ZOLL Medical Corporationによる米国Respicardia, Inc.の買収について
2021年4月12日
旭化成株式会社
旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:小堀 秀毅)の子会社であるZOLL Medical Corporation(本社:米国マサチューセッツ州、CEO:Jonathan Rennert、以下「ZOLL社」)は、中枢性睡眠時無呼吸症(Central Sleep Apnea、以下「CSA」)に対する植え込み型神経刺激デバイス「remedē®(レメディー)System」の製造・販売を行う米国の医療機器メーカーRespicardia, Inc.(本社:米国ミネソタ州、CEO:Peter Sommerness、以下「Respicardia(レスピカルディア)社」)を買収することを決定し、その手続きを4月9日(米国東部時間)に完了しましたのでお知らせいたします。
1. 本買収の目的
ZOLL社は、医療機関向け除細動器および自動体外式除細動器(AED)、着用型自動除細動器「LifeVest®」等の心肺蘇生を中心とした既存事業※1に加え、心不全や呼吸機能障害といった心肺蘇生の周辺領域を取り込むことにより、クリティカルケア事業のさらなる拡大を目指しています。
Respicardia社はアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患に対して革新的な治療法を提供しています。今回の買収により、ZOLL社の持つ心臓および呼吸器治療に対する専門知識とRespicardia社の医療機器を組み合わせることで、より多くの患者さんの命とQOL(Quality of Life)の向上に貢献できると考えています。
2. Respicardia社の「remedē® System」について
Respicardia社の「remedē® System」は、中等度および重度の成人CSA患者に対する世界で唯一の植え込み型神経刺激デバイスとして米国食品医薬品局(FDA)から2017年10月に承認※2を受けた医療機器です。
睡眠時無呼吸症は主に閉塞性(Obstructive Sleep Apnea)と中枢性(CSA)に分類され、閉塞性は気道の物理的な閉塞が原因となりますが、中枢性は脳内の呼吸中枢が正常に機能しないことが原因で、呼吸が障害されるものです。CSAの症状には、慢性疲労、日中の過度の眠気、認知障害、睡眠障害等があります。また、CSAは心臓病(特に心不全)患者に併発しやすいことが知られており※3、入院や死亡リスクも上昇させると報告されています※4、5。
本機器は、胸部の横隔神経の一つに電気パルスを送ることで、呼吸を制御する筋肉(横隔膜)に信号が送られ、睡眠時における呼吸パターンを正常に戻します。
「remedē® System」
3. 今後の展望
ZOLL社は、Respicardia社の買収により、両社の販売網を活かした営業活動や心臓専門医へのアプローチ等のシナジーを最大限に活かし、米国において少なくとも100万人以上と推定される※6「remedē® System」の対象患者の睡眠改善や症状の緩和に努めていきます。 今後は、急性心筋梗塞や心不全、および呼吸機能障害等の疾患に対する製品・サービスをターゲットとした戦略的投資や買収を通して、これらの疾患に対するポートフォリオの拡大・強化を目指します。
旭化成グループは、持続可能な社会の実現を目指し、人びとの“いのち”と“くらし”に貢献し続けてまいります。
Respicardia, Inc.の概要
- 設立
- 2006年
- 所在地
- 米国ミネソタ州 ミネトンカ市
- CEO
- Peter Sommerness
- 事業内容
- 「remedē® System」の開発・製造・販売
- 従業員数
- 約75名
- 主要な事業拠点
- 米国
- ※1旭化成ゾールメディカルのウェブサイト
- ※2FDA PMA P160039
- ※3Bekfani T, Abraham WT. Europace. 2016 Aug;18(8):1123-34. doi: 10.1093/europace/euv435. Epub 2016 May 26.
- ※4Khayat R et al. Central sleep apnea is a predictor of cardiac readmission in hospitalized patients with systolic heart failure. J Card Fail 2012;18:534–40.
- ※5Khayat, R et al. Sleep disordered breathing and post-discharge mortality in patients with acute heart failure, European Heart Journal 2015;36 1463–1469.
- ※6Javaheri and Dempsey, Comprehensive Physiology 2013; 3:141-163; Dymedex data on file, 2014
以上