• お知らせ

2023年 年頭所感「より明確になった目指すべき社会~中期経営計画を加速する1年にしよう~」

本日、旭化成本社にて行われました、当社社長の工藤幸四郎による年頭所感を以下の通りお知らせいたします

2023年1月5日
旭化成株式会社
代表取締役社長 工藤 幸四郎

旭化成グループの従業員の皆さん、新年あけましておめでとうございます。

昨年は予想もできなかった様々なことが世界中で起こりました。2月のロシアによるウクライナ侵攻、それに伴うサプライチェーンの混乱、原材料などの高騰、そしてインフレの加速、依然としてまん延が続く新型コロナウイルス、米中デカップリングをはじめとする地政学的リスクの増大等々です。
そしていまだ継続しているこれらの出来事は、我々が想像した以上に、長引き、拡大しているのではないかと思います。つまり、いくら想定しても想定しきれないことが、残念ながら2023年も十分起こり得ると覚悟しておくべきです。

昨年スタートした3カ年の『中期経営計画 2024 ~Be a Trailblazer~』は、2030年に想定される社会構造や世界の大きなトレンドを俯瞰し、旭化成として目指すべき事業構造(姿)を定めたものです。このような予測のつかない状況下にあっても、大きな流れ、社会のあるべき姿、すなわち当社のグループビジョンにある「健康で快適な生活」「環境との共生」の実現を目指す方向性は変わらず、むしろ明確になったのではないかと思います。

新年を迎えるにあたって、当社グループが手掛ける3領域の状況と期待について改めて申し述べます。
まず「マテリアル領域」ではポートフォリオ変革を引き続き推し進めることが喫緊の課題です。過去に実行した設備投資、M&Aの成果を確実に実現するとともに、構造改善事業、あるいはベストオーナーの観点から再編すべき事業などをもう一歩踏み込んで明確にしていくことが重要です。
また、「マテリアル領域」の研究開発は、技術のイノベーションを起こす原点でもあります。環境問題をはじめとする社会課題解決のために、「マテリアル領域」が旭化成をリードする形で技術、ビジネスモデルのイノベーションを起こしてくれることを期待しています。
ただし、その前提としては、個社でできることの限界を知り、オープンイノベーションの遂行や他社とのコンソーシアム形成など、様々な手段を途切れなく実行すべき時代であることを理解しなくてはなりません。
「住宅領域」では、国内において強いブランド力で成長を続けることに加え、市場の成長が見込まれる北米、豪州において、“旭化成ならでは”のビジネスモデルや、強固なサプライチェーン形成による事業拡大で、さらにキャッシュ創出力を高めてほしいと思います。
また、3領域経営のシナジー発揮の観点から考えますと、「住宅領域」が「優良なストックを保持していること」はグループ全体の財産でもあり、新しいビジネスを創出するチャンスに満ちています。
「ヘルスケア領域」については、昨年もいくつかの優良なM&A案件を実行しました。残念ながら、2022年度は、M&Aに関わるのれん償却増や、クリティカルケア事業の半導体不足による生産の停滞、北米の高インフレの影響、人員不足など、様々な課題が一挙に出てきました。しかしながら、一昨年買収したRespicardia社とItamar社の今後の成長とシナジーの期待や、バイオプロセス事業として昨年買収したCDMOのBionova社の成長への期待は大きいものがあります。「ヘルスケア領域」については2025年、2030年に向けて旭化成グループの核となる領域に成長することを期待し、そのための2023年の施策を確実に実行していただきたいと思います。

  • 製薬会社に代わり、バイオ医薬品の製造プロセスの開発や製造そのものを受託する機関。

3領域をつなぎ、経営の高度化に資するものが無形資産です。DX、知的財産、人財、この全てがグループの価値最大化のための重要な資産であることをしっかり意識し、さらなる強化・高度化に向けて一緒に努力していきたいと思います。

以上3領域への期待を述べましたが、それにも増して何より重要なことは、環境安全・品質保証への取り組みの強化です。昨年は、爆発事故、火災など重大な事故が発生しました。
グループを挙げて、このような事故が二度と起こらないよう、「三現主義」の徹底を改めてお願いします。

最後になりますが、本年が旭化成グループにとって飛躍の年となるよう、また皆さんが健康で元気に過ごせる1年であることを祈念しまして、年頭の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

以上