品質保証

方針

旭化成グループがお客様に提供している「製品・サービス」とは、当社グループが社内外に提供する、素材、製品、施工、サービス、およびアフターサービスまでのすべてを含むものです。お客様が満足する安心・安全な「製品・サービス」を提供することが、当社グループの使命であると考えています。
当社グループは、2016年に「旭化成グループ品質方針」「グループ品質保証細則」を制定し、これに基づき、お客様・社会が満足する「製品・サービス」を提供するべく、品質保証を推進しています。
ウィズコロナ、アフターコロナの時代を迎え、「非連続で不可逆な構造変化も革新の機会と捉え、自発的に行動する」ことを強く意識するため、2020年8月1日付で「旭化成グループ品質方針」を変更しました。

旭化成グループ品質方針

旭化成グループは、絶えず変化する顧客・社会のニーズを柔軟に先取りし、安心・安全を確信できる品質の製品・サービスを実現・提供する。

マネジメント体制

2019年4月より専任の品質保証担当役員を任命し、マネジメント体制のさらなる強化を図っています。
当社グループ全体の品質保証活動は、旭化成の品質保証部が総括しています。
品質保証部は、社内各組織の品質保証活動の強化を支援する品質保証グループ、総合化学メーカーとしての製品安全対応を確実にするための機能を担う製品安全グループ、ならびに新たな企画提案および社内外組織との円滑な橋渡しを担う品質保証企画グループの3つのグループで構成されています。グループ品質保証体制のハブとしての本社機能を同部署が担い、グループ全体の活動に横串を通し、お客様・社会に安心・安全な「製品・サービス」をお届けする品質保証の強化に日々努めています。
また、品質保証部が『グループ品質保証⽉報』を作成し、これをもとに旭化成環境安全・品質保証統括役員および品質保証担当役員それぞれと品質保証に関する情報を協議する「品質保証定例会」を毎⽉開催しています。

当社グループ内の各事業会社、事業本部等は、グループ基本原則、グループ共通の細則、ガイドライン類に準じて、各事業領域が提供する「製品・サービス」に適した品質保証を行っています。
「グループ品質保証細則」では、事業会社社長や事業本部長等である環境安全・品質保証統括者がリーダーシップを発揮して実施すべき品質保証を規定しており、さらに、その組織の品質保証強化活動の中心的役割を担う品質保証推進者の任命およびその役割を定めています。品質保証推進者連絡会を年4回の頻度で開催し、品質保証活動に関してグループ全体への情報発信、情報の共有化を推進しています。加えて、2019年度から品質保証担当役員と品質保証部長が環境安全・品質保証統括者、品質保証推進者等と品質保証の強化について直接面談し、率直な意見交換やアイデアの共有を行う場を持つ活動(面着活動)を開始し、安心・安全を確信できる品質保証体制を構築していく環境を整えています。

  • 社長 品質保証推進者連絡会 品質保証定例会 旭化成環境安全・品質保証統括役員 品質保証担当役員←→品質保証部 品質保証企画グループ 品質保証グループ 製品安全グループ←連携→各事業本部/各社品質保証推進者 環境安全‧品質保証統括者 各事業本部長 各事業会社社長
    品質保証体制図
    品質保証定例会(毎月開催)
    品質保証部が作成する『グループ品質保証月報』をもとに、旭化成環境安全・品質保証統括役員、品質保証担当役員、品質保証部長の3者が品質保証に関する情報の協議を行う。
    品質保証推進者連絡会(年4回開催)
    品質保証強化のための活動の中心的役割を担う品質保証推進者が集まり、グループ全体への情報発信、情報の共有化を行う。

製品安全への取り組み

当社グループでは、「グループ品質保証細則」の製品安全の考え方をより具体化するために、「グループ品質保証活動基準」を制定しています。
製品安全対策は、製品開発段階および製品供給段階の各事業活動段階で実施しており、製品の安全性を確保し、製品トラブル・クレーム発生の未然防止に努めています。また、重大製品トラブル・重大製品事故の発生するおそれがある場合または発生した場合の適切な対応も定めています。

  • 製品開発段階 計画立案 製品の安全性確保のため実施する内容およびスケジュールの作成→市場評価前検討 安全性/リスク評価 リスクの除去・低減 製品取扱者が負担するリスク内容、対策の明確化 対外文書の作成 製造・物流などの要件の明確化→市場評価審査→製品上市前検討 安全性/リスク評価 リスクの除去・低減 使用方法、廃棄方法の把握 製品取扱者が負担するリスク内容、対策の明確化 対外文書の作成 製造・物流などの要件の確認・修正→製品上市審査→製品供給段階 製品上市後検討 使用方法、廃棄方法の把握 対外文書の見直し 製造・物流などの要件の実施
    製品安全対策の流れ

安全性確保の手順

安全な「製品・サービス」を実現していく手順は、グループ品質保証活動基準および化学品管理における化学製品の法規制対応に関するガイドラインを定め、具体化しています。

  • 用途、仕向地の明確化→法規・規格・基準の調査→製品の設計(施策機器の製作)→リスクアセスメント 製品の制限の決定→危険源の特定→リスク見積もり→リスクの評価→製品は安全か Yes→終了 ●製造、物流などの要件 ●取扱者への伝達事項の明確化 No→リスクの低減→製品の設計(施策機器の製作)
    機器製品の安全性確保の手順
  • 製品の企画→危険有害性の調査 用途、仕向地の明確化 法規・規格・基準の調査→製品開発をするか Yes→不足データの取得 暴露状況の把握 No→製品の企画→リスクの評価→リスクが管理可能か Yes→法規・規格・基準への対応→製造・物流などの要件 対外文書作成 No→製品の企画
    化学製品の安全性確保の手順

化学物質管理

当社グループでは、製品および製造プロセスの安全性を確保するために、化学物質の特性を把握し、製品開発ならびに原材料の調達、製造(中間体を含む)、使用および廃棄に至るまでの各工程を適切に管理しています。地球環境、保安防災、労働安全衛生・健康および品質保証(製品安全)の面から、各段階で、下図のように化学物質の管理を実施しています。
当社の品質保証部(製品安全グループ)を事務局として、当社グループの品質保証推進者を中心に、各組織単位で化学物質管理を実施しています。

  • 社会 調達元 供給 旭化成グループ グリーン調達 原材料 原材料のSDS※の入手→地球環境:環境負荷の低減 調達→保安防災:火災・爆発の防止 製造 研究・開発 労働安全衛生:社員の労働災害の防止 物流安全:イエローカードの交付 販売 製品 製品安全:製品のSDSの配布→顧客 使用→廃棄
    旭化成グループの取り組み

研究・開発

どのような化学物質をどのような用途で使用するかは、研究開発段階で決まるため、製品や製造技術の研究開発の段階から、化学物質の管理を実施し、環境に配慮した設計に努めています。また、自国のみならず将来国外への輸出が想定される製品については、各国の法規制等の調査を実施し必要な対応を検討しています。

原材料の調達

原材料の調達段階においては、化学物質の安全性に関する情報を調達先から入手・管理し、これら化学物質の保管、取り扱いなどに活かしています。

製造

製造段階においては、中間体も含めて化学物質を適切に管理し、環境への排出を抑制しています。また、化学物質を取り扱う設備の火災、爆発および漏えいを防止し、地域社会の安全や地球環境の保全に努めています。また、化学物質のリスクアセスメントを着実に実施し、製造現場で働く人に対する化学物質の暴露を防止し、健康に影響しないように化学物質を管理しています。

販売・使用・廃棄

製品の販売・使用・廃棄段階において、適切に製品を取り扱っていただくため、化学物質(または化学製品)の安全性情報を、安全データシート(SDS)、技術資料、パンフレットなどにより提供しています。
また、物流活動においては、万が一事故を起こした場合にも、環境面、安全面で適切に対処できるよう、安全情報をイエローカードにより提供しています。さらに、製品が国外へ輸出される場合は、例えば欧州のREACH規則への対応等、法規制遵守のための対応を適切に実施しています。

  • REACH規則欧州における化学物質の登録、評価、認可、制限に関する規則

品質保証教育と人財育成

品質保証に関わる中核人財の育成

当社グループ全体の若手~中堅従業員の品質保証マインドの強化を図るため、2017年度から「品質保証フォーラム」を実施しています。2023年度は、グループ全体から選抜した従業員51名を集めて、6カ月の期間、毎月1回、毎回テーマを決めたグループ討議と、そのテーマに応じた社外専門家(主に品質管理学会の第一線でご活躍の大学教授や企業で品質保証の実践経験をお持ちの方々)による講義を併せて実施しました。最終回では学んだことを踏まえて事業領域別に自組織の課題を議論した後に、組織改善に向けた今後の自身の行動宣言をまとめて修了としました。
2024年度も、品質保証の社内教育の中核企画として継続しています。

品質保証マインドの醸成

2023年度は、グループ全員が品質リスクを理解し日々の業務を行うための品質リスク教育を国内・海外の各拠点で実施しました。
また、11月の品質月間に合わせて、社長、事業会社社長・事業本部長および品質保証部長から、品質保証の重要性について、グループ内に向けてメッセージを発信するとともに、e-ラーニング教育を実施して、従業員の品質保証に対するさらなる意識向上を図りました。 2024年度以降も引き続き、品質保証マインド醸成のための施策を実施予定です。

化学物質管理の教育

化学物質管理についての国内外の最新の法規制情報(化審法、安衛法、毒劇法等)の共有とその対応に向けた検討、また最新の化学品管理のトピックス紹介等を、当社グループの各地区の研究、製造、営業担当者に対して定期的に実施しています。

適切な表示と情報提供

お客様への適切な情報提供

住宅や家庭用商品等の最終製品である「製品・サービス」をお客様に提供している当社グループは、安全に「製品・サービス」を利用していただくために、製品の性能、注意事項や使い方の提案などの情報を提供しています。
製品表示、広告宣伝においては、誤解の生じないようわかりやすい説明に努めるとともに、製品開発・導入段階から販売に至る各段階で、「製品・サービス」に関わる説明文書・広告宣伝の内容等について確認を行い、関連法令や業界自主規制に抵触していないか、お客様が正しく安心・安全に「製品・サービス」を利用できるようになっているか常に点検しています。

改正食品衛生法への対応

2020年6月に改正食品衛生法が施行され、新たに食品用器具・容器包装のポジティブリスト(以下、PL)制度が導入されました。
当社グループでは、JCII(一般財団法人化学研究評価機構)食品接触材料安全センターの各種委員会に参画し、PL制度に抜けのない対応を行い、PL制度に関わる適切な情報をお客様に提供するための活動を継続しています。

GHS(世界調和システム)への対応

GHS(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)は、化学品の分類および表示を世界的に統一されたルールに則って行い、災害防止や健康・環境保護に役立てようとする仕組みです。当社グループでは、すべての化学製品の危険有害性をGHSに基づいて分類し、その結果をSDS(安全データシート)に記載するとともに、ラベル表示することを推進しています。

全世界の化学物質規制への対応と情報伝達

例えば欧州におけるREACH規則のように、化学物質に関する法律・規制が世界的に広まる中で、当社では法規制遵守のための確認・対応や管理を社内にて実施しています。また、これらの規則の中には情報伝達義務があるものもあり、必要な情報については顧客に提供するとともに、サプライチェーンでの製品含有化学物質情報伝達についても積極的に取り組んでいます。その活動の一つとして、このような情報伝達の普及に取り組んでいるアーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)について川上企業として2008年の設立時から参画しており、現在もJAMPの活動として、その伝達ツールであるchemSHERPAの普及促進に努めています。

お客様の声を活かす仕組み

当社グループは、お客様のニーズを満たし、喜んでお使いいただける製品・サービスを提供することが、社会への貢献につながると考えています。これを実現するためには、お客様の声に真摯に耳を傾け、双方向のコミュニケーションを通じて真のニーズを把握することが何よりも重要であると考えています。当社グループは、それぞれの事業において、このようなお客様とのコミュニケーション体制を構築し、生の声を聴くことを心がけています。

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