サステナビリティ・ビジョン―旭化成グループが目指す姿
2050年に向けたサステナビリティの方向性
近年の「気候危機」や「新型コロナウイルス感染症拡大」という大きな環境変化を受け、旭化成が掲げた「Care for People, Care for Earth(人と地球の未来を想う)」の重要性はさらに高まっています。
このような中で、旭化成グループは2050年を見据え、次の2つのテーマにチャレンジします。Care for Earthの視点では「カーボンニュートラルでサステナブルな世界の実現」、Care for Peopleの視点では「ニューノーマルでの生き生きとしたくらしの実現」です。
2050年を見据えると、さまざまな社会課題が存在することが予測されます。当社グループはそれらの解決に貢献していくことができ、事業の機会が広がっていくと考えます。
例えば「Care for Earth」(カーボンニュートラルでサステナブルな世界の実現)では、自動車電動化、水素社会、カーボンリサイクル、サーキュラーエコノミー(循環経済)といった重要テーマに対し、リサイクル技術や CO2分離・回収、アルカリ水電解システムや電池材料など、主に「マテリアル」領域の事業で貢献していくことができます。
- ※カーボンニュートラルな世界の実現のためには、自社事業活動に伴うGHG排出量の削減も必須の課題です。「旭化成グループのカーボンニュートラルに向けた方針」についてはこちらをご覧ください。
「Care for People」(ニューノーマルでの生き生きとしたくらしの実現)では、風水害や酷暑に耐える住宅や街づくりの事業、健康で生き生きとしたくらしの実現のためのヘルスケア事業で貢献していくことができます。
2つのチャレンジで社会への価値提供を目指すとともに、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス、人権の尊重、安全・品質等、当社グループの事業活動を支える基盤的活動を強化し、当社グループが目指す2つの持続可能性「持続可能な社会への貢献」と「持続的な企業価値の向上」を追求していきます。
「カーボンニュートラルでサステナブルな世界の実現」に向けた取り組み
水素社会の実現に向けた取り組み
取り組みの意義 | 水素はカーボンニュートラルのキーファクターの一つ |
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目指す姿 | グリーン水素製造におけるキープレイヤー |
具体的な取り組み | アルカリ水電解システム |
自動車燃料やエネルギーの貯蔵・運搬の担い手として注目される水素は、カーボンニュートラルのキーファクターです。当社グループは食塩電解システムの知見をベースに、2020年に福島県浪江町において世界最大規模となるアルカリ水電解システムを立ち上げ、再生可能エネルギーを活用した効率的な水素の供給運転を開始しました。欧州各国が水素戦略を発表するなど世界的に水素に期待が高まる中、ドイツでも同様の実証実験を行っています。当社グループの強みを発揮しつつ、フロントランナーとして事業化を目指しています。
CO2を原料とする化学品の製造
取り組みの意義 | CO2の循環はサステナブルな社会の重要な要素になるため |
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目指す姿 | ポリカーボネートに続くCO2ケミストリーの社会実装 |
具体的な取り組み | カルボニル基導入技術に基づく機能化学品の製造 |
CO2を原料に化学品を製造するCO2ケミストリーにも注力しています。
ポリカーボネート製造技術では、EC法が実用化されており世界中にライセンス供与を行っています。これをさらに発展させたDRC法も実証が済んでおり、石化プラントの立地に依存せずに製造が可能となる技術として注目されています。CO2からイソシアネート(ポリウレタン原料)を作る技術も開発中です。また、EC法をベースとして、これからの社会で一段と必要になるLIB用電解液原料への展開を開始しました。一方、CO2の分離・回収については触媒技術を活用し、細孔構造が精密に制御された特殊なゼオライト(鉱物の一種)を用い、発電所や工場の排ガスから効率良くCO2を分離・回収するシステムの開発を進めています。
サーキュラーエコノミーの実現に向けた技術・製品・サービスの展開
取り組みの意義 | 脱炭素に向け、持続可能な資源利用の促進が重要 |
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目指す姿 | サーキュラーエコノミー実現のボトルネックになっている技術・インフラの開発と社会実装 |
具体的な取り組み | プラスチック資源循環プロジェクト「BLUE Plastics」など |
地球環境保全が重要視される今、環境に配慮しながら利便性の高い製品を供給するため、廃プラスチックを資源として再利用する資源循環や再生プラスチックの利活用が進んでいます。
しかし、これまでは再生プラスチックを利用した製品のリサイクルチェーンや原料のリサイクル率を証明することは困難でした。
当社は、資源循環社会を実現するために、再生プラスチックのリサイクルチェーンを可視化することで安心して利用できる環境を整えることが必要だと考え、デジタルプラットフォームの開発を進めています。“資源循環と利便性の両立”という社会課題に対して、企業ごとの取り組みだけでは解決が難しいため、リサイクルチェーンに関わるあらゆる企業から消費者まで、幅広くさまざまな方が利用ができる横断的なプラットフォームを目指しています。
「ニューノーマル」での生き生きとしたくらしの実現
人生100年時代の「健康で長生き」なくらしの実現
取り組みの意義 | 少子高齢化により健康に関する暮らし面での課題が増加するため |
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目指す姿 | 健康度や家族状況の変化に応じた住まい・サービスの提供 |
具体的な取り組み | 「シニア向け安心賃貸住宅」「サービス付き高齢者向け住宅」の提供 |
人生100年時代。シニアの住まいに対する価値観が多様化する中、当社グループは健康度に応じた最適な住まいを提供しています。
元気に活躍する「健常期」、心・からだ・社会性が低下する「フレイル期」、サポートが必要な「要介護期」。それぞれのステージで求められる住まいは異なります。
「健常期からフレイル期」のシニアに、自宅よりも安心・安全で健やかに暮らせる住まい「シニア向け安心賃貸住宅『へーベルVillage』」を提供しています。
「要介護期」のシニアには、手厚い介護サービスを提供する「サービス付き高齢者向け住宅『Village(ヴィラージュ)リーシュ』」を提供しています。
老朽化した自宅で不安や不便を感じているシニアの方々に、元気なうちに、安心・安全・健康長寿に資する住まいに住み替えていただく選択肢を提供すること、また手厚い介護が必要になった方にサービス付き高齢者向け住宅を用意することで将来の安心を提供し、「健康で長生き」な社会づくりに貢献します。
アンメットメディカルニーズ解決への貢献
取り組みの意義 | 高齢化進展などにより健康に関する医療面での未解決課題が増加するため |
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目指す姿 | 特長ある製品・サービスのグローバルな提供 |
具体的な取り組み | 医薬品、医療機器および関連するサービス/素材の開発と販売 |
高齢化の進展などにより健康に関する課題が増加するため、当社グループはアンメットメディカルニーズへの対応がますます求められると考えています。当社グループは、医薬品と医療機器を共に手掛けることにより、特長ある製品・サービスをグローバルに提供していくことを目指します。
医薬品分野においては、免疫・移植を中心とした領域で、貢献を図っていきます。
医療機器分野においては、重篤な心肺関連疾患と、周辺領域(急性心筋梗塞、睡眠時無呼吸症)への注力を行っていきます。
その他、バイオプロセス事業においては、医薬品製剤の安全性と生産性の向上にさらに貢献すべく、遺伝子治療、細胞治療、再生医療、次世代ワクチンといった次世代医薬品にも対応していきます。
関連情報
中期経営計画の実行によって、さらなる企業価値の向上を目指します。