• プレスリリース

発がん性物質であるニトロソアミン類の生成リスクを抑えた結晶セルロース「セオラス™」の生産決定

亜硝酸濃度0.1ppm以下の規格化

2024年2月27日
旭化成株式会社

旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:工藤 幸四郎、以下「当社」)は、このたび、結晶セルロース※1「セオラス™」の粉体グレードにて※2亜硝酸濃度0.1ppm以下の規格化を決定しました。これに基づき2024年7月より経口固形製剤※3における発がん性物質であるニトロソアミン類の生成リスクを低減した医薬品添加剤を生産します。
また、セオラス第2工場(岡山県倉敷市の水島製造所内、以下「水島工場」)の建設が完了し、2024年1月より製品供給を本格化したことを併せてお知らせいたします。

  • 水島工場 外観写真
    水島工場 外観写真

1. 背景

当社のライフイノベーション事業本部 ヘルスケアマテリアル事業部では、宮崎県延岡市で主に医薬品や健康食品の賦形剤※4として用いられる結晶セルロース「セオラス™」を製造しております。1970年に結晶セルロースを販売開始し、50年以上にわたってお客さまの多様なニーズに合わせた技術開発や品質改善への取り組みを行ってきました。中でも独自技術を用いて成形性と流動性※5をそれぞれ向上させた高機能グレードである『KGグレード』『UFグレード』はお客さまより高い評価を受けております。
昨今、原薬や製剤製造に用いる添加剤の品質や安全性が改めて問われています。中でも原薬製造過程や製剤中に発がん性物質であるニトロソアミン類が生成する事象等が国内外で重大なリスクとして注目を集めており、そのリスク低減が課題となってきました。

2. ニトロソアミン類について

近年、日本や米国、欧州において、高血圧症治療薬に用いられるバルサルタン等から、発がん性物質であるN-ニトロソジメチルアミン等のニトロソアミン類が検出され、一部の製品が自主回収されています。※6ニトロソアミン類は、2級・3級アミンを含む原薬製造に用いる原材料(原料や添加剤、溶媒を含む)と、原薬や医薬品添加剤に不純物として含有する亜硝酸塩類が一部の製剤製造工程または製剤中※7に共存することが生成の一因であるということが明らかになってきました。そのため、我々はこのニトロソアミン類の生成リスクを軽減する方法の1つとして、医薬品添加剤中の亜硝酸塩含有量を下げることが有効であると考えています。

3. 水島工場について

水島工場は、2024年1月より製品供給を本格開始しました。これにより、既存の東海工場(宮崎県延岡市)と2拠点からの製品供給が可能となり、キャパシティの拡大とともに、BCPの観点においてもより堅固な供給体制を実現します。それに加えて、今回の規格化により、発がん性物質であるニトロソアミン類の生成リスクを低減した医薬品添加剤の生産を進めてまいります。

今回の規格化決定を契機に、国内外のお客さまに対しニトロソアミン対策の一助として「セオラス™」の有効性をお伝えしていくとともに、今後もさらなる品質向上を目指して研究開発を進め、これまで以上に世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献してまいります。

  • ※1 結晶セルロース:パルプを原料とする白色の粉末。主に医薬品添加剤、食品添加物として使用。
  • ※2 対象グレード:PH-101, PH-102, PH-301, PH-302, PH-200, KG-1000, KG-802, UF-711, UF-702
  • ※3 経口固形製剤:口から摂取する錠剤、顆粒、カプセル等。
  • ※4 賦形剤:固形製剤の増量、形状賦与の目的で添加されるもの。
  • ※5 流動性:製造時における粉体の流れやすさを示す。
  • ※6 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)引用:
    https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/0371.html
  • ※7 一部の医薬品製造工程または製剤中:酸性条件下の医薬品製造工程や医薬品

以上