国連開発計画が主導する「ビジネス行動要請(BCtA)」の承認継続が決定
~インドでの「ベンベルグ®」「マイクローザ®」事業を通じた繊維産業への貢献~
2021年4月26日
旭化成株式会社
旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:小堀 秀毅、以下「当社」)は2021年2月に、再生セルロース繊維(キュプラ繊維)「ベンベルグ®」とポリフッ化ビニリデン(PVDF)中空糸膜「マイクローザ®」のインドにおける事業展開が、国連開発計画(以下「UNDP」)が主導する「ビジネス行動要請(Business Call to Action: BCtA)」に承認継続されたことをお知らせします。
当社は、2016年よりBCtAに承認されていますが、このたび、インドでの原料調達から最終製品に関わるステークホルダーへの支援および産学連携の取り組みが、商業活動と持続可能な開発活動を両立するビジネスモデルとして再度高く評価されました。
インドでの繊維産業における新たな労働機会の創出、ファッション業界の発展に向けた若者の育成活動を継続するとともに、今回より地球環境に配慮した繊維産業の持続的発展に欠かせない産業用水の排水浄化システムの整備も新たに進めていく計画です。
「ベンベルグ®」(当社の再生セルロース繊維・キュプラのブランド)は、コットンリンター(綿実の周りの産毛)を原料とする再生繊維で、現在、高級スーツなどの裏地から、アウター・インナー・寝装・スポーツ衣料など幅広い用途で展開されています。
一方「マイクローザ®」は、当社が膜ろ過のために開発した中空糸膜です。化学、精密電子工業はもとより、上下水道、食品、医療、エネルギー、環境など幅広い分野に導入されて実績を積み上げており、お客さまより極めて高い評価をいただいています。
「ベンベルグ®」事業のインドにおける取り組み
1976年に「ベンベルグ®」原糸のインド向け輸出を開始し、今年で45年を迎えます。インドでは「ベンベルグ®」を使用した民族衣装が生産され、多くの女性が着用しています。現在はインド向け原糸の輸出が4,000tを超える数量まで拡大してきており、「ベンベルグ®」事業の中心となっています。
当社はインドにおいて、「ベンベルグ®」の原料調達から最終製品までの企業活動(バリューチェーン)に直接・間接に関与し、技術の向上、安定した収入の確保や新たな仕事の創出など技術開発や人材育成に貢献しています。当社では、原料であるコットンリンターの多くをインドから購入しており、数社の原料メーカーにコットンリンター採取の設備を無償貸与し、当社の技術者が生産性向上のための指導や技術サポートをしています。日本へ輸出されたコットンリンターは、「ベンベルグ®」原糸に加工された後インドに輸出され、機屋へ販売されています。また、生地生産段階での製織や染色などの技術指導も継続して行っています。
加えて、将来インドの繊維業界、ファッション業界を担う若者・学生への教育にも力を入れており、能力の向上を目的に数校の大学に教育サポートを行い人財育成にも貢献しています。
「マイクローザ®」事業を通じた新たな取り組み
上記の活動に加え新たな取り組みとして、生地染色時に発生する排水処理に「マイクローザ®」の適用を顧客へ提案し、染色工場のゼロ排水実現を進めています。これにより、工場周辺の環境保全と、水の再利用による貴重な天然水資源の節約に貢献しています。
活動の詳細は、「BCtA活動紹介ウェブサイト」をご覧ください。
ご参考
国連開発計画(UNDP)について
国連総会と国連・経済社会理事会の管轄下にある国連機関のひとつとして、1966年に発足(本部:ニューヨーク)。持続可能な開発プロセス、包摂的で効果的な民主的ガバナンス、強靭な社会の構築の3つを重点活動分野として、170近くの国でさまざまな開発支援を行っています。
ビジネス行動要請(Business Call to Action: BCtA)とは
2008年に発足した国連開発計画(UNDP)を含む6つの開発機関・政府が主導する、長期的視点で商業目的と開発目的を同時に達成できるビジネスモデルを模索し、促進する取り組みです。BCtAは、企業がそのようなビジネスモデルと企業のコアとなる技術を適用しながら、貧困層の成長を活性化させ、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を促進することを目的としています。
以上