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CD28阻害薬「FR104」の臓器移植を対象としたグローバルライセンスの契約締結について

2021年4月27日
旭化成株式会社

旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:小堀 秀毅)は、子会社であるVeloxis Pharmaceuticals, Inc.(本社:米国 ノースカロライナ州、CEO:Craig Collard、以下「Veloxis(ベロキシス)社」)が、OSE Immunotherapeutics SA(本社:フランス ナント市、CEO:Alexis Peyroles、以下「OSE社」)の保有するCD28阻害薬「FR104」の臓器移植領域を対象としたグローバルでの開発、製造、販売に関する独占的ライセンス契約を締結したことをお知らせします。

1. 契約の背景

Veloxis社は、米国において独自のドラッグデリバリー技術を活用した、腎移植手術後の免疫反応に対する治療薬「Envarsus ® (エンバーサス) XR」を販売しており、アンメットニーズを満たす製品として、2015年12月の発売以来、着実な成長を続けています。本契約により、臓器移植領域のパイプラインの強化を図るとともに、これまで培ってきたVeloxis社の臓器移植領域における強みを活かすことで「FR104」の開発を加速させ、「FR104」が臓器移植患者の新たな治療薬として貢献できることを期待しています。

2. 「FR104」について

OSE社は、がん免疫・自己免疫疾患領域において高い研究開発力を持つバイオテクノロジー企業です。同社の保有する「FR104」は、T細胞シグナル伝達経路において必須の役割を果たしているCD28を標的としたモノクローナル抗体であり、Fab領域にポリエチレングリコールを結合させたCD28阻害剤です。CD28シグナル伝達は、エフェクターT細胞(免疫系を活性化する細胞)の増殖と制御性T細胞(自己に対する免疫応答の抑制〈免疫寛容〉をつかさどる細胞)の不活性化に必要な経路であり、「FR104」はCD28シグナル伝達を阻害することにより、エフェクターT細胞の機能を抑制し、制御性T細胞の機能は維持することで免疫調節機能を発揮します。
また、非臨床試験を通じて、「FR104」の薬理学的な効果が確認されており、OSE社が実施した第Ⅰ相試験では、非臨床試験の結果と同様に良好な安全性プロファイルが確認されています。

3. 今後の展望

当社は、Veloxis社の買収により米国医薬品市場における事業基盤を獲得し、ヘルスケア領域でのさらなる成長を目指し、持続的な企業価値向上に取り組んでいます。
今後は、臓器移植領域でのさらなるプレゼンス向上を目指すとともに、グローバル展開を加速させ、アンメットニーズが高い領域での新たな治療薬の開発や、M&Aなどによる事業拡大に取り組んでいきます。

OSE社 概要

(1)名称
OSE Immunotherapeutics SA
(2)所在地
フランス ナント市
(3)CEO
Alexis Peyroles
(4)事業概要
がん免疫療法・自己免疫疾患を中心とした治療法の開発
(5)ホームページ
https://ose-immuno.com

Veloxis社 概要

(1)名称
Veloxis Pharmaceuticals, Inc
(2)所在地
米国 ノースカロライナ州
(3)CEO
Craig Collard
(4)事業概要
臓器移植領域を中心とした医薬品の研究開発、製造および販売など
(5)ホームページ
https://www.veloxis.com

以上