労働安全衛生および健康経営 | 社会 | サステナビリティ | 旭化成株式会社

労働安全衛生および健康経営

方針

企業の活動がグローバルに展開されるようになる一方、社会の構造は大きく変化しています。高齢化の進展や雇用や働き方における大きな変化などです。こうした変化の中では、従業員の一人ひとりが満足感を持って能力や可能性を最大限に発揮するために、安全で快適な職場環境を作る取り組みが必要です。
旭化成グループでは従業員をかけがえのない存在と考えており、職場や作業現場における安全衛生の維持管理について、「環境保全、品質保証、保安防災、労働安全衛生および健康経営を、経営の最重要課題と認識し、開発から廃棄に至る製品ライフサイクルすべてにわたり、あらゆる事業活動においてこれらに配慮する」との会社方針のもと、従業員との協働を通じた全社的な環境の整備に努めています。

労働災害防止活動

当社グループでは2020年度より、重篤労働災害の撲滅を図るため、「旭化成ライフセービング・アクション(LSA)」を定めて、グループ全体で展開を開始しました。守らないと命を失うおそれがある下記の4つの行動を「禁止行動」として制定し、事業活動のあらゆる局面で徹底を推進しています。

  • 従来の安全活動 リスクアセスメント PDCAマネジメント OHSMS 労働安全衛生マネジメントシステム
    図 LSAの4つの禁止行動

また、従来の安全衛生活動※1にリスクアセスメント、PDCAのマネジメントを導入した労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS※2)の運用により、労働災害防止活動を継続して推進しています。

  • 従来の安全活動 リスクアセスメント PDCAマネジメント OHSMS 労働安全衛生マネジメントシステム
    安全活動との関連
  • ※1 従来の安全衛生活動 3S(整理・整頓・清掃)、HHK(ヒヤリ・ハット・気がかり)、危険予知、パトロール、事例検討等
  • ※2 OHSMS Occupational Health & Safety Management System

労働災害防止の進め方

1.潜在危険性の抽出

有効な労働災害防止対策を実施するには、職場の潜在危険性をもれなく挙げることが必要です。そのためには、安全衛生活動に強制発想(トラブル想定)の視点を入れて、モノの不安全な状態(設備、有害物、騒音等物理的有害環境など)や人の不安全な作業行動、さらに、その組み合わせで発生する危険事象に対する災害想定を幅広く実施することが重要です。

2.リスク評価

抽出された職場の潜在危険性について、災害の重篤性と災害に遭遇する頻度との組み合わせから、リスク点数を算出し、優先順位を付けます。リスク点数の高い重大リスクから低減対策を実施します。

モノの不安全な状態 人の不安全な行動 強制発想 トラブル想定 従来の安全活動 3S、HHK、危険予知、パトロール、事例検討等→潜在危険性の抽出(災害想定)→リスク評価(重篤性・頻度によるリスク算出と優先付け)→重大リスク低減対策→本質安全化 安全防護→管理の手法 安全作業基準遵守活動労働災害防止の全体像

3.重大リスク低減対策

重大リスク低減対策としては、モノの不安全な状態を安全化する本質安全化(危険作業排除、自動化、トラブルゼロ化、安全な物質への転換など)と安全防護が極めて有効とされています。右表はその原則を示したものです(文献より引用)。
当社グループでは特に重大な災害に至りやすい、機械への挟まれ・巻き込まれ型災害の対策として、機械設備等の本質安全化と安全防護(隔離と停止)による対策を重点的に推進しています。

安全対策 安全性の達成度 1 本質安全化 100% 2 安全防護 80% 3 管理の手法 表示・警告等 20% 4 管理の手法 マニュアル・許可制等 20% 出典 : 中央労働災害防止協会(1999) 「職場のリスクアセスメントの実際」p.26安全対策構築の原則

本質安全化・安全防護対策

安全対策構築の原則に則って、設備の新設・変更・既存設備見直し・事故発生時の対策等として本質安全化と安全防護による対策を推進しています。

安全作業基準遵守活動

当社グループでは、安全作業基準の遵守活動にて安全の確保に努めています。具体的には、日々の業務での安全作業基準遵守状況をチェックするなど、工夫して実行しています。また、設備等の改善が難しい作業に関しては、特別管理作業と位置づけて厳重な管理のもとに作業を行っています。

  • 安全作業基準個別作業ではなく類似した複数の作業に共通する基本的事項を定めた安全原則。例えば、機械への挟まれ・巻き込まれ防止対策として運転中の露出部には手を出さない等

労働災害情報の共有と活用

労働災害が発生した事業所では原因究明と再発防止対策を行います。当社グループ内ではすべての労働災害情報をデータベース化して共有し、安全教育や事例検討、類似災害防止などに活用しています。

労働災害発生状況

2020年度は誠に残念ながら、設備解体工事時の引火爆発事故により、協力会社1名の方の死亡災害が発生しました。現在、このような事故の再発を防ぐべく、全社を挙げて取り組んでいます。
また、2020年度は国内グループ従業員では12件の休業災害が発生しました(2012年度以降、死亡災害は発生していません)。発生した災害を事故の型で分類すると、近年、「墜落・転落」の占める割合が高くなってきている傾向があります。前述のライフセービング・アクションも合わせ、重大事故につながりやすい「墜落・転落」の防止だけでなく、他の事故の型の労働災害の防止も推進していきます。

  • 休業災害25件 転倒28.0% 墜落・転落20.0% 交通事故(道路)12.0% 高温・低温の物との接触12.0% 機械への挟まれ・巻き込まれ4.0% 挟まれ・巻き込まれ4.0% 激突8.0% 動作の反動・無理動作4.0% 飛来・落下4.0% 事故の型その他4.0%
    休業災害事故の型(2020年度 国内)
  • 休業災害148件 転倒26.4% 交通事故(道路)16.2% 動作の反動・無理動作14.2% 墜落・転落8.1% 高温・低温の物との接触7.4% 機械への挟まれ・巻き込まれ7.4% 挟まれ・巻き込まれ3.4% 交通事故(その他)2.7% 激突2.7% 分類不能2.0% 飛来・落下2.0% 事故の型その他2.0% 激突され2.0% 有害物等との接触1.4% 切れ・こすれ1.4% 火災0.7%
    休業災害事故の型(2011~2020年度 国内)
  • 旭化成グループ ’10年度0.21、’11年度0.36、’12年度0.16、’13年度0.40、’14年度0.20、’15年度0.30、’16年度0.35、’17年度0.30、’18年度0.41、’19年度0.44、化学工業 ’10年度0.72、’11年度0.88、’12年度0.85、’13年度0.82、’14年度0.76、’15年度0.81、’16年度0.88、’17年度0.81、’18年度0.90、’19年度0.94、製造業 ’10年度0.98、’11年度1.05、’12年度1.00、’13年度0.94、’14年度1.06、’15年度1.06、’16年度1.15、’17年度1.02、’18年度1.20、’19年度1.20、※ 旭化成グループは年度、化学工業と製造業は暦年
    グループ休業度数率※1
  • 旭化成グループ ’10年度0.005、’11年度0.169、’12年度0.153、’13年度0.013、’14年度0.005、’15年度0.005、’16年度0.024、’17年度0.005、’18年度0.008、’19年度0.074、化学工業 ’10年度0.04、’11年度0.04、’12年度0.12、’13年度0.12、’14年度0.17、’15年度0.04、’16年度0.03、’17年度0.09、’18年度0.06、’19年度0.02、製造業 ’10年度0.09、’11年度0.08、’12年度0.10、’13年度0.10、’14年度0.09、’15年度0.06、’16年度0.07、’17年度0.08、’18年度0.10、’19年度0.10、※ 旭化成グループは年度、化学工業と製造業は暦年 ※ 2011年度は機械挟まれによる死亡災害、2012年度は転倒による後遺症災害、2019年度は機械巻き込まれによる後遺症災害が各1件発生し、強度率が高くなった。
    グループ強度率※2
  • ※1 休業度数率 労働災害の発生率を表す安全指標の一つで、以下の式で算出されます。[休業度数率=休業災害被災者数÷延べ労働時間×100万時間]
    休業度数率0.1以下というのは、例えば、工場の従業員が100名であれば、50年間に1名しか休業災害を起こさないという、大変高い目標です。
  • ※2 強度率 労働災害の軽重を表す安全指標の一つで、以下の式で算出されます。[強度率=労働損失日数÷延べ労働時間×1,000時間]

快適職場形成の改善活動

化学物質などの管理として、有機溶剤中毒予防規則・特定化学物質障害予防規則・粉じん障害防止規則などが適用される単位作業場では、作業環境測定法に基づく測定を毎年実施しています。さらに、化学物質取り扱いにおけるリスクアセスメントも行い、化学物質に起因するリスクの把握と低減にも取り組んでいます。
また、騒音ならびに暑熱に関しては、作業環境測定データをベースに作業管理を行い、個人への負荷を下げる管理を実施しています。引き続き、設備改善対策や作業見直しなどの改善を進めています。

旭化成ファーマ株式会社 医薬営業本部 MRの交通安全活動

1. はじめに

旭化成ファーマは、「いのちの数だけ、アンサーを」をスローガンに、「ひとりひとりの“いのち”に真摯に寄り添い、豊かなアイデアと確かなサイエンスで、アンメットメディカル(治療法が見つかっていない疾患に対する医療)ニーズを解決する」というミッションのもと、全社一丸となって事業活動を進めています。
今回は、医薬営業本部で改善を続けてきた、MR(Medical Representatives)の交通安全活動をご紹介します。

2. 交通事故防止への取り組み

旭化成ファーマのMR は現在約660名。医薬情報担当者とも呼ばれ、病院やクリニックの医師、薬剤師などの医療従事者を訪問し、情報提供・情報収集を行うことが主たる業務です。医師・患者の立場に立ち、医療の一翼を担うパートナーとして社会貢献度の大きな仕事です。
拠点となる支店・営業所・出張所は全国に61カ所あります。社有車で医療機関を訪問するため、交通災害が安全上の大きな課題で、実際に交通事故(駐車場での軽微な物損事故含む)が多発したため、2018年度から交通安全活動を最重点活動テーマとして取り組んでいます。
3M(Man、Machine、Management)分析を用いて過去の事故原因を分析し、対策につなげています。
 ・Man:事故発生率の高い新卒MRへの教育強化
 ・Machine:バックモニター、ブレーキ補助システムの搭載
 ・Management:ドライブレコーダーによる事故原因の分析、交通違反ゼロプロジェクト
また、この活動では、一人ひとりが交通事故、違反を発生させないために何をすべきかを本気で考え実行できる職場安全風土の構築も目指しています。
当初は、交通事故を撲滅したいというトップからの強い思いの発信から始まった活動でしたが、本音の議論を重ねる中でMR一人ひとりの“当事者意識”が高まり、「ご安全に」と声をかけながら出掛けていく安全風土が構築され、2020年度の交通事故は2015年度の36%まで減り、大きな成果につながっています。

  • 年度別交通事故推移

3. 運転技術向上への取り組み

新卒MRは自動車運転経験が浅いため事故発生者率が高く、各種対策を行ってきました。配属前の「安全運転講習」や「運転技術向上訓練」、配属後は配属地に特化した「地域特性研修」や「所長の同乗同行教育」等、新卒MRへの交通安全教育を実施しています。
特に、事故の要因として狭い道や車庫入れ時の未熟な運転技術があると考え、ドライビングスクール協力のもと「運転技術向上訓練」に特に力を入れています。この訓練では、“実際に配属後使用する同種のリース車”を使用することがポイントであり、「実車での死角確認」や「狭路の通り抜け」「立体駐車場での運転」等、過去事故が多く発生したシチュエーションでの運転技術訓練を安全な環境のもと実施しています。
これにより、2020年度新卒MRの事故発生者率は、2016年度の1/7まで減少しました。

  • 新卒MR運転技術向上訓練(狭路の通り抜け)
  • 新卒MR運転技術向上訓練(立体駐車場バック駐車)

4. 交通違反ゼロへの取り組み

交通事故の背景には、交通違反があると考え、交通安全活動の大きな柱として交通違反ゼロプロジェクトを進めています。特に重篤災害につながる「携帯電話の使用」「30km/時以上の速度超過」「信号無視」を指定交通違反と定め、これらの違反の撲滅を強力に推し進めています。
2020年度、「携帯電話の使用」による違反はついにゼロを達成しました。
現在、MR一人ひとりの“当事者意識”のもと、違反ゼロに向けた原因解析・対策を職場ごとに進め、ゼロ化を目指しています。

アスベスト問題への対応

当社ではアスベスト問題に対して、以下のように対応いたしました。

具体的な対応
工場を含む旭化成グループ所有建物の対応 旭化成グループが所有する工場を含む所有建物のアスベスト調査を実施し、「石綿障害予防規則」に基づいた除去、封じ込め、あるいは囲い込み等の対応を計画的に実施いたしました。
工場におけるジョイントシート類のアスベスト代替化 アスベストが使用されているジョイントシート類は、点検・整備等で開放するタイミングで順次、非アスベストタイプの部材への取り換えを行っています。
旭化成グループを退職された方の健康面への対応 当社グループでは石綿障害予防規則が適用される「アスベストを製造し、または取り扱う作業」はありませんが、当社グループの在職中に保全等で臨時的に石綿を取り扱った経験がある退職者の方から申し出があった場合は健康診断を受けていただくとともに、その後のフォローをしております。

旭化成グループ退職者の皆様へ

方針および推進体制

昨今、就労年齢の上昇、経営・社会環境の変化によるストレスの増加など、従業員の健康を巡る状況は大きく変わってきています。他方、旭化成グループが社会に向け、事業を通じた価値提供をしていくためには、従業員の創造性と生産性が一段と発揮されることが必要となっています。
そこで、当社グループでは、これまでのレシポンシブル・ケア活動における健康管理を発展させ、健康に関する取り組みを全社経営課題と位置づけた「健康経営」を展開することとしました。
具体的には、2020年1月に健康経営推進室を設置、同年4月付で健康経営担当役員・同補佐を設置し、同年10月に、「健康経営宣言」を発出しました。企業価値を持続的に向上させていく上で、従業員が心身共に健康で活躍できる環境を、会社として整備することがますます重要になってきています。同宣言において掲げた、「グループ健康経営ビジョン」に基づき、「健康経営」をさらに推進していきます。
2021年4月には、国内の主要拠点の産業保健スタッフが所属する健康管理センター等を、健康経営推進室の傘下とし、健康に関わる業務の標準化、全体最適化、拠点間の連携を強化しグループ共通課題に迅速に対応できる体制に移行しました。

  • 「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

【健康経営宣言】

旭化成グループは、私たちの強みである「多様性と変革力」を武器に「持続可能な社会」の実現に貢献し、「企業価値の持続的向上」を追求しています。この実現には、「人財」がすべてだと考えます。
従業員が心身共に健康で、皆が活躍できる環境を会社として整備することが今後、ますます重要になっていきます。これまで展開してきた健康保持・増進の取り組みをさらに発展させた「健康経営」を、「グループ健康経営ビジョン」を掲げて推進することを宣言します。

2020年10月 旭化成株式会社 代表取締役社長 小堀 秀毅

【グループ健康経営ビジョン】

旭化成グループは、「一人ひとりの活躍・成長」と「グループの生産性向上・発展」を通じて、さらに「持続可能な社会」の実現に貢献します。そのため会社は、従業員と家族が心身共に健康で、従業員の働きがいと生きがいを高めていきます。

健康経営の実現に向けて

近年、当社グループでは、従業員の総休業日数の増加傾向等により、医療費や労働損失が増加しています。旭化成健康保険組合の保険給付費については、2016年度75億円から、やや増加し、2020年度は76億円でした。また、傷病等に起因する従業員の総休業日数については、2016年度に比べ、2020年度は12%の増加となりました。

当社グループでは、「従業員と家族の心身の健康保持・増進」を、健康経営の基盤と考えており、従業員の休業日数増加の原因となっているメンタルヘルス不調、がん、生活習慣病関連疾患等への対策を進めています。

旭化成健康保険組合の保険給付費の推移

さらに、健康経営の目的である「一人ひとりの活躍・成長」「働きがい・生きがい向上」「活気あふれる強い組織風土づくり」に向けて、各施策・活動を進めることで、「グループの生産性向上・発展」を行い、中期経営計画 「Cs+ for Tomorrow 2021」で目指しているサステナビリティ(「持続可能な社会への貢献」「持続的な企業価値向上」)の実現に取り組んでいきます。

健康経営の全体像

健康経営目標

健康経営の目的達成のためには、「従業員の活躍・成長機会等の創出」「個人/組織活性化」が重要であると考えています。
「従業員の活躍・成長機会等の創出」のために、従業員の休業日数の削減を進めます。さらに、休業日数の削減だけでは、健康経営を進める上で不十分であると考え、出社している「個人/職場の活性化」を進めていきます。
また、生産性向上の観点からプレゼンティーズム※1の多くを占めていると言われている「睡眠」の質・量の向上にも取り組みます。
このようなことから、当社グループでは、①従業員の活躍・成長機会等の創出(休業率の改善=メンタルヘルス不調、生活習慣病重症者、メタボリックシンドローム該当者、がん、禁煙への対策)、②個人・組織活性化(ワーク・エンゲージメント※2の向上)、③睡眠の質・量向上を、主要な健康経営目標の項目に設定しました。

  • ※1プレゼンティーズム : 出勤しているが、心身の健康上の問題でパフォーマンスが上がらない状態。従業員の生産性を測るWHO-HPQを用いた経済産業省の研究等において、プレゼンティーズムが健康関連総コストの6~8割を占めるとの報告がある。
  • ※2ワーク・エンゲージメント : 仕事に関連するポジティブで充実した心理状態として、熱意・没頭・活力の3つの構成要素からなります。

①従業員の活躍・成長機会等の創出(休業率の改善)

2019年度
実績
2020年度
実績
2021年度
目標
2024年度
目標
メンタルヘルス不調による休業者率 0.91% 0.98% 0.85% 0.64%
生活習慣病重症者率 11.0% 11.0% 11.0% 7.7%
メタボリック症候群該当者率 11.1% 11.4% 11.1% 7.8%
がん1件あたり休業日数 79.2日 68.1日 76.0日 67.3日
喫煙率 25.8% 24.7% 23.1% 15.5%
  • 自社基準に基づき選定

②個人・組織活性化(ワーク・エンゲージメントの向上)

当社グループでは、毎年7月に、心の健康支援システム「e診断:職業性ストレス簡易診断システム(株式会社富士通ソフトウェアテクノロジーズ)」を用いて、メンタル面の診断を実施しています。これは、従業員自身のストレス状況について気付きを促し、メンタルヘルス不調のリスクを低減させるために実施する、一次予防を目的とした取り組みです。また、職場に起因するストレス要因そのものを低減させていくことを目的に、「e診断」結果を職場単位で分析し、職場単位でストレス状況やその要因を把握し、職場環境改善活動も進めています。
さらに、設問が広範囲であった従業員意識調査よりも、各職場の「ワーク・エンゲージメント『熱意』『没頭』『活力』」の状況を、より詳細に分析、可視化することができる「KSA(活力と成長アセスメント)」を、2020年度に導入しました。「KSA」の分析結果を活用し、各職場の従業員同士が対話を行うことで、さらなるワーク・エンゲージメントの向上を目指していきます。
また、今後、各職場の「さらなる個人と組織の活性化」に向けた支援ツールとして、「e診断」と「KSA」の調査結果を総合的に活用できる仕組みを構築します。

③睡眠の質・量向上

プレゼンティーズムは、一般的に、健康関連総コストの 6 ~8 割を占め、医療費の数倍にもなっていると言われています。睡眠の質・量が、メンタルヘルス不調に続くプレゼンティーズムの大きな原因と考えられており、その改善のための施策を推進していきます。
具体的には、①睡眠の評価方法の確立、②十分に睡眠が取れていない従業員への対応方法の検討、③睡眠リテラシー向上に向けた教育研修を進めていきます。

具体的な取り組み

メンタルヘルスケアの推進

当社グループでは「メンタルヘルスケア・ガイドライン」に基づき、メンタルヘルスの「4つのケア」を充実させることにより、メンタルヘルス不調による休業者率低減に取り組んでいます。

  • ①「セルフケア」

    メンタルヘルス不調による休業要因は、多岐にわたり、かつ一つに特定できないことが多く、対応は簡単ではありません。その中で、休業要因が、どこにあるとしてもまず、従業員一人ひとりが、自らストレスの状態を把握、認識し、ストレスの予防、軽減策を講じることを支援していくことが、一次予防策として、重要であると考えています。
    ストレスやメンタルヘルスへの対処方法等への理解を促すため、新入社員、キャリア採用者を皮切りに、メンタルヘルスに関する研修を実施・強化していきます。

  • ②「産業保健スタッフなどによるケア」

    心の健康支援システム「e診断」を運用し、個人のストレス調査と併せて、職場のストレス分析「健康いきいき判定」も行っています。
    また、東京、大阪の事務所地区において、異動者に対して、異動等による環境の変化があった後の生活や仕事への適応状況を確認し、不調の兆候がある従業員に対して早期に対応することで、重症化を予防することを目的に、「異動者健康アンケート」を開始しました。

  • ③「ラインによるケア」

    「ラインによるケア」の一環として、健康いきいき判定シートの活用(延岡地区)、MIRRORを活用した職場改善(富士地区)等、各地区で職場環境の改善につなげています。また、水島地区にて、人事部門、産業保健スタッフ、労働組合とも連携しながら、「e診断」と「KSA」を総合活用したワークショップを2020年度に実施しました。

    • MIRROR:職場環境改善ツール。望ましい職場の姿に関するチェックとディスカッションを行う。
  • ④「専門機関によるケア」

    当社グループでは、メンタル疾患およびそれ以外の傷病により休業した人が、その後円滑に職場復帰できるように「リハビリ勤務制度」を設置しています。さらに各地区・事業所では、外部講師による研修やカウンセリングの導入などの「専門機関によるケア」の活動も実施しています。

  • ⑤メンタルヘルス不調休業者の直接要因および背景事象の分析

    メンタルヘルス不調による休業者数の低減を目的に、「休業者ストレス分類ツール」を活用して、休業に至った原因を産業保健スタッフの視点で、面談結果から直接の要因や背景について寄与割合を同ツールに入力し、その傾向や特徴を地区ごとに分析し、グラフで可視化します。また、各地区の結果を全社で集計し、職種や職階など多様な視点で分析し、全社で共有し、対策を講じています。

生活習慣病重症者、メタボリック症候群該当者への取り組み

当社グループでは、従業員の健康保持・増進のため、生活習慣病の予防および対策を推進しています。従来より実施している特定保健指導「Asahiヘルスアッププログラム」の運用に加えて、2021度よりその対象層を広げることにより、従来ではリーチの届かなかった層に早期に関与していくことで、生活習慣病の予防に役立てようとしています。

喫煙率低下への取り組み

従来、旭化成健康保険組合が企画、実施している禁煙参加企画「禁煙チャレンジ」に加え、それぞれの拠点ごとに、喫煙者に対する禁煙セミナー等のイベントを開催しています。さらに、受動喫煙問題に対応するため、喫煙所の削減や屋外化、就業時間内の全面禁煙などへ向けた取り組みを進めています。

健康経営戦略マップ

健康経営で解決したい経営上の課題に対して、健康経営の投資や施策により期待する効果や具体的な取り組みのつながりを把握し、健康経営を推進しています。これらの関係性を図解したものを整理しました。

<トピックス>

ウォーキングアプリ「&well」を活用した運動習慣の定着

生活習慣病重症者、メタボリック症候群該当者の低減に向け、定期的な運動習慣定着を目的として、2020年度に事務所地区の従業員639名、72チームが、平均歩数を競う「“&well”ウォークチーム対抗戦」に参加しました。同対抗戦では、当社を含め11社、340チームが参加し、当社は企業順位で4位となりました。
昨今の在宅勤務下においても、参加者の行動変容・健康意識の増進、コミュニケーションの活性化が確認でき、参加者の多くが好意的に捉えていることを踏まえ、事務所地区において、2021年度より「&well」を正式導入しました。他の拠点においても展開していきます。

  • 三井不動産が企画・運営

産業保健スタッフから、職場ごとに従業員の心身の状態を集団として可視化し、部場長に報告

当社グループの主要製造拠点である延岡地区、富士地区では、健康診断結果、生活習慣データ、傷病休業等のデータ等を、各部場ごとに解析し、産業保健スタッフから、集団としての解析結果を、各職場の責任者に報告しています。これは、各職場の責任者が、自分の職場の従業員の心身の集団としての状態を、客観的に理解、課題を把握し、職場ごとの改善策を講じることを目的としています。

  • 新型コロナウイルス感染拡大前の取り組みの模様