• プレスリリース

ウイルス除去フィルター「プラノバ™」の新紡糸工場の建設決定

2025年7月29日
旭化成ライフサイエンス株式会社

旭化成ライフサイエンス株式会社(本社:東京都千代田区、社長:四ノ宮 健、以下「当社」)は、ウイルス除去フィルター「プラノバ™」の将来的な需要拡大への対応を目的として、宮崎県延岡市に新たな紡糸※1工場を建設することを決定しましたので、お知らせします。なお、セルロース膜中空糸の紡糸工場として4番目となる本工場では、「プラノバ™ S20N」「プラノバ™ 15N、20N、35N、75N」の製造を2030年より開始予定です。また、今回の建設について経済産業省による「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」の補助金の交付を受けることが決定しております。

1. 背景

旭化成グループは中期経営計画において、主要事業を「重点成長」「戦略的育成」「収益基盤維持・拡大」「収益改善・事業モデル転換」という位置づけに分類し、今後の資源配分方針を明確にしています。ウイルス除去フィルター「プラノバ™」が含まれる「ライフサイエンス」事業は、「戦略的育成」として、利益成長を図るとともに将来の成長ドライバーとして積極的に投資を行っていく方針です。このように、投資対象を絞り込み、厳選された事業に対して集中投資を行うことで、旭化成は持続的な収益拡大と企業価値の最大化を目指しています。
「プラノバ™」は、バイオ医薬品※2や血漿分画製剤※3といった生物学的製剤※4の製薬プロセスに用いられており、ウイルス除去性能とタンパク質透過性に優れたセルロース製中空糸型フィルターとして、国内外で高い評価を受けています。2021年には次世代セルロース膜「プラノバ™ S20N」、2024年には高い透水性を特徴とした「プラノバ™ FG1」を発売し、より多様化するお客さまのニーズに応える最適なソリューションの提供を可能にしています。
世界のバイオ医薬品市場は2032年までに5000億米ドルを超え、年平均成長率8.2%(2022年-2032年)で成長すると予測されています。※5このような需要拡大に伴い、製薬会社における新薬の開発および商業生産化へのニーズも急速に高まり、生物学的製剤の生産に必要なウイルス除去フィルターの需要も増加傾向にあります。
こうした状況を受け、2024年5月には、宮崎県延岡市にて「プラノバ™」の新組立工場が竣工し、供給能力の強化を図ってまいりましたが、今後のさらなる需要増に備え、紡糸工程の生産能力増強が不可欠と判断し、今回の新紡糸工場建設を決定いたしました。

2. 新工場の概要

所在地
宮崎県延岡市旭町(既存工場隣接地)
建設開始
2026年7月(予定)
操業開始
2030年1月(予定)

3. 代表者のコメント、今後の展望

旭化成ライフサイエンス株式会社 バイオプロセス事業部長 金澤有祐
「当社の使命は、マーケットを牽引する企業の1社として「プラノバ™」を安定的に世界中のお客さまへ提供することにより、世界的に需要が拡大している生物学的製剤の安全性と生産性の向上に貢献することです。今回の新紡糸工場の建設により、バイオプロセス市場における「プラノバ™」のプレゼンスをよりいっそう高めるとともに、将来に向けた安定供給体制を構築できることをたいへんうれしく思います。また本件は、経済産業省による「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」の補助金の交付も決定しており、有事の際の国内でのワクチン生産に対する部材供給においてもしっかりと責務を果たすことで、将来にわたりより広い範囲で貢献できると考えています。」

当社は、生物学的製剤メーカーが安全かつ効率的に医薬品を製造し、患者さまが安心してご使用いただけるよう、今後も積極的に研究開発、設備投資を行い、革新的かつ信頼性に優れたバイオプロセス製品、装置および学術コンサルテーションを安定的に提供していきます。

  • 新工場で製造予定の「プラノバ™ S20N」「プラノバ™ 20N」
    新工場で製造予定の「プラノバ™ S20N」「プラノバ™ 20N」

用語解説

  • ※1 紡糸
    高分子材料(ポリマー)を細い糸状に加工して繊維を作る工程
  • ※2 バイオ医薬品
    遺伝子工学、細胞培養などのバイオテクノロジーを利用して生産されるペプチドやタンパク質を有効成分とする医薬品。インターフェロン、成長ホルモン、エリスロポエチン、各種モノクローナル抗体などがある。
  • ※3 血漿分画製剤
    血漿から精製して得られる治療に有益なタンパク質製剤で、感染症の治療に用いるグロブリン、血友病などの治療に用いられる血液凝固第VIII因子などの血液凝固因子製剤などがある。
  • ※4 生物学的製剤
    ヒトおよび動物などの生物由来成分を原料とした医薬品。
  • ※5 参照サイト
    https://market.us/report/biopharmaceuticals-market/

以上