人財
人財理念
旭化成グループでは、2006年3月に制定した「人財理念」において、「人財」たる従業員一人ひとりが共有すべき価値観や行動の指針をまとめています。従業員がこの理念に沿った行動を積み重ねることを通じ、企業風土として定着させ、従業員一人ひとりの成長と当社グループの発展を実現することを目指しています。
旭化成グループの人財戦略
当社は1922年に創業し、2022年に100周年を迎えましたが、この間、時代とともに変化する社会課題解決に挑戦し、事業ポートフォリオを絶えず変革することで成長を実現してきました。そのような中、今後も、持続可能な社会に向けてさらなる変革が必要であるとの認識のもと、2021年度に社長をプロジェクト長とした人財戦略プロジェクトを立ち上げ、2022年度から始動した「中期経営計画2024 ~Be a Trailblazer~」に連動した人財戦略を策定しました。
多様な「個」の終身成長と共創力を2本柱とする人財戦略
現中計では、従業員に求める⼼構えとして「A-Spirit」という⾔葉を掲げています。旭化成の「A」と、アニマルスピリットの「A」をかけたもので、具体的には、野⼼的な意欲、健全な危機感、迅速果断、進取の気風、という4つのことを強く意識し、チャレンジングな人財であってほしいと伝えています。
これらは、当社グループが100年かけて培った「誠実・挑戦・創造」というグループバリュー、人や技術の多様性、⾃由闊達な風土などの無形資産をさらに磨き、活かしきるということと考えており、今後大胆に事業ポートフォリオを転換していくためには、改めてA-Spiritsを呼び起こし、積極果敢に変化し挑戦し続ける人財・組織が必要であると考えています。そのために現中計では、「終身成長」と「共創力」を人財戦略の柱としています。
「終身成長」に関しては、一人ひとりが自らのキャリアを描き、成長に向けた学び・挑戦を常に続けること、そして、リーダーが個とチームの力を最大限引き出し成果に結び付けるマネジメント力の向上の2点に注力し、強化していきます。
また、「共創力」を高めるには、多様性を“拡げる”という視点と多様性を“つなげる”という視点を重視し、当社グループの多様な技術・事業・人財を有機的につなげることで、当社ならではの価値を発揮していきます。
旭化成グループの人財戦略
「終身成長」に関する具体的な施策は「人財の育成・活躍」のページで、「共創力」については「DE&I」のページで詳しく紹介しています。
方針
旭化成グループは、「人は財産、すべては『人』から」という基本的な考えのもと、人財育成において、挑戦・成長を促す「終身成長」という方針を掲げています。当方針に関して、一人ひとりが自律的にキャリアを描き、成長に向けた学びや挑戦を続けること、また、個とチームの力を最大限引き出せるようマネジメント力を強化することの2点に注力していきます。
人財育成体系
当社グループでは、階層別研修や目的別研修などを組み合わせて、従業員の能力開発や業務遂行の支援を行い、仕事を進める上での基礎力向上に加え、ラインマネジメントの支援、次世代経営リーダーの育成、グローバルに活躍する人財の育成を図っています。
2023年度人財育成体系図
- ※1「KSA」…「活力と成長アセスメント」の略。当社エンゲージメントサーベイの名称。
- ※2「FLY」…次世代リーダー育成を目的とした選抜型プログラム。
参考:当社グループの従業員一人あたりの教育投資(実績)
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
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教育投資額(総計) | 2,806,147(千円) | 3,471,596(千円) | 4,248,249(千円) |
教育投資額(一人あたり) | 166(千円) | 198(千円) | 242(千円) |
教育投資時間(一人あたり) | 22.3(時間) | 25.7(時間) | 28.1(時間) |
自律的なキャリア形成を支える施策
リスキリング支援策「CLAP」の導入
CLAPとはCo-Learning Adventure Placeの頭文字をとったもので、1万以上のラーニングコンテンツから、従業員が自分に必要な学習を無料で自由に学べる当社独自の仕組みです。この仕組みにより、各職場で必要なスキルの習得、環境変化や事業転換に伴うリスキリングを支援しています。CLAPの展開にあたっては、一人ひとりが業務やキャリア実現のために学びを続けることに加え、「みんなで学ぶ」というコンセプトも取り入れています。共に学ぶ、楽しみながら学ぶ、ということができるよう、人の魅力・つながりを活かした支援策も講じています。
定年延長によるシニア活躍推進
変化の激しい時代の中で、多様な人財の知恵や経験を必要とする課題が増加しており、また、年齢構成の状況も踏まえ着実な技術伝承の必要性が高まっています。そこで、すべての従業員に60歳を超えても専門性を磨き続け、活躍し続けてもらいたいと考え、2023年度より定年年齢を満65歳へ延長しました。併せて、専門性を磨き周囲からも必要とされる役割を担うことで、持てる力をより一層発揮して充実した人生を歩めるよう、従来の再雇用制度から処遇制度も見直しました。
公募人事制度
当社は、公募人事制度を2003年度から実施しており、累計で約500名が自らの意思で部署を異動し、新たな環境に挑戦しています。今後も人財戦略の柱である「終身成長」「自律的なキャリア形成」を体現する仕組みとして、所属部署以外の業務を一定期間経験できる社内兼業タイプを拡大するなど、より活性化を図っていきます。
自己研鑽の支援
当社では、2003年10月から職務遂行能力や専門知識・技術を高める努力を支援する制度として、「自己研鑽支援制度」を設け、能力開発に要した経費の一部を支援金(受講料などの補助)として支給しています。2023年度は延べ1,483名が利用しています。
個とチームの力を引き出すマネジメント力向上を支える施策
当社グループでは、「個人と組織の活力向上と成長」が実現できる組織づくりを目指しています。
エンゲージメント向上施策 KSA(活力と成長アセスメント)
当社グループでは、2020年度に従来の従業員意識調査の内容を見直し、新たにワーク・エンゲージメントや成長につながる行動についても確認できるサーベイとしてKSA(活力と成長アセスメント)を導入しました。国内の全従業員を対象に1年に1回調査を行い、自組織の現状を捉える際の参考情報としてラインマネジャーへレポートを提供するとともに、メンバーとの対話を通して「より良い職場づくり」を目指す活動にも力を入れています。
同時にストレスチェックを行うことで健康リスクの確認も行い、従業員一人ひとりが心身共に健康で「持続可能な成長」を実現できる環境を整備していきます。
マネジメント力の向上、経営人財の育成
組織マネジメントのキーとなる部長層に対する研修プログラムを充実させています。プログラムには、マネジメントに関する集合研修およびeラーニング、360度フィードバック、1on1トレーニング、KSA(上述)活用講座のほか、2020年度からは部長一人ひとりにコーチを付けて、ラインマネジャー自身が自ら考え解決していくことへの支援も含めています。2024年3月時点で部長層約700名中、すでに287名がプログラム受講済みです。
また経営幹部の育成・獲得にも力を入れており、次世代リーダー候補者にコーチング等を通じて自らの成長を促すとともに、リーダーシップやチームワークを強化するためのプログラムを通じた育成を行っています。毎年数名がこのプログラムを経てグループ役員※に昇格しています。2023年度はグループ役員35ポジションに対し部長・事業部長層における候補プール人財は91名となっており、今後も質・量ともに同等以上のプール人財を維持していきたいと考えています。
- ※執行役員の中から当社グループ全体の企業価値向上に責任と権限を有する者として、当社の取締役会決議に基づきグループ役員を任命しており、具体的には当社の上席執行役員以上およびそれに相応する事業会社の執行役員がこれにあたります。
DX推進のためのデジタル人財育成
当社グループでは、成長戦略の柱にDX展開を掲げ、2021年に「DX Vision 2030」を策定しました。デジタルの力を最大限に活用して、サステナブルな社会の実現に向けて取り組んでいきます。
DX推進において最も重要なのはデジタル人財です。層別のDX教育を強化するとともに、高度なデジタル化を推進するデジタルプロフェッショナル人財を2024年度末までに2021年度比10倍の2,500人に拡充することを目指して取り組みを進めています(2023年度末:1,728人)。2021年4月より、社内で旭化成DX Open Badgeプログラムを展開しており、全従業員を対象としたデジタルの基礎知識習得の推進と同時に、事業のDXを現場で牽引する人財の育成に取り組んでいます。
人事部門の機能強化
人的資本経営を実践していくためには、実働部隊である人事部門の組織能力の向上も重要です。当社では人事部門に今後必要となる能力について改めて定義づけを行い、中でもデータ利活用スキルとキャリアコンサルティング能力向上に注力しています。データ利活用スキルについては大阪大学開本教授監修のもと独自のプログラムを内製し、データの収集や分析に関するノウハウを人事メンバー全員が習得するように取り組んでいます(2023年度末時点で88名が受講済み)。また、国家資格キャリアコンサルタントの資格取得も奨励しており、2024年4月時点で33名が取得しています。2022年度には従業員のキャリア形成を支援するためにキャリア開発室を設置し、シニア層および若手・中堅層に対してキャリア施策の充実に努めています。
方針
旭化成グループでは、個人の基本的人権と多様性を尊重し、あらゆる事業活動において国籍・人種・出自・民族・宗教・性別・思想・年齢・身体的特徴・性的指向や性自認・雇用形態・契約形態その他を理由とする差別を行わず、また容認しないという会社方針を「旭化成グループ行動規範」に明記しています。すべての従業員が差別を受けることなく、機会均等が保証され、生き生きと能力を発揮するための環境整備を進めるとともに、従業員が差別やハラスメントを行わないよう、新入社員、新任係長クラス、新任課長クラス等の階層別、その他各事業会社、地区において実施する企業倫理研修などを通じて、継続的に会社方針の浸透を図っています。
また、当社グループでは、現中計の人財戦略の柱の一つに「共創力」を掲げています。急速に変化する事業環境に対応し継続的に新たな価値を生み出していくためには、人財の多様性を活かし共にビジネスを創り出していく「共創力」を高めることが不可欠であると考え、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)を経営戦略の一つとして位置づけています。「共創力」を発揮していくためには、多様性を“拡げる”“つなげる”という2つの視点が重要であり、多様な技術・事業・人財を有機的につなげることで、当社ならではの価値が発揮できると考えています。
マネジメント体制
当社グループでは、今後も多様な価値観を有する人財が活躍する人的組織へ発展することが、事業の持続的な成長には不可欠であるとの考えから、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)に関して、専任部署であるDE&I推進室を中心にグループ横断的な活動を進めています。また、DE&Iの進捗状況を確認し取り組みを加速するために、経営陣および各事業部門長が主体となるDE&I委員会を設置するなど推進体制のさらなる強化を図っています。
高度専門職制度による多様なプロフェッショナル人財の育成
当社グループでは、新事業創出、事業強化へ積極的に関与し、貢献することが期待できる人財を「高度専門職」として任命、育成、処遇することで、社内外に通用する専門性の高い人財の層を厚くする「高度専門職制度」を実施しています。本制度では高度専門職を5つの区分に定義しており、それぞれの役割を明確にするとともに処遇を向上させ、人財の成長を促すと同時に優秀な外部人財を獲得するための仕組みとしています。高度専門職がコア技術領域の研究開発をリードし、多様な技術や人財をコネクトさせることで、成長牽引事業(GG10)の拡大につなげます。
また、各領域における高度専門職の後継者育成計画(サクセッションプラン)を策定し、事業の強化と人財育成をリンクさせ、競争力の強化につなげます。
高度専門職の区分と役割
対象となる領域
高度専門職の人数推移と目標
2022年からの中期経営計画では、当社グループにおける高度専門職数を、2024年度に合計300名とすることをKPIとして掲げていましたが、2022年にほぼ到達する水準となったため、KPIを360名に見直しました。
女性の活躍推進
基本的な考え方
当社グループでは、女性の活躍推進は、DE&I推進の重要な要素の一つであり、この取り組みを進めることが、性別などの属性や年齢等に関係なく多様な人財が活躍する環境を実現することにつながるという考えから、1993年に専任組織(現・DE&I推進室)を設置し、女性の職域拡大や両立支援施策の拡充によって女性が働き続けられる環境の整備を進めてきました。また、2010年代以降、新卒女性従業員の育成に関する参考情報を記載したハンドブックの担当上司への配布、女性が出産・育児等のライフイベントを経て活躍することを支援する産育休前セミナー・育児休業復職セミナーの実施、女性管理職のその後のキャリア形成を支援するメンタープログラムなどキャリア形成に対する支援についても取り組みを行ってきました。
女性活躍推進に向けたさまざまな取り組み
2022年4月に発表した中期経営計画では、多様な人財の活躍状況を測る指標として、管理職の中でも特に指導的役割を果たすポジション(ラインポスト+高度専門職)就任における女性比率に着目していくことを公表しました(2030年目標:10%)。なお、これを受け、女性活躍推進法に基づく行動計画も以下の通り改定しています。
上記を達成するとともに、女性リーダーを継続的に輩出できる仕組みとして、候補者母集団を形成するためのさまざまな取り組みを実施しています。前述のメンタープログラムは2013年以降継続的に実施しており、累計132名の新任女性管理職が参加し、各自のキャリア形成や課題解決に向けて主体的に考え、自己成長に対する意欲を高めています。
また、ラインポストに就いている女性管理職のさらなる成長意欲や視座向上に向けて、2023年度は女性の社外取締役(2名)と女性管理職とのラウンドテーブルを実施しました。2名の社外取締役が自らのキャリアや経験談および女性管理職への期待を語ることにより、経営に必要な観点での視野拡大や、参加者の今後の挑戦や活躍に向けた意識と行動変革の後押しにつなげています。
多様な働き方やキャリア形成を応援する施策としては、女性管理職や育児休業を取得し家事・育児にも携わる男性など、社内で活躍する多様な人財を紹介する「ロールパーツモデルチャンネル」を社内のイントラネットで展開しています。「自身の周囲にロールモデルが少ない」という社員の意見に対応して、さまざまなロールモデルとなる社員を紹介することで女性社員のキャリアアップへの挑戦意欲を高め、性別にとらわれることなく仕事と家庭を両立させるなど中長期的なキャリア形成のイメージを持ってもらうことを狙いとしています。
また、一人ひとりの多様性を活かし組織力を最大限発揮させるためには、各自に内在するアンコンシャスバイアスを知りコントロールする方法を習得することが重要であるとの考えから、2024年1月から5月にかけて、役員および部長職全員に対してアンコンシャスバイアス研修を実施しました。2024年度には全課長層にも展開し、職場の心理的安全性を高め、すべての社員の活躍を支援できる管理職の育成を図っています。
指導的立場に就く女性社員を増やしていくための上記の全社施策と並行して、各領域においてバイネームでの女性人事計画を立て、実際の登用につながる取り組みを実施しています。また、2023年度に社長を委員長とするDE&I委員会を設置し、グループ全体における進捗状況の確認や課題改善に向けて、定期的にモニタリングおよび意見交換を行っています。これらのさまざまな取り組みにより、1994年に3名だった女性管理職は351名に増加しています(2024年6月1日現在)。また女性の執行役員は2名、取締役は2名、監査役は1名となっています(2024年6月25日現在)
旭化成グループ※行動計画 | 当社グループにおいて、さまざまな価値観やバックグラウンドを有する多様な人財が共に活躍し事業と組織の成長に貢献できる環境を実現するための取り組みの一環として、今まで以上に女性の活躍を促進するため次のように行動計画を策定する。 |
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計画期間 | 2022~2025年度 |
内容 |
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- ※旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ホームズ、旭化成建材、旭化成ファーマ、旭化成メディカル
働き方改革への取り組み
当社グループでは、すべての従業員の能力を最大限に発揮できるよう、社会動向も踏まえ、働き方改革を進めています。
コロナ禍への対応として、2019年度に導入した在宅勤務制度等を臨時措置として一時的に拡大運用していましたが、2022年7月より臨時措置を恒久的な制度に移行し、併せて在宅勤務補助を導入しました。具体的には以下の通りです。
在宅勤務制度 | 利用回数制限の撤廃 |
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新入社員等制度適用対象の拡大 | |
在宅勤務補助の導入 | |
コアタイムなしフレックスタイム制度 | 制度化および対象者に勤務間インターバルの考えの導入 |
ワーク・ライフ・バランスの推進
当社グループでは、ワーク・ライフ・バランスの向上を進めるため、長時間労働の撲滅・削減に向け関連法規を遵守するとともに、さまざまな事情を抱える従業員が安心して生き生きと働けるよう各種両立支援制度を設けています。同時に、イントラネット等による制度周知や上司向けのマネジメント支援を通じて、それらの制度を利用できる職場風土の醸成も進めています。一部内容が異なりますが、両立支援制度は非正規従業員にも適用され、利用されています。
育児休業制度
当社グループ(国内)※の「育児休業制度」は、子の年齢が満3歳到達後の4月1日まで取得可能です。
2023年度の育児休業制度の利用者は874名で、そのうち589名が男性、285名が女性であり、子が生まれた男性の育児休業取得率は84.3%となっています。
男性従業員の育児休業取得を支援する取り組みとして、2021年4月よりパパ&プレパパセミナーを開始しています。育児休業制度をはじめとした仕事と育児の両立を支援する制度の説明や育児休業取得経験者の事例共有等を行い、2023年度は延べ127名が参加しました。
- ※旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ホームズ、旭化成建材、旭化成ファーマ、旭化成メディカル、および国内の主要関係会社の正規従業員を対象とする。
仕事と育児の両立のための短時間勤務制度
当社グループ(国内)※は、子の小学校就学時まで短縮勤務が可能な育児短時間勤務制度(1日最長2時間)に加えて、キッズサポート短時間勤務制度を2007年9月に導入し、子が小学校3年生を終了するまでの短時間勤務を可能にしました。フレックスタイム制度が適用されている職場では、フレックスタイムとの併用などにより同制度を利用しやすいように配慮しています。
2023年度の育児短時間勤務制度・キッズサポート短時間勤務制度の利用者は472名で、そのうち男性の利用者は5名でした。なお、2020年4月に契約社員の育児短時間勤務制度の適用期間の拡大(小学校就業前まで)およびキッズサポート短時間勤務制度適用を開始しました。
- ※旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ホームズ、旭化成建材、旭化成ファーマ、旭化成メディカル
次世代認定マーク「プラチナくるみん」取得
旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ファーマ、旭化成メディカルの4社は、次世代育成支援に積極的な企業のうち特に取り組みが優秀な企業として、2016年に厚生労働省より「プラチナくるみん」を取得しました。
仕事と介護の両立のための制度
当社グループ(国内)※では、法の定めを超える介護支援制度を設け、仕事と介護の両立を支援しています。
- 介護休業:
家族を介護することを理由とする場合、要介護者1人、1疾病につき通算245日の休業を取得可能
- 介護短時間勤務:
要介護者1人につき通算1,225日取得可能
- 介護支援勤務制度:
コアタイムの短いフレックスタイム勤務 など
当社グループでは、仕事と介護の両立のためのセミナーを2011年より全国各拠点で開催しており、2020年からはオンライン開催により全国の当社グループ社員を対象に実施しています。2018~2020年は「介護と仕事を両立する部下を持つ上司向けセミナー」、2021年は「仕事と介護の両立セミナー基礎知識編」、2022年は「仕事と介護の両立セミナー遠距離介護編」というように、多様なニーズに対応できるように取り組んでいます。
2019年4月から開始した無料介護電話相談サービス(当社グループの全従業員とその家族が365日・24時間利用可能)では、1年間で18件の利用がありました。また、2020年4月には、在宅介護者が増大した場合への対策として、介護短時間勤務制度の拡充を行いました。
同時に、制度を利用できる職場環境づくりを進めるため、イントラネットを通じた仕事と介護の両立に関する情報や制度情報の発信、仕事と介護の両立に役立つ情報をまとめたハンドブックの配布を実施しています。
- ※旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ホームズ、旭化成建材、旭化成ファーマ、旭化成メディカル
事業領域を超えた人事異動
当社グループでは以前より事業領域を超えた人事異動を積極的に行っています。この取り組みによる事業拡大の例として、当社の住宅事業は近年海外に進出しましたが、この事業展開にあたってグループ全体の人財・ノウハウなどの経営基盤を活用することで、スピーディーに展開することができました。海外事業の拡大によって住宅事業の業績も伸び、キャッシュ創出力も高まっています。このようなグループ全体での人財活用による事業拡大は、まさに「事業や技術の多様性」という当社の無形資産を活用した取り組みで、今後もより一層強化したいと考えています。
タレントマネジメントシステム「CaMP」の導入
2022年度から、タレントマネジメントシステムを導入し、人財の可視化を進めています。当社ではタレントマネジメントシステムのことをCareer Management Placeの頭文字をとって通称CaMPと呼んでいます。CaMPにて各人のキャリアについての考えや専門性、経験値などの人財情報を一元管理し、最適な成長支援(人財開発、人事配置など)を行うことで、より一層「共創」を進めたいと考えています。
グローバル人財の育成
「中期経営計画 2024 ~Be a Trailblazer~」で掲げるグローバルな事業展開を人事面で推進すべく、施策を展開しています。まず、若手従業員が自ら海外経験獲得を志向して挑戦する「海外公募留学制度」「海外短期派遣制度」、海外現地法人マネジャー へのステップとする指名制の「海外実務研修制度」、グローバル事業創出に向けた「海外指名留学制度」を運用しています。さらに、共創力強化に向け海外現地法人の人財育成施策にも取り組んでいます。
ローカル従業員の海外間転勤、理念浸透施策、異文化コミュニケーション研修、マネジメント研修等を状況に合わせて実施、運用しています。
海外事業展開を支える海外拠点におけるキーポジションへの外国人および現地採用人財の登用を拡大していくほか、その中から優秀な人財については各事業にとどめず、グループ全体に貢献する人財に育成していくための取り組みを推進しています。一例として、2022年からの中期経営計画検討において、米国・欧州・中国・日本の次世代リーダークラスで2030年の当社グループのあるべき姿について議論を実施し、その中でなされた提言が、中期経営計画のコンセプトである“Be a Trailblazer”のもとになっています。
また、海外M&Aにより当社グループの一員になった優秀な人財も積極的に登用し、執行役員レベルでグループ経営への参画を行っています。
なお、現在の旭化成株式会社の外国人執行役員は6名です。
障がい者雇用の促進
当社グループは、障がいの有無にかかわらず、すべての従業員がそれぞれの能力を発揮し気持ちよく働けるようにサポートしています。
当社グループは、障がい者雇用促進のための特例子会社「旭化成アビリティ」を1985年に設立しました。データ入力、書類の電子化(PDF化)、ホームページ作成などのOA業務、名刺作成、印刷・製本、サンプル発送代行、クリーニング、筆耕、花壇の管理など、当社グループからさまざまな業務を請け負っています。
2023年度の障がい者の法定雇用率は2.3%ですが、当社グループの年間を通じての雇用率は2.58%※、直近の2024年3月末時点でも2.59%(715名)となっており、2024年度法定雇用率2.5%への引き上げに対しても備えを進めています。
- ※雇用率・雇用数は特例子会社グループ適用会社全体の各年度平均の数字です。2024年3月末日の算定基礎人員は23社合計27,642名(障害者雇用促進法に基づいて計算した人員数)
- なお、集計を見直したため、2021年および2022年の数値を修正しています。
旭化成アビリティの取り組み
① 営業活動の強化
- (1)専任部署の設置と活動
今後も法定雇用率上昇に対応し、障がい者の雇用を増やしていきますが、それだけでなく障がい者に活き活きと誇りをもって働いてもらう仕事を創出するため、専任部署として営業推進部を設置し、2023年度より本格的に活動を開始しています。旭化成グループ内外に対する当社および当社業務の認知度向上、ひいては障がい者の雇用を確保するための業務創出に努めています。
- (2)職場見学会の実施
各営業所(延岡、水島、大阪、富士、東京)では随時見学者を募集しており、多くの旭化成グループ内外の企業、自治体等に業務および職場の紹介を行っています。
② 新規業務
- ヘルスキーパー(マッサージ師)の雇用
延岡営業所では、障がい者雇用対策および当社従業員の福利厚生の一環として、あん摩マッサージ指圧師の資格を保有する視覚障がい者(ヘルスキーパー)を雇用しており、当社従業員のマッサージを業務として行っています。従業員には大変好評であり、今後の展開を検討中です。
③ アビリンピック(障がい者技能競技大会)
旭化成アビリティからはアビリンピック(障がい者技能競技大会)の各県大会に毎年多くの従業員が出場し入賞しています。2023年度の全国大会(愛知県開催)には11名の従業員が各都府県代表として出場し、1名がオフィスアシスタント競技で、1名が表計算競技で、それぞれ銅賞を獲得しました。
すべての意欲ある人財の活躍を支援する制度
従業員の個々の事情に対応し、それぞれの人財が十分に能力を発揮し活躍できる環境づくりのための支援策を幅広く展開しています。
病気療養後の業務復帰支援
病気療養からの円滑な業務復帰を支援する仕組みとして、産業医の指示に従い段階的な業務再開等を行うためのリハビリ勤務制度を設けています。さらに2023年3月には、病気の治療と仕事を両立させるための「治療のための通院時間確保支援制度」を新設しました。本制度は病気の治療や不妊治療により通院が必要な従業員を支援する施策となっています。
配偶者海外転勤時同行休職制度
社会のグローバル化の進展に伴い、配偶者が海外転勤となるケースが増えてきたことから、当社では2013年に配偶者海外転勤時同行休職制度を導入しました。2023年度の利用者は11名(うち男性0名)でした。
LGBTQの方の活躍支援
LGBTQ活躍支援として、2021年1月より、同性パートナー関係を社内制度上は婚姻関係と同等に扱う運用を開始しています。本社ビルには性別および性自認を問わず誰でも利用できるジェンダーレストイレが設置されています。2023年度より、性の多様性に関する理解促進を目的にeラーニングを実施予定としています(管理職は必須受講)。今後もLGBTQに関する従業員の理解促進や働きやすい環境整備に取り組んでいきます。
方針
旭化成グループは、当社グループで働くすべての人財は多様性と変革力による新たな価値を創造する源であると考えています。
当社グループは、国連グローバル・コンパクトの署名企業として、グローバル・コンパクトの労働に関する原則を支持、尊重します。また、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」「子どもの権利とビジネスの原則」にも賛同し、これらの枠組みをもとに、事業における労働課題の把握と適切な対処に取り組んでいきます。
国連グローバル・コンパクトでは、以下の労働原則が規定されています。
- 結社の自由と団体交渉の実効的な承認
- あらゆる形態の強制労働の撤廃
- 児童労働の実効的な廃止
- 雇用と職業における差別の撤廃
さらに、「旭化成グループ行動規範」では、当社グループはもとより調達先においても、児童労働や強制労働など非人道的な行為を容認せず、雇用形態を含むあらゆる理由に基づく差別を禁止し、人権および多様性を尊重し、誠実で責任感ある業務遂行を実践していくことを明記しています。
上記の考え方に基づき、以下の労働問題について、国内外の労働関連法令の遵守はもちろんのこと、従業員が能力を十分に発揮でき、安全で安心して働ける職場環境づくりに努めます。
- 児童労働および強制労働の防止
- 過度の労働時間の削減
- 労使の協議に基づく労働条件の策定
旭化成株式会社の新卒採用者の初任給は、地域別最低賃金全国加重平均額の少なくとも115%以上となっています。
地域で定められた最低賃金の遵守および適正な生活賃金の支払いを通じて従業員の生活水準を一定以上に保ちます。
また、現地の法令で定められた最低賃金を遵守し、同一労働・同一賃金の考え方から同じ職位であれば性別等による差を設けない報酬体系を適用しています。 - 結社の自由および団体交渉権の保障
雇用する従業員については、結社の自由および団体交渉権を保障しています。
当社グループの労働条件は、労使の協議、合意に基づき策定、運用します。
マネジメント体制
当社グループの人事・労務管理に関する取り組みは、旭化成の総務部および人事部が所管しています。グループ各社はそれぞれにおいて人事制度を運営し、人財開発に取り組んでいますが、法令違反や不適切な状況が発生していないか、定期的な監査によりグループ全体の状況を確認し、取締役会にて適宜報告しています。
労働基準遵守への取り組み
労働基準に関する労使の協議
法令遵守をグループ全体で徹底するため、労働関連法の改正やトピックスについてグループ各社へも情報共有を行うなど、法令遵守の徹底に取り組んでいます。
また、当社グループでは2017年度より働き方改革に関して労働組合と会社で検討を行う専門委員会を設け、在宅勤務制度等の施策を具体的に実施しています。
さらに、労働時間を短縮すべく、年次有給休暇の取得促進のほか、過重労働を組織単位で防止する目的で労働時間が相対的に長い職場のモニタリング等に取り組んでいます。
2023年度、労働基準法違反の事例は1件でした。時間外労働および休日労働を合算した時間数において、2~5カ月の平均が80時間を超えたものでした。違反発生後、発生原因および組織としての再発防止策を確認し、業務量の調整および職場サポート体制の見直しを実施しました。
全社レベルで労働時間管理についての意識を強化すべく、2022年度より勤怠管理者全員を対象として、勤怠管理のeラーニングを実施しています。
労使のコミュニケーション
当社グループは、従業員の結社の自由と団体交渉の権利を支持し、健全な労使関係の維持・強化を重視しています。
旭化成労働組合との間では、グループ全体の経営についての協議会や事業部門、事業所ごとの経営協議会を定期的に開催しています。また、当社グループの各労働組合の連合体である旭化成グループ労働組合連合会とも定期的に経営懇談会を開催するなど、議論の場を持ち、労使の円滑なコミュニケーションを促進する取り組みを行っています。
なお、旭化成労働組合とはユニオンショップ協定(管理監督者を除くすべての従業員が組合に加入する協定)を締結しており、組合員数は9,114名(2024年3月1日時点)となっています。
地域雇用の創出
当社グループ事業の進出地域において、地域からの雇用や調達を通じて地域に貢献していきます。