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BLUE Plasticsプロジェクトにおける実証実験の結果報告

消費者の意識・行動の変容に対する有効性の調査

2022年4月19日
旭化成株式会社

旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:工藤 幸四郎、以下「当社」)は、昨年5月に発足した資源循環社会の実現に向けたデジタルプラットフォーム構築プロジェクト「BLUE Plastics(ブルー・プラスチックス)」において開発したプロトタイプを用いた実証実験を実施し、消費者の意識・行動の変容に対する有効性を調査し、取りまとめましたのでご報告します。

1. BLUE Plastics プロジェクトについて

当社は、「カーボンニュートラルでサステナブルな世界の実現」に取り組んでいます。サステナブルな世界の実現のためにはプラスチックリサイクルをはじめとする資源循環が重要であり、そのために再生プラスチックのリサイクルチェーンの情報をブロックチェーン上で管理・可視化し、消費者が安心して再生プラスチックを利用できる環境を整えることが必要と考えています。また、資源循環と利便性の両立という社会課題に対し、個々の企業の取り組みだけでは解決は難しいとも考え、リサイクルチェーンに関わるさまざまな企業から消費者まで、幅広く利用できる横断的なデジタルプラットフォームの開発を進めています。このプロジェクトを「BLUE Plastics」と名付けています。

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2. 実証実験の背景・目的

資源循環社会の実現には、消費者とともにリサイクル文化を醸成することが必要です。消費者はリサイクルチェーンにおいて、使用済みプラスチックのリサイクル活動への参加や、リサイクル製品の積極的な購入などの重要な役割を担っています。
そこで当社は、資源循環デジタルプラットフォームの価値を検証し、そのコンセプト開発と資源循環社会の実現に向けた施策検討の一助とするために、消費者向けアプリケーションのプロトタイプを開発し、実証実験を行いました。本プロトタイプには、消費者のリサイクル意識を高め行動を促す仕掛けとして、再生プラスチックを用いた製品の来歴情報を表示する機能や、消費者自身のリサイクル活動を記録する仕組みを搭載しました。また、消費者のリサイクルに対する意識・行動に対してアプリケーションが与える影響について検証しました。

  • [プロトタイプ]消費者向けアプリケーション
    [プロトタイプ]消費者向けアプリケーション

3. 実証実験について

概要

本実証実験は、2021年10月~12月の期間で実施しました。首都圏在住で、スマートフォンを日常的に利用しており、ゴミの分別廃棄を自ら実施している20~60代の218名を対象として、当社の開発したアプリケーションのプロトタイプを1カ月間ご利用いただきました。期間中に参加者に対して行ったWEBアンケート調査とインタビューの回答をもとに、アプリケーションの機能が参加者のリサイクルに対する意識・行動に及ぼす影響・効果を分析・検証しました。

結果

  • 参加者に対するアンケートの結果、環境貢献活動に関する消費者の興味・関心と行動には相関がみられたものの、興味・関心のスコアが行動のスコアを上回り、「興味はあるが行動に移せていない」という傾向があることがわかった。
  • 使用済みプラスチックに関連する環境問題への興味・関心は高い一方で、84%の参加者が、再生プラスチックについて十分理解していないことがわかった。
  • 再生プラスチック製品のリサイクル率や来歴の透明性が「消費者の意識変容」に影響を及ぼすことが明らかになった。
  • アプリケーションを利用した消費者自身のリサイクル活動の記録・可視化が、「消費者の意識・行動変容」に影響を及ぼすことが明らかになった。

本実証において、商品のリサイクル率や来歴情報は、事業者のみならず消費者にとっても関心事であり、消費者が商品を安心して購入する際の基準の一つになりうることを明らかにしました。また、アプリケーションによる資源ごみ回収活動の記録・可視化は、消費者が自らの環境貢献の実感し、自分事として捉え、リサイクルに対する意識や行動を促すきっかけになりうることを確認しました。

本実証実験は、日本アイ・ビー・エム株式会社、ライオン株式会社、メビウスパッケージング株式会社、株式会社富山環境整備の各社のご協力の下で実施しました。今後も各社と連携し、デジタルプラットフォームの開発と社会実装を進めてまいります。

4. 今後について

当社は今回の実証を通じて得られた知見をもとに、実証実験の規模、製品や素材の種類を拡大させ、再生プラスチックの利活用促進と本プロジェクトの早期の社会実装に向けて取り組んでまいります。
また、昨年10月に、サーキュラーエコノミーに関心を持つ皆様と議論ができる「BLUE Plastics Salon」を立ち上げました。現在、約30の企業や団体が入会し、情報や課題の共有ができる場として、定期的に会合を開催しています。今後は、BLUE Plastics Salon内でもデジタルプラットフォームを活用した共創の取り組みを行っていく予定です。

本実証実験の詳細レポートについては、BLUE Plastics SalonのWEBサイトよりダウンロードいただけます。

以上