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機能樹脂製品における製品別カーボンフットプリントデータの提供開始

NTTデータとの共同開発によりサプライチェーンの温室効果ガス排出量を可視化

2022年4月20日
旭化成株式会社

旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:工藤 幸四郎、以下「当社」)は、自動車や電子部品等の部品材料として使用される機能樹脂製品(商品名:「レオナ™」「テナック™」、「テナック™-C」「ザイロン™」および「サーミレン™」)を対象に、株式会社NTTデータ(以下「NTTデータ」)と共同で製品グレードごとの温室効果ガス(以下「GHG」)排出量を把握し、カーボンフットプリント(以下「CFP」)を算出する基盤(以下「本基盤」)を構築しました。本基盤は今月より運用を開始しており、本年5月からお客さまへのCFPデータの提供を開始します。

1. 背景

旭化成グループは、前中期経営計画「Cs+ for Tomorrow 2021」において持続的成長に向けた基盤強化をGreen / Digital / Peopleの視点で取り組んできました。本年4月11日に発表した『中期経営計画 2024 ~Be a Trailblazer~』においても「グリーントランスフォーメーション」を経営基盤強化のための重要テーマの一つと位置付けており、カーボンニュートラルの実現に向け、自社のGHG排出量の削減と、社会のGHG排出量削減への貢献を進めています。そのため、GHG排出量の観点で主要な製品を中心に、製品ごとのCFPの算定を順次進め、既に一部顧客に情報を提供し始めています。
当社の「レオナ™」、「テナック™」、「テナック™-C」、「ザイロン™」および「サーミレン™」は機能樹脂製品であり、高強度、摺動性、難燃性などの特長を活かして、自動車機構部品や電気・電子部品などの材料として幅広く使用されています。当社の機能樹脂製品事業ではグローバルでそれぞれ10以上の製造拠点・営業拠点を構え、全世界のお客さまに製品供給や技術サポートなどを行っていますが、さまざまな拠点をまたぐ複雑なサプライチェーンが形成されているため、製造から販売に至るまで一貫した形で、最終製品別に経営情報(予算・実績・見通しなど)やCFPを迅速に確認することは困難でした。
近年、地球環境への意識やサステナビリティの重要性が高まる中、自社内の管理に加え、業界全体を意識した取り組みが期待されています。当社の機能材料事業においても自社の活動や調達を通じた脱炭素の推進に加え、サプライチェーン下流のお客さまに対し製品ごとのCFP情報を提供し、サプライチェーンでの脱炭素化を進めることが求められています。これらの期待・要望に応えるため、本基盤の構築を行いました。

2. CFP算出基盤の概要

当社の機能材料事業では、NTTデータと共同で経営情報をグローバルで一貫把握する基盤を2020年度に構築しています。今回、本基盤を拡張してCFPの把握を実現しました。

特長1:調達原料から輸送、外注加工、自社製造・出荷までのGHG排出を網羅

上流にあたるサプライヤーから仕入れた原料別CFPに、外注加工や自社の製造プロセスで発生したGHG排出を配分し加算することにより、サプライチェーン上流から製造・出荷までのプロセスを網羅したCFPの可視化に成功しました。
(原料CFPの算出には、国立研究開発法人産業技術総合研究所が提供するLCIデータベース「IDEAv2.3」を利用しています。)

特長2:複雑なサプライチェーンに対応し、最終製品別に月次でCFP算出が可能

機能樹脂製品の生産品目は細分化している上、生産拠点も世界中に分散し、生産プロセスが多段階に分かれるなどサプライチェーンが複雑化しています。複雑なサプライチェーンを網羅するために、高速演算を強みとする計画・分析ツール「Anaplan(アナプラン)」を導入しました。原料、製造拠点のさまざまなデータをAnaplanに入力し、月次で製品別CFPの把握が可能となりました。

特長3:経営情報と組み合わせて、価格とCFPの二軸での分析を実現

本基盤は既に稼働していた経営情報基盤を拡張し実現したことにより、「最終製品別」や「お客さま別」などのさまざまな視点で価格とCFPを組み合わせた分析が可能となりました。これらの分析にはBI(ビジネスインテリジェンス)ツールである「Tableau(タブロー)」を用いて可視化を行っています。これにより、例えばお客さまにCFP削減だけでなく、価格とCFPのバランスを重視した提案を行うことも可能となりました。

今後、当社は各製品の特性に応じた最適なCFP算定のシステムや開示の在り方を検討してまいります。そしてカーボンニュートラルでサステナブルな世界の実現を目指し、事業の取り組みを通じてさまざまな社会課題の解決に貢献してまいります。

  • CFP(カーボンフットプリント)
    CFPとはCarbon Footprint of Productsの略称です。商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出されるGHGの排出量を二酸化炭素に換算して定量的に算定したものを指します。
    当社で算定を行っているCFPはプロセス合算型データ(Cradle-to-Gate)の考え方に基づいたもので、当社の上流にあたる原料由来のものや輸送時に発生するもの、当社における製造プロセス上で発生するもの、また製造に使用される電力などのエネルギーに由来するものの合算値を指します。

以上