汚染と資源

方針

旭化成グループでは、地球環境対策に関する方針の中に「循環型社会の構築」を掲げ、ライフサイクル全体を通して効率的な資源・エネルギー利用と環境負荷低減を目指しています。産業廃棄物削減、化学物質の負荷低減、大気汚染・水質汚濁防止、資源の有効活用等の各取り組みを通じて、循環型社会の構築に向けて取り組んできました。
また、「中期経営計画 2024 ~Be a Trailblazer ~」(2022-2024年度)に掲げるCare for Earthにおいて、カーボンニュートラルでサステナブルな世界の実現に向けて、循環型経済社会の構築にも貢献していきます。

産業廃棄物削減

当社グループでは、産業廃棄物の抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)に取り組み、再資源化率の向上および最終処分率の低減に取り組んでいます。
2021年度の産業廃棄物発生量は326.3(千トン)で、うち特別管理産業廃棄物は23.1(千トン)でした。
産業廃棄物発生量に対し、①全体の最終処分率を0.3%以下、②建設業以外の最終処分率を0.1%以下とする目標を掲げ活動を進めてきました。その結果、2021年度全体の最終処分率は0.09%、建設業以外の最終処分率は0.02%と目標を達成しました。今後も分別や処分先の選定で最終処分率の低減を推進します。
また、2021年度までに廃プラスチックの埋め立てをゼロにする目標に向けて取り組んできましたが、混合廃棄物の分別を十分に行えず、2021年度は0.5トンとなり2021年度は目標を達成できませんでした。今後も廃棄物の分別を行い、ケミカルリサイクル、マテリアルリサイクルを促進するとともに、埋め立て量ゼロに向けて取り組んでいきます。
PCB廃棄物の管理と処分についても、ステンレス容器などに入れて倉庫で保管する等管理を徹底するとともに、低濃度PCB廃棄物も含めた処分も計画的に進めていきます。PCB含有電気工作物においては把握、更新を計画的に行い、処分をすすめています。さらに、低濃度PCB廃棄物の処分も計画的に進めていきます。
また、産業廃棄物管理票(マニフェスト)による日常管理に関して、電子マニフェスト化を進め、管理の強化を行っています。さらに産業廃棄物収集・運搬業者および処理業者が適正な処分を行っているか、定期的に現地を訪問して、その処理状況を確認しています。

  • PCB(ポリ塩化ビフェニル)"Polychlorinated Biphenyl"の略で、難分解性かつ、人の健康および生活環境に被害を及ぼすおそれがあるため、日本では製造・使用が実質的に禁止されています。
  • 廃棄物発生量326.3(100%) 内部処理 再資源化量87.9(26.9%) 減容化量(焼却、脱水など)0.7(0.2%) 埋立処分量0.0(0.0%) 外部排出量237.8(72.8%) 外部処分 再資源化量235.6 (72.2%) 減容化量(焼却、脱水など)1.8 (0.5%) 埋立処分量0.3(0.1%) 全体 再資源化量323.5 (99.2%) 減容化量2.5(0.8%) 埋立処分量0.3(0.1%) (単位:千t) *旭化成ホームズの建設現場における産業廃棄物は含まれておりません。 *数値は、四捨五入の関係で個々の数値を合計したものと合計値が異なる場合があります。
    廃棄物処理フロー(2021年度実績)
  • 全体 2017年度 0.24% 2018年度 0.21% 2019年度 0.28% 2020年度 0.09%、2021年度 0.09%  建設業以外 2017年度 0.21% 2018年度 0.17% 2019年度 0.08% 2020年度 0.05% 2021年度 0.02% 全体目標値 0.30%、建設業以外目標値 0.10%
    最終処分率の推移(全体および建設業以外)
  • 2017年度214t、2018年度146t、2019年度45t、2020年度0t、2021年度0.5t
    廃プラスチック埋立量の推移
  • 最終処分量の推移 2000年度26.8千t、2017年度0.8千t、2018年度0.7千t、2019年度1.1千t、2020年度0.3千t、2021年度0.3千t
    最終処分量の推移
  • 最終処分廃棄物の種類 がれき類24.2% 燃え殻20.1% 石綿含有産業廃棄物19.1% 安定型混合廃棄物13.3% ガラス・陶磁器くず9.6% その他13.8%
    2021年度最終処分廃棄物の種類
    (ホームズの建築現場における産業廃棄物を除く)

建材・住宅事業の産業廃棄物の削減

建材事業においては、旭化成建材の広域認定制度により販売したヘーベルパネルを回収し、自社工場や他社でリサイクルしています。また、旭化成ホームズでは、住宅建設現場の廃棄物の発生量の削減、廃棄物の分別回収に取り組んでおり、新築建設現場では、最終処分量ゼロを継続しています。

  • 建設現場→へーベル廃材→旭化成建材広域認定工場 穂積工場/岩国工場・境工場→へーベル、建設現場→へーベル廃材→委託工場(関東)外部委託→セメント原料・軽量人工土壌
    「ヘーベルパネル廃材」リサイクルの仕組み
  • 新築工事+解体工事 2000年度55.7千t、2017年度11.7千t、2018年度14.1千t、2019年度14.1千t、2020年度10.2千t、2021年度8.8千t
    建設現場での産業廃棄物の最終処分量推移
  • 広域認定制度環境大臣が産業廃棄物の再資源化に資する広域的な処理を行う者を認定し、関係する地方公共団体ごとの許可を不要とする特例制度のこと。産業廃棄物の再資源化をより一層促進させるために創設されました。

廃棄物の再資源化の取り組み

当社グループでは循環経済に向けた取り組みとして産業廃棄物の再資源化の取り組みを進めています。

  • 再資源化廃棄物を原材料として再利用する「マテリアルリサイクル」、廃棄物を化学的処理により他の化学物質に転換して再利用する「ケミカルリサイクル」を指します。
  • 2021年度 マテリアルリサイクル 69.4% ケミカルリサイクル 1.6% 熱回収 21.6% 減量化 1.5% 最終処分 5.9% 2020年度 マテリアルリサイクル 71.2% ケミカルリサイクル 1.6% 熱回収 21.6% 減量化 1.1% 最終処分 4.5% 2019年度 マテリアルリサイクル 65.1% ケミカルリサイクル 0.4% 熱回収 28.0% 減量化 1.7% 最終処分 4.9%%
    旭化成グループ廃棄物の再資源化状況

化学物質の負荷低減

当社グループでは、PRTR※1法対象物質や自主的に定めた化学物質に関して、有害性の高いものや排出量の多いものから優先的に削減に取り組んでいます。下記のグラフに示すように、PRTR法対象物質の排出量およびVOC※2排出量は、2000年度対比それぞれ94%、90%削減しました。今後も運転管理、設備管理を強化し、不測の排出を削減していきます。
フロン類算定漏えい量の集計は2021年度から旭化成グループ全体で行っています。2021年度の旭化成グループのフロン類算定漏えい量は1,725t-CO2でした。

  • 大気排出量+水域排出量 2000年度4,890千t、2017年度390千t、2018年度570千t、2019年度350千t、2020年度300千t、2021年度290千t ※土壌への排出は「0」です。 ※2010年度より法改正に伴うPRTR法対象物質の増減を反映しています。
    PRTR法対象物質排出量の推移
  • 排出量 2000年度10,400t、2017年度1,350t、2018年度1,400t、2019年度1,100t、2020年度920t、2021年度1,000t
    VOC排出量の推移
  • ※1PRTR制度 "Pollutant Release and Transfer Register"の略で、有害性のある化学物質を取り扱う工場や事業所が、化学物質ごとに環境への排出量や、廃棄物としての移動量を把握・報告(登録)し、その結果を国が公表する制度です。
  • ※2VOC "Volatile Organic Compounds"の略で、揮発性有機化学物質のことです。排出されたときに気体状の物質すべてを指します。ただし、メタンおよび一部フロン類は、オキシダントを形成しないことからVOC規制から外れています。

大気汚染防止

当社グループでは、大気、水域および土壌や地下水を汚染しないよう、排出管理、漏えい防止対策を実施しています。また、臭気対策としての排ガス吸収設備の導入や、排水処理施設の能力増強等、設備対応も実施しています。土壌汚染に対しては、土壌汚染対策法および関係条例に則り、調査・措置を実施しています。大気汚染防止法に関わる物質については、規制基準内に管理しました。

  • 延岡+水島+守山+富士+大仁+川崎+鈴鹿+その他 2017年度6,600千t、2018年度6,000千t、2019年度6,300千t、2020年度5,200千t、2021年度6,800千t
    SOx排出量の推移
  • 延岡+水島+守山+富士+大仁+川崎+鈴鹿+その他 2017年度3,300t、2018年度3,300t、2019年度3,400t、2020年度3,600t、2021年度3,500t
    NOx排出量の推移
  • 延岡+水島+守山+富士+大仁+川崎+鈴鹿+その他 2017年度110t、2018年度140t、2019年度90t、2020年度110t、2021年度140t
    ばいじん排出量の推移

資源の有効活用

2019年のG20で大阪ブルー・オーシャン・ビジョンが示された通り、海洋プラスチックごみ問題は世界で力を合わせて取り組むべき課題です。そこで当社は海洋のマイクロプラスチックがどのように生成されるのか解明するため、九州大学と協働を進めているほか、プラスチックの正しい使用や処理についての業界団体での啓発活動に参画しています。使用済みのプラスチック、資源として有効活用することも大切であるため、3R(Reduce,Reuse,Recycle)の取り組みも進めています。

  • 当社の主な貢献機会 易リサイクル素材 長寿命化 中古品流通 業界/行政との協働 リサイクル技術 基礎化学品創出 デジタルインフラ 持続可能な資源利用 再生可能原材料→素材製造(従来の貢献)→最終製品化→使用→リユース→回収→分別→資源化
    サーキュラーエコノミーの考え方

サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組み

「BLUE Plastics(ブルー・プラスチックス)」プロジェクト

当社グループではSDGs(持続可能な開発目標)に象徴されるサステナビリティへの取り組みの一環として、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みをアカデミアや他社と協働して進めています。
当社はポリエチレン・マテリアルリサイクルへの取り組みとして日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)の技術支援を受けた「BLUE Plastics(ブルー・プラスチックス)」プロジェクトを発足させ、ブランドオーナーの立場からライオン株式会社、成形および最終製品化の各工程を専門とするメビウスパッケージング株式会社、リサイクルメーカーの立場から株式会社富山環境整備が協力することで、資源循環社会の実現に向けた取り組みを進めています。

  • 既存のバリューチェーン リサイクル技術 ポリスチレン(PS)ケミカルリサイクル ポリエチレン(PE)マテリアルリサイクル 原材料 リサイクル材の活用 バイオマス原料の活用 サーキュラーを促進するデジタルプラットフォーム BLUE Plastics
  • 回収分別 富山環境整備 →原料配合ペレット化 Asahi KASEI 〈アカデミア〉物性再生技術:福岡大学 機構解析:神戸大学 →成形加工 メビウスパッケージング株式会社 →最終製品化 LION →回収分別
  • 「BLUE Plastics」プロジェクトの概要
    「BLUE Plastics」プロジェクトは、資源の循環を促進させるデジタルプラットフォームの構築を目指して旭化成により発足しました。日本IBMはIBM Cloud上で稼働するブロックチェーン技術を活用することでデジタルプラットフォームの構築を支援します。ブロックチェーン技術は、すべての履歴を連続的に記録する「不可逆」なデータベース技術で、関係者全員がアクセス可能でありながらデータ改ざんが不可であるため、トレーサビリティ(追跡可能性)を担保します。日本IBMのブロックチェーン技術を土台に、回収、ペレット化、成形および最終製品化の各工程を専門とする株式会社富山環境整備、メビウスパッケージング株式会社、ライオン株式会社が協力することで、資源循環社会の実現を加速させます。