人財
労働問題に関する方針
旭化成グループは、当社グループで働くすべての人財は多様性と変革力による新たな価値を創造する源であると考えています。
当社グループは、国連グローバル・コンパクトの署名企業として、グローバル・コンパクトの労働に関する原則を支持、尊重します。また、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」「子どもの権利とビジネスの原則」にも賛同し、これらの枠組みをもとに、事業における労働課題の把握と適切な対処に取り組んでいきます。
国連グローバル・コンパクトでは、以下の労働原則が規定されています。
- 結社の自由と団体交渉の実効的な承認
- あらゆる形態の強制労働の撤廃
- 児童労働の実効的な廃止
- 雇用と職業における差別の撤廃
さらに、「旭化成グループ行動規範」では、当社グループはもとより調達先においても、児童労働や強制労働など非人道的な行為を容認せず、雇用形態を含むあらゆる理由に基づく差別を禁止し、人権および多様性を尊重し、誠実で責任感ある業務遂行を実践していくことを明記しています。
上記の考え方に基づき、以下の労働問題について、国内外の労働関連法令の遵守はもちろんのこと、従業員が能力を十分に発揮でき、安全で安心して働ける職場環境づくりに努めます。
- 児童労働および強制労働の防止
- 過度の労働時間の削減
- 労使の協議に基づく労働条件の策定
旭化成(株)の新卒採用者の初任給は、地域別最低賃金全国加重平均額の少なくとも120%以上となっています。
地域で定められた最低賃金の遵守および適正な生活賃金の支払いを通じて従業員の生活水準を一定以上に保ちます。 - 結社の自由および団体交渉権の保障
雇用する従業員については、結社の自由および団体交渉権を保障しています。
当社グループの労働条件は、労使の協議、合意に基づき策定、運用します。
マネジメント体制
当社グループの人事・労務管理と人財育成に関する取り組みは、総務部および人事部が所管しています。グループ各社はそれぞれにおいて人事制度を運営し、人財開発に取り組んでいますが、法令違反や不適切な状況が発生していないか、定期的な監査によりグループ全体の状況を確認しています。
労働基準の遵守と働き方改革への取り組み
労働基準に関する労使の協議
法令遵守をグループ全体で徹底するため、労働関連法の改正やトピックスについてグループ各社へも情報共有を行うなど、法令遵守の徹底に取り組んでいます。
また、当社グループでは2017年度より働き方改革に関して労働組合と会社で検討を行う専門委員会を設け、在宅勤務制度等の施策を具体的に実施しています。
さらに、労働時間を短縮すべく、年次有給休暇の取得促進のほか、過重労働を組織単位で防止する目的で労働時間が相対的に長い職場のモニタリング等に取り組んでいます。
働き方改革の具体的な取り組み(2019年度より制度化)
- 在宅勤務制度
- 時間単位の年次有給休暇を1時間単位で取得可能に
- 年間休日数の1日増加 等
多様な働き方の推進(2022年7月より)
コロナ禍への対応として、在宅勤務制度等を一時的に拡大運用していましたが、2022年7月より臨時措置から恒久的な制度に移行します。併せて在宅勤務補助を導入します。具体的には以下の通りです。
在宅勤務制度 | 利用回数制限の撤廃 |
---|---|
新入社員等制度適用対象の拡大 | |
在宅勤務補助の導入 | |
コアタイムなしフレックスタイム制度 | 制度化および対象者に勤務間インターバルの考えの導入 |
2021年度、労働基準法違反の事例は1件でした。時間外労働休日労働が月間の上限時数(80時間)を超えたものでした。
違反が発生後、直ちに労働組合・人事から当該組織の上長にヒアリングし、発生原因および組織としての再発防止策を確認しました。業務量の調整および職場サポート体制の見直しを実施すると同時に、意識向上施策としてコンプライアンス教育を実施しました。また、人事部より、当該事例を他の組織に横展開し、全社向けに注意喚起を実施し、当該地区に向けて人事部による勤怠管理の教育を実施しました。さらに全社レベルで労働時間管理を強化すべく、勤怠管理のe-ラーニングを実施する予定です。
従業員のワーク・エンゲージメントの向上
当社グループでは、「個人と組織の活力向上と成長」が実現できる組織づくりを目指しています。当社グループでは、2020年度に従来の従業員意識調査の内容を見直し、新たにワーク・エンゲージメントや成長につながる行動についても確認できるサーベイとしてKSA(活力と成長アセスメント)を導入しました。国内の全従業員を対象に1年に1回調査を行い、自組織の現状を捉える参考としてラインマネジャーへレポートを提供するとともに、メンバーとの対話を通して「より良い職場づくり」を目指す活動を推進しています。同時にストレスチェックを行うことで健康リスクの確認も行い、従業員一人ひとりが心身共に健康で「持続可能な成長」を実現できる環境を整備していきます。
また、グループ全体では、多様な働き方の推進、専門能力の高い従業員を評価する「高度専門職」制度の拡充、次世代を担うリーダー層の育成等にも取り組んでいます。より変化の激しい時代の中でも多様な人財が挑戦・活躍・成長できる会社を目指していきます。
KSA(活力と成長アセスメント)の概要
参考:KSA指標「成長につながる行動」平均値
2020年度 | 2021年度 |
---|---|
3.65 | 3.69 |
※1~5の5段階から回答
※当数値は、中期経営計画にて社内外に公表しています。
労使のコミュニケーション
当社グループは、従業員の結社の自由と団体交渉の権利を支持し、健全な労使関係の維持・強化を重視しています。
旭化成労働組合との間では、グループ全体の経営についての協議会や事業部門、事業所ごとの経営協議会を定期的に開催しています。また、当社グループの各労働組合の連合体である当社グループ労働組合連合会とも定期的に経営懇談会を開催するなど、議論の場を持ち、労使の円滑なコミュニケーションを促進する取り組みを行っています。
なお、旭化成労働組合とはユニオンショップ協定(管理監督者を除くすべての従業員が組合に加入する協定)を締結しており、組合員数は9,693名(2022年6月1日時点)となっています。
地域雇用の創出
当社グループ事業の進出地域において、地域からの雇用や調達を通じて地域に貢献していきます。
方針
旭化成グループでは、人と組織の卓越した力が当社グループの競争力の源泉である、との認識のもと、①旭化成らしさが発揮される風土を維持強化すること②従業員一人ひとりが成長すること③優れた人財と組織で事業を創り伸ばすことを目的として、さまざまな人事施策に取り組んでいます。
2006年3月に制定した「人財理念」では、「人財」たる従業員一人ひとりが共有すべき価値観や行動の指針をまとめています。従業員がこの理念に沿った行動を積み重ねることを通じ、企業風土として定着させ、従業員一人ひとりの成長と当社グループの発展を実現することを目指しています。
人財理念
この人財理念のもと、当社グループは「人と組織が共に成長する」を人財育成の方針としています。2019年度からは人事領域の中期計画の中で、①経営層・リーダー層の成長②プロフェッショナル集団とそれを束ねるラインマネジャーの成長③グローバル要員の成長を掲げています。
■2021年度人財育成体制図
多様な「個」が活躍できる基盤構築を推進
当社グループは、すべては「人」からという考え方をベースに人財基盤の整備を進め、さまざまな施策に取り組んできました。また、自律的キャリア形成と成長の実現、個とチームの力を引き出すマネジメント力向上、多様性を活かす共創力で、従業員のWell-beingや働きがいと、当社グループの競争力の向上を目指していきます。
変化が激しい時代の中で、若手からベテランまで世代を問わず専門性を高め続け、成長を続けることが重要です。終身成長に向けて、今後施策を具体化していきます。
- 人財基盤の整備
人財育成
研修制度の充実
当社グループでは、階層別研修や目的別研修などを組み合わせて、従業員の能力開発や業務遂行の支援を行い、仕事を進める上での基礎力向上、グローバルに活躍する人財の育成、ラインマネジメントの支援、次世代経営リーダーの育成を図っています。
2020年度からデジタルラーニングも積極的に導入し、従業員が勤務地・勤務時間に左右されず自律的に質の良い学習機会を得られるような効果的な教育体系・研修カリキュラムの整備を進めています。
参考:当社グループの従業員一人あたりの教育投資(実績)
2019 年度 | 2020 年度 | 2021年度 | |
---|---|---|---|
教育投資額(総計) | 2,053,238(千円) | 756,367(千円) | 1,419,710(千円) |
教育投資額(一人あたり) | 116.0(千円) | 42.5(千円) | 80.0(千円) |
教育投資時間(一人あたり) | ― | 21.5(時間) | 22.3(時間) |
DX推進のためのデジタル人財育成
当社グループでは、成長戦略の柱にDX展開を掲げ、2021年に「DX Vision 2030」を策定しました。デジタルの力を最大限に活用して、サステナブルな社会の実現に向けて取り組んでいきます。
DX 推進において最も重要なのはデジタル人財です。層別のDX 教育を強化するとともに、高度なデジタル化を推進するデジタルプロフェッショナル人財を2024年度末までに対21年度比10倍に拡充することを目指しています。全従業員向けのDX教育として、2021年4月より、社内で「Open Badge制度」の運用を開始し、デジタルの基礎知識習得を推進しているほか、事業責任者向けDX研修プログラムを展開しています。
高度専門職制度
事業環境が大きく変化している中で当社グループが持続的成長を果たしていくためには、世界に成長を求め勝ち抜いていくことが必須であり、そのための最大の鍵は「人財」です。
こうした中、当社グループでは、新事業創出、事業強化へ積極的に関与し、貢献することが期待できる人財を「高度専門職」として任命、育成、処遇することで、社内外に通用する専門性の高い人財の層を厚くする「高度専門職制度」を実施しています。
本制度では高度専門職を5つの区分に定義しており、それぞれの役割を明確にするとともに処遇を向上させ、人財の成長を促すと同時に優秀な外部人財を獲得するための仕組みとしています。
また、各領域における高度専門職の後継者育成計画(サクセッションプラン)を策定し、事業の強化と人財育成をリンクさせ、競争力の強化につなげます。
高度専門職の区分と役割
対象となる領域
- 2022年度 高度専門職技術領域の変更
事業部門固有領域
ファーマでは、以下の領域を新設
- 1.医薬マーケティング領域
- 2.中国医薬事業領域
コア技術領域
- 繊維領域とポリマー領域を、「繊維・ポリマー領域」に統一
- デジタルイノベーション領域を、コアプラットフォーム領域に移行
コアプラットフォーム領域
環境安全分野では以下を新設
- 機械安全領域
スタッフ系では、以下の任命用見直し
- 内部監査領域
- 通商・関税領域
高度専門職制度を通して目的の「新事業創出・事業拡大」を実現するため、事業方針に合わせて毎年技術領域の見直し・充実を実施しています。
2022年度は、任命要件の変更以外に、以下の領域新設や任命要件の見直しをしました。
- 当社のサステナビリティ関連技術を強化すべく、従来分かれていたコア技術領域の繊維領域とポリマー領域を統合し、さらなるコネクトを通してサステナビリティ関連技術の進化を図ります。
- 当社グループのデジタル創造期における経営革新を実現するため、デジタルイノベーション領域は、コア技術領域からコアプラットフォーム領域に移行し、デジタル技術を最大限に活用して、経営高度化、ビジネスモデル変革、無形資産価値化などの経営革新をリードする人材の育成と確保を加速させ、デジタル高度専門職の対象を、全職域、全組織、全地域にわたる全従業員に拡大します。
- コアプラットフォーム領域の環境安全分野にて、機械リスクアセスメントの考え方を社内に浸透させ、設備設計・改善による重篤災害撲滅につなげるために、新たに機械安全領域を新設し、高度専門職としての任命要件を整備しました。
- 事業部門固有領域では、ヘルスケアの旭化成ファーマでは、中長期戦略の実現に高度専門職制度を積極的に活用してきました。2021年度の医薬ライセンシング領域、医薬事業開発領域等の新設に続き、2022年度には、新たに「医薬マーケティング領域」と「中国医薬事業領域」を新設しました。
- 上記の技術領域・分野の新設以外に、内部監査領域および通商・関税領域においては大きな任命要件の変更もありました。
事業横断で強化すべき技術領域を「コア技術領域」として特定し、各コア技術領域をけん引する技術者を高度専門職に任命します。
今後5年~10年先の事業拡大・事業創出を目指し、当社グループの競争力の源泉として培ってきたコア技術・生産技術・ノウハウ、事業プラットフォーム・多様なマーケットチャネル・ビジネスモデルを整理した結果、下記の12領域を事業横断のコア技術領域として特定しました。また、各事業固有の領域や、全社横断的な重要職能領域(コアプラットフォーム領域)についても専門家として社内で育成すべき領域・職種を特定し、その領域をけん引する人財を高度専門職に任命します。
高度専門職の人数推移と目標
2022年からの新中期経営計画では、当社グループにおける高度専門職数を、2024年度に合計300名とすることをKPIとして掲げています。
高度専門職(人数推移)
グローバル人財の育成
「中期経営計画 2024 ~Be a Trailblazer~」で掲げるグローバルな事業展開を人事面で推進すべく、当社グループはグローバル人財育成を見据えた若手従業員の海外挑戦施策である、海外公募留学制度を実施しています。また、多様性を活かす共創力を強化すべく、海外現地法人の人財育成施策にも取り組んでおり、ローカル従業員の海外間転勤、海外ポストサクセッションプラン、理念浸透施策、異文化コミュニケーション研修、マネジメント研修等を実施、運用しています。
例えば中国では、旭化成(中国)投資有限公司が、旭化成中国全現地法人に対して「公開講座」や「層別職能別の人財育成プログラム」を提供しています。
ここ数年、特に、ローカル従業員の「選抜課長育成研修(2017年度~2019年度)」とさらに将来の総経理以上を目指す「経営幹部候補者育成プログラム(2020年度から現在にかけて実施)」に注力してきました。中国市場の動きを深く継続的にウォッチし、その流れを当社グループに取り込みうるには経営者の現地化が必要という認識のもと、施策を推進しています。
自己研鑽の支援
当社では、2003年10月から職務遂行能力や専門知識・技術を高める努力を支援する制度として、「自己研鑽支援制度」を設け、能力開発に要した経費の一部を支援金(受講料などの補助)として支給しています。2021年度は延べ1,109名が利用しています。
方針
旭化成グループでは、個人の基本的人権と多様性を尊重し、あらゆる事業活動において国籍・人種・出自・民族・宗教・性別・思想・年齢・身体的特徴・性的指向や性自認・雇用形態・契約形態その他を理由とする差別を行わず、また容認しないという会社方針を旭化成グループ行動規範に明記しています。すべての従業員が差別を受けることなく、機会均等が保証され、生き生きと能力を発揮するための環境整備を進めるとともに、従業員が差別やハラスメントを行わないよう、新入社員、新任係長クラス、新任課長クラス等の階層別、その他各事業会社、地区において実施する企業倫理研修を通じて会社方針の浸透を図っています。
マネジメント体制
当社グループは、急速に変化する事業環境に対応し継続的に新たな価値を生み出していくためには、人財の多様性を活かし共にビジネスを創っていく“共創力”を高めることが不可欠という認識のもと、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進に関する専任部署であるダイバーシティ推進室を中心に取り組みを進めています。
女性の活躍推進
当社グループでは、女性の活躍推進は、D&I推進の重要な要素の一つであり、この取り組みを進めることが、最終的には性別などの属性に関係なく多様な人財が活躍する環境を実現することにつながるという考えから、1993年に専任組織(現・ダイバーシティ推進室)を設置し、女性の職域拡大や両立支援施策の拡充による女性が働き続けられる環境の整備を進めてきました。2010年代以降、新卒女性従業員の育成に関する参考情報を記載したハンドブックの担当上司への配布、女性が出産・育児等のライフイベントを経て活躍することを支援する産休前セミナー・育児休業復職セミナーの実施、女性管理職のその後のキャリア形成を支援するメンタープログラムなど、キャリア形成に対する支援についても取り組みを行ってきた結果、1994年に3名だった女性管理職は、現在277名に増加しています(2022年7月1日現在)。
また、2022年4月に発表した中期経営計画では、多様な人財の活躍状況を測る指標として、ラインポスト+高度専門職就任者における女性比率に着目していくことを公表しました(2030年:10%)。これを受け、女性活躍推進法に基づく行動計画も以下の通り改定しています。
女性管理職の推移
旭化成グループ※行動計画 | 当社グループにおいて、さまざまな価値観やバックグラウンドを有する多様な人財が共に活躍し事業と組織の成長に貢献できる環境を実現するための取り組みの一環として、今まで以上の女性の活躍を促進するため次のように行動計画を策定する。 |
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計画期間 | 2022年度~2025年度 |
内容 |
|
- ※旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ファーマ、旭化成メディカル、旭化成ホームズ、旭化成建材
障がい者雇用の促進
当社グループは、障がいの有無にかかわらず、すべての従業員がそれぞれの能力を発揮し気持ちよく働けるようにサポートしています。
当社グループは、障がい者雇用促進のための特例子会社「旭化成アビリティ」を1985年に設立しました。データ入力、書類の電子化(PDF化)、ホームページ作成などのOA業務、名刺作成、印刷・製本、サンプル発送代行、クリーニング、筆耕、花壇の管理など、当社グループからさまざまな業務を請け負っています。
2021年3月1日より障がい者の法定雇用率はそれまでの2.2%から2.3%に改定されました。当社グループの年間を通じての雇用率は2.38%であり(※)、直近の2021年6月1日現在でも2.35%(639名)と、法定雇用率を上回っています。
- ※雇用率・雇用数は特例子会社グループ適用会社全体の各年度平均の数字です。2021年6月1日の算定基礎人員は20社合計27,191名(障害者雇用促進法に基づいて計算した人員数)
障がい者雇用率・雇用数の推移※
旭化成アビリティの取り組み
① 障がい者法定雇用率の上昇に対応した取り組み
障がい者雇用を積極的に行う旭化成アビリティでは、法定雇用率の上昇に伴い事業の拡大を図るため、2021年10月に、富士地区(静岡県富士市)に新事務所を建設しました。
- 2021年10月に竣工した富士営業所新事務所
② 既存業務の拡大
- (1)当社グループ従業員のリモートワーク支援
新型コロナウイルス感染拡大以降、地方にも複数拠点を持つ旭化成アビリティが請求書を代理で一括受領し、グループ会社の代わりに専用システムにアップロードを行うことで、出社を必要としない事務対応を可能とし、当社グループ従業員のリモートワーク支援を実現しました。現在はリモートワークの定着に伴い、さらに拡大を続けています。
- (2)バナナペーパー名刺の作成
これまで廃棄されるのみであった、オーガニックバナナの茎から採取したバナナ繊維を原料としているバナナペーパーを、名刺用途として使用しています。SDGsの観点から当社グループ内でも注目度が高く作成依頼が増えており、拡大基調にあります。
- (3)農業・窯業(手作り陶器)・コーヒー加工(ドリップパック作製)
障がい特性に応じた職務開発を行っており、多岐にわたる作業工程の確保ができ、手指を使ったモノづくりの作業体験ができることから、農業、窯業やコーヒー加工の業務を継続的に行っています。
- コーヒー加工の作業風景
- コーヒー商品
③ アビリンピック(障がい者技能競技大会)
旭化成アビリティからはアビリンピック(障がい者技能競技大会)の各県大会に毎年多くの従業員が出場し入賞しています。2021年度の全国大会(東京都開催)には13名の従業員が各県代表として出場し、1名が縫製部門で金賞を、1名が機械CAD部門で銅賞を獲得するなど、日頃の業務や練習で培った技術を発揮しました。
すべての意欲ある人財の活躍を支援する制度
女性や障がい者の活躍推進のみならず、従業員の個々の事情に対応し、それぞれの人財が十分に能力を発揮し活躍できる環境づくりのための支援策を幅広く展開しています。
例えば、病気療養からの円滑な業務復帰を支援する仕組みとして、産業医の指示に従い段階的な業務再開等を行うためのリハビリ勤務制度を設けています。今後はさらに、病気治療をしながら働く従業員への支援策の拡充に向けた検討を進めています。
また、社会のグローバル化の進展に伴い、配偶者が海外転勤となるケースが増えてきたことから、当社では2013年に配偶者海外転勤時同行休職制度を導入しました。2021年度の利用者は17名(うち男性0名)でした。
さらに、2021年1月より、同性パートナー関係を社内制度上は婚姻関係と同等に扱う運用を開始しています。
ワーク・ライフ・バランスの推進
当社グループでは、ワーク・ライフ・バランスの向上を進めるため、長時間労働の撲滅・削減に向け関連法規を遵守するとともに、さまざまな事情を抱える従業員が安心して生き生きと働けるよう各種両立支援制度を設けています。同時に、イントラネット等による制度周知や上司向けのマネジメント支援を通じて、それらの制度を利用できる職場風土の醸成も進めています。一部内容が異なりますが、両立支援制度は非正規従業員にも適用され、利用されています。
育児休業制度
当社グループ(国内)※ の「育児休業制度」は、子の年齢が満3歳到達後の4月1日まで取得可能です。
2021年度の育児休業制度の利用者は707名で、そのうち420名が男性、287名が女性であり、子が生まれた男性の育児休業取得率は過去2年連続で50%を超えています。
男性従業員の育児休業取得を支援する取り組みとして、2021年4月よりパパ&プレパパセミナーを開始しています。育児休業制度をはじめとした仕事と育児の両立を支援する制度の説明や育児休業取得経験者の事例共有等を行い、2021年度は延べ111名の参加がありました。
※2021年度より前年度のカウントと重複する育児休業取得者を除外育児休業取得者の推移
仕事と育児の両立のための短時間勤務制度
当社グループ(国内)※は、子の小学校就学時まで短縮勤務が可能な育児短時間勤務制度(1日最長2時間)に加えて、キッズサポート短時間勤務制度を2007年9月に導入し、子が小学校3年生を終了するまでの短時間勤務を可能にしました。フレックスタイム制度が適用されている職場では、フレックスタイムとの併用などにより同制度を利用しやすいように配慮しています。
2021年度の育児短時間勤務・キッズサポート短時間勤務の利用者は459名で、そのうち男性の利用者は2名でした。なお、2020年4⽉に契約社員の育児短時間勤務の適⽤期間の拡⼤(⼩学校就業前まで)およびキッズサポート制度適⽤を開始しました。
育児短時間勤務制度・キッズサポート短時間勤務制度の取得者の推移
次世代認定マーク「プラチナくるみん」取得
旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ファーマ、旭化成メディカルの4社は、次世代育成支援に積極的な企業のうち特に取り組みが優秀なものとして、2016年に厚生労働省より「プラチナくるみん」を取得しました。
仕事と介護の両立のための制度
当社グループ(国内)※では、法の定めを超える介護支援制度を設け、仕事と介護の両立を支援しています。
- 介護休業:
家族を介護することを理由とする場合、要介護者1人、1疾病につき通算245日の休業を取得可能
- 介護短時間勤務:
要介護者1人につき通算1,225日取得可能
- 介護支援勤務制度:
コアタイムの短いフレックスタイム勤務 など
当社グループでは、仕事と介護の両立のためのセミナーを2011年より全国各拠点で開催しており、2020年からはオンライン開催により全国の当社グループ社員を対象に実施しています。2018~2020年は「介護と仕事を両立する部下を持つ上司向けセミナー」、2021年は「仕事と介護の両立セミナー基礎知識編」というように、多様なニーズに対応できるように取り組んでいます。
2019年4月から開始した無料介護電話相談サービス(当社グループの全従業員とその家族が365日・24時間利用可能)では、1年間で30件を超える利用がありました。また、2020年4月には、在宅介護者が増大した場合への対策として、介護短時間勤務制度の拡充を行いました。
同時に、制度を利用できる職場環境づくりを進めるため、イントラネットを通じた仕事と介護の両立に関する情報や制度情報の発信、仕事と介護の両立に役立つ情報をまとめたハンドブックの配布(2013年1月~)を実施しています。
- ※旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ホームズ、旭化成建材、旭化成ファーマ、旭化成メディカル、および国内の主要関係会社の正規従業員を対象とする。
仕事と介護の両立を支援するハンドブック
- 主な仕事と育児・介護の両立支援制度
定年退職者の再雇用
満60歳で定年退職を迎えた従業員が、豊富な経験や高度なスキルを活かして働き続けられるよう、当社では2001年度より希望者全員を対象とする再雇用制度を導入しています。2013年度には、定年前と同様の働く意欲・やりがいを持ち続けるために処遇を従来設定額の1.5倍に引き上げる見直しを実施しました。2021年度は定年退職者の8割以上が同制度を活用して活躍しています。