低減に貢献する製品・事業の展開も重要と考えています。当社グループでは、ライフサイクル全体で考えて、現在の市場における標準と考えられる製品や自社従来製品と比べて環境改善に貢献している製品を環境貢献製品と定義しています。
環境貢献製品は、日本LCA学会の『温室効果ガス排出削減貢献量算定ガイドライン』、日本化学工業協会の『CO2排出削減貢献量算定のガイドライン』、経済産業省の『温室効果ガス削減貢献定量化ガイドライン』などを参考に自社で作成した「環境貢献製品に関するガイドライン」に基づいて運用しています。

  • 旭化成のコア技術 取り組むべき環境課題→環境貢献製品 以下8つの観点で製品の環境貢献度を評価し、環境改善に貢献している製品を「環境貢献製品」と認定します。 評価項目 ①CO2削減 ②省エネルギー ③新エネルギー ④廃棄物・リサイクル ⑤水資源 ⑥原材料 ⑦生態系 ⑧環境汚染→持続可能な社会への貢献

上記の算定にあたっては一般社団法人サステナブル経営推進機構が提供しているLCAツール「MiLCA」も活用しています。

LCA(ライフサイクルアセスメント)とは

当社グループの素材や中間製品は、製造段階でCO2を排出しますが、使用段階では省エネルギー化に貢献するなど、製品のライフサイクル全体で考えると、CO2をはじめとした環境負荷を低減することで環境改善に貢献している製品が多数あります。
このように、ライフサイクル全体を通して製品の環境影響を評価する手法がLife Cycle Assessment:LCAです。

  • ライフサイクル全体の環境影響(CO2など)を評価 排出 CO2 原料採取→製造→流通→使用→廃棄

社内認定の流れ

各事業本部・事業会社から提案された製品について、第三者機関からLCA視点で環境貢献の算定方法や考え方の妥当性について助言を受け、社内認定したものを「環境貢献製品」と定義しています。
また認定案件の検討の際には、外部有識者から、環境貢献算定の妥当性についてアドバイスを受けています。

  • 提案者(LCA専門委員) 提案→←申請チェック 事務局(サステナビリティ推進部) 申請→社内審議、 確認→LCAレビューパネル 経営会議等→認定 提案者(LCA専門委員)←→アドバイザリー(産業技術総合研究所) 事務局(サステナビリティ推進部)←→アドバイザリー(産業技術総合研究所)

LCAレビューパネル(2022年7月20日実施)

委員長
稲葉 敦 氏 (日本LCA推進機構 理事長)
委員
小林 謙介 氏 (県立広島大学 准教授)
松田 圭悟 氏 (山形大学 准教授)
内田 裕之 氏 (みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社 上席主任コンサルタント)
  • (参考)2022年度の様子

LCAレビューパネルでは、各担当者が環境貢献内容を説明し、外部有識者の方々から、比較対象(ベースライン)の設定や環境貢献の考え方の妥当性についてコメント、アドバイスをいただいています。
2022年度は、新型コロナウイルス感染防止対策を講じ、対面・オンラインのハイブリッド形式で開催しました。

環境貢献製品の紹介

「製品使用段階での省資源・省エネに貢献」

製品名 認定理由 貢献するSDGs

リチウムイオン電池(LiB)
セパレータ

電動車[EV/HEV/PHEV]の電池(LiB)を構成する主要4部材(正極材、負極材、電解液、セパレータ)の一つ。
電動車の普及により、ガソリン車と比較して走行段階のCO2削減に貢献しています。電動車普及には電池の性能向上(航続距離延長と安全性の確保)が必須であり、旭化成セパレータの技術開発がその一端を担っています。
  • 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 13 気候変動に具体的な対策を
苛性ソーダ・塩素は、塩水の電気分解(電解)により製造されます。電解には「水銀法」「隔膜法」「イオン交換膜法」があり、イオン交換膜法は有害な水銀や石綿を使用しない製法です。当社はイオン交換膜、電解槽と電極を製造販売している世界唯一のメーカーであり、世界トップシェアを誇っています。より少ない電力で電解できるよう開発を重ねており、最新のイオン交換膜グレードは消費電力が一段と低くなっています(当社比:現行グレードに比べて約2%低下)。
  • 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 13 気候変動に具体的な対策を
道路の表層部分に使用される改質アスファルトの添加剤として使用されています。
当社が独自に設計した特殊なエラストマーを用いることで、道路の耐久性が上がり、道路の補修・修理の回数を削減することができます。
  • 12 つくる責任 つかう責任
  • 13 気候変動に具体的な対策を
乗用車用タイヤのトレッド部(路面と接する部分)に使われています。独自の技術開発により、タイヤの低燃費性能とブレーキ性能を高次元でバランスさせ、自動車の燃費向上に大きく貢献しています。
  • 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 13 気候変動に具体的な対策を

軽量化樹脂「ザイロン™」

エンジニアリングプラスチックの一種で、ノンハロゲンでの難燃化、低比重による樹脂使用量の削減など、環境に配慮された素材です。その他、寸法精度、機械的強度、耐電解液特性の特長も有し、車載二次電池のセルや構造部材に多く採用され、電動車普及の一翼を担っています。
また、優れた絶縁性により、高電圧の太陽光発電システムに採用されています。高電圧のシステムでは必要なモジュール数が少なくなるため、省資源です。さらに、低比重であることから、輸送段階のCO2排出量削減にも貢献しています。
  • 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 13 気候変動に具体的な対策を
アサクリンはプラスチック成形機用洗浄剤(パージ剤)です。
プラスチック成形現場では、色や樹脂種類の生産切り換えの際、ある程度の材料を流し続ける必要があり、どうしてもロスが出てしまいます。
アサクリンを生産切り換え時に使用することで、使用しない場合と比べ1/3~1/10程度の量で切り換えができ、省資源化、プラスチック廃棄物削減によるCO2削減に貢献しています。
  • 12 つくる責任 つかう責任
  • 13 気候変動に具体的な対策を
現像の際に、大気環境の悪化原因となるVOC(揮発性有機化合物)である溶剤を使用しない印刷版材です。
さらに、乾燥工程の簡素化によるエネルギー低減によってCO2排出量削減に貢献しています。また、印刷時の優れた印刷品質と高生産性による印刷ロスの低減からも、CO2排出量削減に貢献しています。
  • 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 11 住み続けられるまちづくりを
  • 12 つくる責任 つかう責任
空気中のCO2濃度を測定することができる小型、高精度、低消費電力のガスセンサーです。本製品を業務用空調システムに搭載し、CO2濃度をモニターしながら換気量を最適化することで、冷暖房の消費電力削減に貢献します。
  • 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 13 気候変動に具体的な対策を
深紫外線(UVC)波長で殺菌に最も効果的な波長265nmを発光する世界最高クラスの出力のUVC-LEDをウォーターサーバー等に搭載しています。
UVC-LEDは瞬時のON/OFF駆動が可能なため、殺菌が必要なときにのみ電力を使う機器設計が可能となり、省エネルギーに貢献します。
また、最近では空気殺菌用途でも使用されています。
さらに、従来の紫外線殺菌で使われていた水銀ランプ(UVランプ)とは異なり、環境負荷物質である水銀を使わないことも特長です。
  • 3 すべての人に健康と福祉を
  • 6 安全な水とトイレを世界中に
  • 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 12 つくる責任 つかう責任
LONGLIFE(ロングライフ)/ZEH
創エネ・高断熱・省エネによって家庭のエネルギー収支をゼロ以下とするZEH(Net Zero Energy House “ゼッチ”)基準を達成し、かつ、基本躯体構造耐用年数60年以上の長寿命住宅を提供することで、一般的な住宅に比べて部材製造・建物建築時に発生するCO2削減に貢献しています。
  • 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 11 住み続けられるまちづくりを
  • 12 つくる責任 つかう責任
  • 13 気候変動に具体的な対策を
高い断熱性を有し、その断熱性能を長期にわたって維持することができるなど、トップクラスの断熱材です。
また、業界で初めて発泡ガスとしてフロンガスや代替フロンを一切使用しないことにも成功するなど、さまざまな観点から環境負荷を低減しています。
  • 3 すべての人に健康と福祉を
  • 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 12 つくる責任 つかう責任
  • 13 気候変動に具体的な対策を

「製品製造段階での省資源・省エネ」

製品名 認定理由 貢献するSDGs

アクリロニトリルの製造プロセス

炭素繊維やABS樹脂、アクリル繊維の原料となるアクリロニトリルは、プロピレンとアンモニアを反応させて製造されます。当社は、より少ない原料から効率的にアクリロニトリルを製造できるよう、反応を助ける触媒の開発を続けています。
当社の触媒を使用した製造プロセスは、他の一般的な触媒を使用した製造プロセス(モデルケース)と比較して、①原料使用量の低減、②CO2をはじめとする副生成物の発生の低減、③廃棄物処理に伴うCO2発生量の低減、が可能で環境負荷の低いプロセスになっています。
  • 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 13 気候変動に具体的な対策を

シクロヘキサノールの製造プロセス

ナイロン他の化学製品の中間原料となるシクロヘキサノールをシクロヘキセン法で製造するプロセスで、当社が世界で初めて開発したものです。
このシクロヘキセン法は廃棄物がほとんど発生せず、カーボン収率がほぼ100%である点が特長です。従来の製法と比較して原料使用量や廃棄物処理に伴うCO2発生量を削減できることで、環境負荷低減に貢献しています。
  • 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 13 気候変動に具体的な対策を

アジピン酸の製造プロセス

ポリウレタン、樹脂の可塑剤の原料となるアジピン酸を製造するプロセスです。当社シクロヘキサン法で製造したシクロヘキサノールを原料とする当社アジピン酸製造プロセスは、製造過程で発生する一酸化二窒素(N2O)を高効率で分解を行い、GHG発生量を削減することで、環境負荷低減に貢献しています。
  • 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 13 気候変動に具体的な対策を
CO2を原料の一つとしてポリカーボネートを製造するプロセスです。この製造プロセスの技術ライセンスを行っています。
このプロセスは、他工場から大気放出されているCO2を原料として活用するため、CO2削減に貢献するものです。
製品であるポリカーボネートは、自動車のヘッドライトカバー、カーポートの屋根材、ヘルメット、水ボトル、CD/DVD/BDの基板のほか、ABSやPBTとのアロイで電気・電子機器の外装材等に使われています。
ポリエステル繊維、PET樹脂、不凍液の原料として使われるエチレングリコールが副製品です。
溶剤を使用せず原料のみで製品を製造するプロセスであり、使用済み溶剤の処理に伴う環境負荷がないことも特長です。
  • 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 13 気候変動に具体的な対策を
CO2を原料の一つとしてジメチルカーボネートを製造するプロセスです。この製造プロセスの技術ライセンスを行っています。
このプロセスは、他工場から大気放出されているCO2を原料として活用するため、CO2削減に貢献するものです。
製品であるジメチルカーボネートは、ポリカーボネートの原料や電気自動車(EV)などのリチウムイオン電池(LIB)の電解液原料として需要が急拡大しています。
ポリエステル繊維、PET樹脂、不凍液の原料として使われるエチレングリコールが副製品です。
  • 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 13 気候変動に具体的な対策を

その他の環境貢献製品

■お客様の省資源・省エネに貢献


■環境負荷の低い原料による貢献