人財理念

旭化成グループでは、2006年3月に制定した「人財理念」において、「人財」たる従業員一人ひとりが共有すべき価値観や行動の指針をまとめています。従業員がこの理念に沿った行動を積み重ねることを通じ、企業風土として定着させ、従業員一人ひとりの成長と当社グループの発展を実現することを目指しています。

  • 旭化成グループの人財理念として、「人財」たる従業員一人ひとりが共有すべき価値観や行動の指針をまとめています。会社が約束することとして、「旭化成グループの人財が、働きがいを感じ、いきいきと活躍できる場を提供し、グループの成長と発展を目指す」ことを掲げています。社員に求めることとして、「挑戦し、変化し続ける」「誠実に、責任を持って行動する」「多様性を尊重する」の3項目を示しています。リーダーに求めることとして、「活力ある組織をつくり、成果をあげる」「既成の枠組みを超えて発想し、行動する」「メンバーの成長に責任を持つ」の3項目を示しています。

旭化成グループの人財戦略

当社は1922年に創業し、2022年に100周年を迎えましたが、この間、時代とともに変化する社会課題解決に挑戦し、事業ポートフォリオを絶えず変革することで成長を実現してきました。そのような中、今後も、持続可能な社会に向けてさらなる変革が必要であるとの認識のもと、2025年度から始動した「中期経営計画 Trailblaze Together」に連動した人財戦略を策定しました。

多様な「個」の終身成長と共創力を2本柱とする人財戦略

当社グループでは、従業員に求める心構えとして「A-Spirit」という言葉を掲げています。旭化成の「A」と、アニマルスピリットの「A」をかけたもので、具体的には、野心的な意欲、健全な危機感、迅速果断、進取の気風、という4つのことを強く意識し、チャレンジングな人財であってほしいと伝えています。
これらは、当社グループが100年かけて培った「誠実・挑戦・創造」というグループバリュー、人や技術の多様性、自由闊達な風土などの無形資産をさらに磨き、活かしきるということと考えており、今後大胆に事業ポートフォリオを転換していくためには、改めてA-Spiritを呼び起こし、積極果敢に変化し挑戦し続ける人財・組織が必要であると考えています。そのために中期経営計画では、「終身成長」と「共創力」を人財戦略の柱としています。

「終身成長」については、一人ひとりが自らのキャリアを描き、成長に向けた学び・挑戦を進めること、「共創力」については、多様な人財が活躍し多様性を強みとする組織づくりのためにさまざまな取り組みを実行しています。さらに、「終身成長」「共創力」の両面を推進するため、個とチームの力を最大限に引き出し、成果に結びつけるためのマネジメント力の向上に一層取り組んでいきます。

旭化成グループの人財戦略

  • 旭化成グループの人財戦略の考え方を示しています。「“人は財産、すべては『人』から”」を基本的な考え方とし、挑戦・成長を続ける「終身成長」と、多様性を拡げ深める「共創力」を両輪として推進しています。終身成長では、「自律的キャリア意識向上と組織の成長との好循環」を、共創力では「多様な人財の活躍(DE&Iの推進)」を目指しています。また、これらを支える要素として、「個とチームの力を引き出すマネジメント向上」を位置付けています。さらに、全てのベースとして「心身の健康」と「自由闊達なコミュニケーション」を掲げています。これらの取り組みを通じて、新しい人事制度への移行を含む「挑戦的風土の強化」を進め、「Fair」と「Open」をキーワードに、従業員の活力と働きがい向上、ならびに旭化成グループの持続的成長の循環につなげる考え方を示しています。また、関連指標として、従業員エンゲージメント調査における「成長に繋がる行動」指標はFY23の3.72からFY25の3.76へ向上し、FY27にはさらに高めることを目標としています。ラインポストおよび高度専門職における女性比率はFY24の4.9%からFY25の5.5%へ上昇しており、FY27に8.0%、FY30に10.0%を目指しています。従業員エンゲージメント調査における「活力」指標が好意的な状態(5段階中3.5以上)の回答者割合は、FY23の56.2%からFY25の58.5%へ上昇しており、FY27に60.0%を目標としています。

「終身成長」に関する具体的な施策は「人財の育成・活躍」のページで、「共創力」については「DE&I」のページで詳しく紹介しています。

方針

旭化成グループは、「人は財産、すべては『人』から」という基本的な考えのもと、人財育成において、挑戦・成長を促す「終身成長」という方針を掲げています。一人ひとりが自律的にキャリアを描き、成長に向けた学びや挑戦を続けること、また、個とチームの力を最大限引き出せるようマネジメント力を強化することに注力していきます。

人財育成体系

当社グループでは、階層別研修や目的別研修などを組み合わせて、従業員の能力開発や業務遂行の支援を行い、仕事を進める上での基礎力向上に加え、ラインマネジメントの支援、次世代経営リーダーの育成、グローバルに活躍する人財の育成を図っています。

2025年度人財育成体系図

  • 旭化成グループの人財育成体系図を示しています。職階ごとに、組織開発、階層別研修、目的別研修、制度、その他の育成施策を配置しています。組織開発では、理事、部長、L2・L1、E職、D職以下を対象に、現場実践型要素を取り入れたKSAを活用した組織開発を実施しています。階層別研修では、役員向けに「役員フォーラム」「新任役員セミナー」、理事向けに「リーダーフォーラム」、部長向けに「関係会社新任取締役eラーニング」「新任部長マネジメント強化(コーチングプログラム)」「新任部長eラーニング(内部統制/人財マネジメント)」を実施しています。L2・L1向けには「新L2マネジメント研修(MBO-S、360度フィードバックあり)」「経営管理職転研修(L転)」、E職向けには「E転基礎知識研修」、D職以下向けには「2年目フォローアップ研修」「新入社員研修」を配置しています。目的別研修では、マネジメント支援策として、L2・L1およびE職向けの「考課者研修」、D職以下向けの「考課対象者研修」、理事、部長およびL2・L1向けの「財務・会計実践研修(ファイナンスコース)」、部長からD職以下までを対象とした「財務・会計実践研修(アカウンティングコース)」を設けています。また、次世代経営リーダー育成制度として、部長、L2・L1、E職向けに「FLY(Future Leader of Young and next generation)」、部長およびL2・L1向けに「経営リーダー向け教育(eラーニング・社外研修)」を配置しています。グローバル領域では、部長からD職以下までを対象とした「異文化コミュニケーション研修」「グローバルビジネススキル研修」、部長、L2・L1、E職向けの「グローバルマネジメント研修」、L2・L1以下向けの「短期派遣」、E職以下向けの「指名留学・実務研修・公募留学」を実施しています。また、理事、部長、L2・L1向けに「キャリア研修(50代)」、L2・L1以下向けに「キャリア入社者オンボーディングWS」を設けています。制度面では、理事からD職以下までを対象とした「自己研鑽支援制度」、部長からD職以下までを対象とした「公募人事制度」を設けています。さらに、部長、L2・L1、E職向けには「ローカルスタッフ(経営人財育成)」を実施しているほか、全従業員を対象とした学習プラットフォーム「CLAP」を活用して学びを支援しています。
  • ※1「KSA」…「活力と成長アセスメント」の略。当社エンゲージメントサーベイの名称。
  • ※2「FLY」…次世代リーダー育成を目的とした選抜型プログラム。
  • ※3「CLAP」…学習プラットフォーム「Co-Learning Adventure Place」の略称

参考:当社グループの従業員一人あたりの教育投資(実績)

2023年度 2024年度 2025年度
教育投資額(総計) 4,248,249(千円) 4,767,811(千円) 4,571,877(千円)
教育投資額(一人あたり) 242(千円) 265(千円) 255(千円)
教育投資時間(一人あたり) 28.1(時間) 27.0(時間) 22.7(時間)

自律的なキャリア形成を支える施策

みんなで学ぶ、学習プラットフォーム「CLAP」の推進

CLAP(Co-Learning Adventure Place)では1万を超える社内外のコンテンツを提供し、従業員がいつでも学べる環境を整備し、一人ひとりのキャリア自律を支援しています。その上で、主体的に学び続けるための支援として、「みんなで学ぶ」環境を作るラーニングコミュニティの展開を強化しています。2023年度から新入社員を対象とした「新卒学部」という同期と共に学び合う9カ月のコミュニティ活動は運用を改善しながら定着しており、若手従業員のキャリア不安の軽減や配属地区を超えた人のつながりの形成につながっています。この取り組みは「日本の人事部」が主催する「HRアワード2024(後援:厚生労働省)」の企業人事部門 最優秀賞を受賞しました。今後は若手先輩社員も巻き込んだ活動に発展させるなど、継続的に学び続ける従業員の増加に向けて、ラーニングコミュニティを取り入れた学び方への変革に継続的に着手していきます。

  • つながる。ひろがる。CLAP

定年延長によるシニア活躍推進

「終身成長」というコンセプトのもと、シニア人財が環境の変化に適応しながら挑戦と成長を続けることができるよう支援しています。2023年度から定年を65歳に引き上げるとともに、60歳到達前の従業員が自分のwill/can/mustを整理し、それに沿った職務とマッチングする仕組みを導入しています。
また、50歳、55歳の節目でキャリア研修を実施し、自らのキャリアを振り返り、今後を考える機会を提供しています。職務のマッチングについても定期的に見直しを行っており、シニア人財の活躍支援施策は順調に定着しています。今後は、60歳以降の制度についても、さらなる活躍支援に向けて必要な見直しを検討していきます。

公募人事制度

当社は、公募人事制度を2003年度から実施しており、累計で約660名が自らの意思で部署を異動し、新たな環境に挑戦しています。今後も人財戦略の柱である「終身成長」「自律的なキャリア形成」を体現する仕組みとして、所属部署以外の業務を一定期間経験できる社内兼業タイプを拡大するなど、より活性化を図っていきます。

自己研鑽の支援

当社では、2003年10月から職務遂行能力や専門知識・技術を高める努力を支援する制度として、「自己研鑽支援制度」を設け、能力開発に要した経費の一部を支援金(受講料などの補助)として支給しています。2025年度は延べ1,391名が利用しています。

個とチームの力を引き出すマネジメント力向上を支える施策

当社グループでは、「個人と組織の活力向上と成長」が実現できる組織づくりを目指しています。

エンゲージメント向上施策 KSA(活力と成長アセスメント)

当社グループでは、個人と組織の状態を可視化しマネジメントのPDCAを回すことで、活力や挑戦・成長行動を高めることを目指しています。毎年1回、全従業員を対象に、ワーク・エンゲージメントや成長につながる行動についても確認できるサーベイとしてKSA(活力と成長アセスメント)を実施しています。KSAの3指標「上司部下関係・職場環境」「活力」「成長につながる行動」の組織ごとの結果をラインマネジャーにフィードバックするとともに、各組織が当事者意識を持ち課題や目指したい状態、今後の取り組みについて話し合う「職場対話」を推進し、職場づくりを学ぶ研修も展開しています。さらに、外部の研究成果に準じた尺度を用いて職場の関係性の状態を判定し、判定結果に応じて具体的なアクションの示唆を提供する活動を開始しています。

同時にストレスチェックを行うことで健康リスクの確認も行い、従業員一人ひとりが心身共に健康で「持続可能な成長」を実現できる環境を整備していきます。

  • KSA(活力と成長アセスメント)の考え方と評価項目を示しています。KSAは、大阪大学・開本教授の組織行動論に基づく「活力と成長循環モデル」をもとに、個人と組織の状態を「①上司部下関係・職場環境」「②活力」「③成長につながる行動」の3つの指標で捉える仕組みです。図では、「①上司部下関係・職場環境」が直接、もしくは「②活力」を通じて「③成長につながる行動」に影響し、「個人と組織の成長」につながる循環モデルを示しています。また、「個人と組織の成長」は再び「①上司部下関係・職場環境」や「②活力」に影響を与え、継続的な好循環を生み出す関係を表しています。KSAで測定する項目として、「①上司部下関係・職場環境(組織の資源)」では、上司の働きかけ、仕事を支える人間関係、創意工夫の奨励、多様性の尊重、率直に発言できる職場(心理的安全性)を評価します。「②活力(エンゲージメント)」では、前向きさを維持する力(自信・自己効力感、逆境を乗り越える力、目標への道筋を立てる力、楽観性)や、仕事への高い意欲(ワーク・エンゲージメント)を評価します。「③成長につながる行動」では、経験学習行動、組織貢献行動、問題解決・改善行動、ジョブ・クラフティングを評価します。
  • KSA(活力と成長アセスメント)の3指標の推移を示しています。指標は「上司部下関係・職場環境」「活力」「成長につながる行動」の3つで構成されています。「上司部下関係・職場環境」は、2023年度の3.84から2024年度の3.87、2025年度の3.89へと継続的に向上しています。「活力」は、2023年度の3.55から2024年度の3.57、2025年度の3.59へと向上しています。「成長につながる行動」は、2023年度の3.72から2024年度の3.74、2025年度の3.76へと向上しています。
    ※ 1~5の5段階から回答

KSAにおける3つの主要指標(「上司部下関係・職場環境」「活力」「成長につながる行動」)について、各KPIの進捗は概ね良好に推移しています。
「上司部下関係・職場環境」は、2025年度に3.89と継続的に向上しており(2024年度3.87、2023年度3.84)、良好な職場環境の醸成が着実に進んでいます。
「活力」についても、2025年度は3.59(2024年度3.57、2023年度3.55)と改善が見られています。加えて、2025年度からは好意的回答者(5段階中3.5以上)の割合向上を主要KPIに追加し、58.5%(前年度比+1.2pt)と目標値(58.2%)を達成しました。
「成長につながる行動」は、2025年度に3.76と伸長(2024年度3.74、2023年度3.72)しており、上司向け研修の展開(延べ918名受講)を通じた「職場対話実施率」の向上(2025年度73.6%)とあわせて、自律的な成長行動の定着が進んでいます。
一方で、各指標とも着実な向上が見られるものの、さらなる水準向上や組織・職場間でのばらつきの解消に向けた取り組みが今後の課題であると認識しています。

マネジメント力の向上、経営人財の育成

組織マネジメントで重要度の高い新任部長向けのプログラムを継続的に充実させています。新任部長の一人ひとりに半年間のコーチングと集合研修での受講者間のグループコーチングの機会を設けています。当プログラムでは、KSAを用いた自組織の組織課題の分析と自己課題の整理を通じて、改善に向けたアクションプランの実行を支援しています。本プログラムを受講した部長の上司に受講後の状況を確認し、行動変容の状況をモニタリングしていますが、91%の上司が部下である部長の行動や意識の変化を感じており、プログラムを通じてビジョン形成や組織づくり、対話力や他者理解といったヒューマンスキルの向上や組織を牽引しようという意識が高まったと回答しています。2026年3月時点で部長層約700名中、約420名がプログラム受講済みです。
また経営幹部の育成・獲得にも力を入れており、次世代リーダー候補者にコーチングなどを通じて自らの成長を促すとともに、リベラルアーツなどを取り入れたリーダー育成プログラムや異業種交流研修により、個々の強みの発揮を支援しています。2025年度は、経営メンバーや事業部長層のプール人財が候補者へのメンタリングを担う仕組みを導入し、経営人財が組織の枠を超えて育成に関与することで、人が人を育てる社内人財育成基盤の強化を図りました。さらに、将来の登用期待が大きい人財を戦略的・優先的に配置することで、グループ全体最適の視点をもつ経営人財の育成を進めています。
毎年数名がこのプログラムを経てグループ役員※に昇格しています。2025年度はグループ役員33ポジションに対し部長・事業部長層における候補プール人財は94名となっており、今後も質・量ともに同等以上のプール人財を維持していく考えです。

  • ※執行役員の中から当社グループ全体の企業価値向上に責任と権限を有する者として、当社の取締役会決議に基づきグループ役員を任命しており、具体的には当社の上席執行役員以上およびそれに相応する事業会社の執行役員がこれにあたります。

人事部門の機能強化

人的資本経営を実践していくためには、実働部隊である人事部門の組織能力の向上も重要です。当社では人事部門に今後必要となる能力について改めて定義づけを行い、中でもデータ利活用スキルとキャリアコンサルティング能力向上に注力しています。データ利活用スキルについては大阪大学開本教授監修のもと独自のプログラムを内製し、組織行動論などの人・組織に関する諸理論、データ収集や統計分析に関するノウハウを人事部門の従業員の多くが習得しています。また、国家資格キャリアコンサルタントの資格取得も奨励しており、2026年4月時点で50名弱が取得しています。

方針

旭化成グループでは、個人の基本的人権と多様性を尊重し、あらゆる事業活動において国籍・人種・出自・民族・宗教・性別・思想・年齢・身体的特徴・性的指向や性自認・雇用形態・契約形態その他を理由とする差別を行わず、また容認しないという会社方針を「旭化成グループ行動規範」に明記しています。すべての従業員が差別を受けることなく、機会均等が保証され、生き生きと能力を発揮するための環境整備を進めるとともに、差別やハラスメントの防止に向けて、新入社員、新任係長クラス、新任課長クラスなどの階層別研修や、各事業会社、地区で実施する企業倫理研修などを通じて、継続的に会社方針の浸透を図っています。

また、当社グループでは、中期経営計画の人財戦略の柱の一つに「共創力」を掲げています。急速に変化する事業環境に対応し、継続的に新たな価値を生み出していくためには、人財の多様性を活かし共にビジネスを創り出していく「共創力」を高めることが不可欠であると考え、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)を経営戦略の重要な要素として位置づけています。「共創力」を発揮していくためには、多様性を“拡げる”“つなげる”という2つの視点が重要であり、多様な技術・事業・人財を有機的につなげることで、当社ならではの価値が発揮できると考えています。

推進体制

当社グループでは、今後も多様な価値観を有する人財が活躍する人的組織へ発展していくことが、事業の持続的な成長には不可欠であるとの考えから、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)に関して、専任部署であるDE&I推進室を中心にグループ横断的な活動を進めています。また、DE&Iを重要な経営課題としてグループ全体で力強く推進していくために、社長を委員長とし各事業部門トップがメンバーとなるDE&I委員会を設置し、DE&Iの進捗状況の確認およびさらなる課題解決に向けた意見交換を行っています。なお、委員会の実施状況は取締役会への報告事項としています。

  • DE&I委員会の体制を示しています。取締役会および経営会議の下にDE&I委員会を設置し、委員長は社長が務めています。委員長を人事担当役員が補佐し、委員には各事業領域長、各事業会社社長、全社共通領域担当役員、経営企画部長およびサステナビリティ推進部長が参画しています。また、監査役がオブザーバーとして参加し、事務局はDE&I推進室が担っています。

高度専門職制度による多様なプロフェッショナル人財の育成

当社グループでは、新事業創出、事業強化に積極的に関与し、貢献することが期待できる人財を「高度専門職」として任命、育成、処遇することで、社内外に通用する専門性の高い人財の層を厚くする「高度専門職制度」を実施しています。本制度では高度専門職を5つの区分に定義しており、それぞれの役割を明確にするとともに処遇を向上させ、人財の成長を促すと同時に優秀な外部人財を獲得するための仕組みとしています。高度専門職がコア技術領域の研究開発をリードし、多様な技術や人財をコネクトさせることで、事業の拡大につなげます。
また、各領域における高度専門職の後継者育成計画(サクセッションプラン)を策定し、事業の強化と人財育成をリンクさせ、競争力の強化につなげます。

高度専門職の区分と役割

  • 高度専門職制度の区分と役割を示しています。専門性や処遇の高度化に応じて、「エキスパート」「リードエキスパート」「プリンシパルエキスパート」「エグゼクティブフェロー」「シニアフェロー」の各区分を設けています。エキスパートは、リードエキスパートに次ぐ専門職であり、リードエキスパート候補として位置付けられています。リードエキスパートは、プリンシパルエキスパートに次ぐ専門職であり、プリンシパルエキスパート候補として位置付けられています。プリンシパルエキスパートは、理事または上席理事相当の処遇とし、各技術領域におけるトップ技術者として位置付けられています。エグゼクティブフェローは、執行役員相当の処遇とし、新しい技術領域を創出した者、または技術領域を著しく拡大した実績を持つ者を対象としています。シニアフェローは、理事から執行役員相当の処遇とし、定年到達後の任期満了に伴いエグゼクティブフェローやプリンシパルエキスパートを退任した後も、引き続き専門性を活かして重要な役割を担うことが期待される者を対象としています。役割として、エグゼクティブフェロー、プリンシパルエキスパート、シニアフェローは、トップ専門職として技術や専門性を深耕・発展させ、新事業創出や事業強化に積極的に参画・貢献するとともに、当該領域の人財育成を担います。また、リードエキスパートおよびエキスパートは、技術や専門性を深耕・発展させ、新事業創出や事業強化への参画・貢献を期待される専門職として位置付けられています。

対象となる領域

  • 高度専門職の対象となる領域を示しています。事業固有領域として、「住宅」「マテリアル」「ヘルスケア」の3領域を配置し、それぞれの事業を支える技術・専門人財を示しています。住宅領域では、無機系塗材技術、住宅技術開発、商品住宅開発、不動産・開発、不動産金融、建築・土木技術、購買などを有しています。マテリアル領域では、研究開発、テクニカルサービス、プロセス開発、品質保証、サステナビリティ、LSI設計、ソリューション開発、エレクトロニクス生産技術などを有しています。ヘルスケア領域では、研究開発、創薬研究、薬事・信頼性保証、M&A学術、医薬ライセンシング、医薬事業開発、プロジェクトマネジメント、中国医薬事業、医療政策・マーケットアクセス、ライフサイエンス研究技術開発、ライフサイエンス生産技術、ライフサイエンス事業開発、薬事、信頼性保証などを有しています。これらの事業固有領域の基盤として、コア技術領域を配置しています。コア技術領域には、膜・セパレーション、電気化学(電気分解・電池)、繊維・ポリマー、化合物半導体、解析技術・CS、バイオ、触媒・化学プロセス・無機合成、ポリマー加工技術、CAE技術、計測・制御・機械システム技術、建設・設備技術が含まれています。さらに、これらを支えるコアプラットフォーム領域として、スタッフ、品質保証、環境安全、研究開発を配置しています。スタッフ領域には法務、会計・税務・財務、通商、M&A、IT、購買・物流、年金資産運用管理、内部監査、人財・組織開発、マーケティング、保険リスクマネジメント、機関誌対応(ガバナンス)などが含まれています。品質保証領域には品質保証、信頼性保証、製品安全、薬事、環境安全領域には労働安全、保安防災、環境、研究開発領域には知的財産、臨床研究、研究開発、CVCが含まれています。また、コアプラットフォーム領域全体を支える基盤として、デジタルイノベーションを配置しています。

高度専門職の人数推移

任命者数の推移は図の通りです。高度専門職の活動が新規事業創出および事業強化にこれまで以上につながるよう、各専門領域内で活動ロードマップの作成や、相互に交流する場である「高度専門職発表会」を毎年開催し領域内外の連携を積極的に行う取り組みを強化していきます。

  • 高度専門職制度における人数構成の推移を示したグラフです。高度専門職の総人数は、2018年1月の124名から増加を続け、2018年10月には180名、2019年10月には229名、2020年10月には250名、2021年10月には259名、2022年10月には294名、2023年10月には347名、2024年10月には373名となっています。2025年10月時点では359名となり、前年からやや減少しているものの、2018年と比較すると約3倍に増加しています。
    高度専門職(人数推移)

ジェンダーバランスの実現に向けた女性の活躍推進

基本的な考え方

当社グループでは、ジェンダーバランスの実現をDE&I推進の重要な柱と位置づけ、1993年に専任組織(現・DE&I推進室)を設置しました。性別に関わらず、誰もが活躍し続けられる環境の整備を進める中で、特に女性の職域拡大や両立支援施策の拡充に注力してきました。2010年代以降は、新卒女性従業員の育成に関するハンドブックの配布、出産・育児などのライフイベントを経て活躍することを支援する産育休前・復職セミナーの実施、女性管理職のキャリア形成支援などに継続的に取り組んでいます。

指導的立場における女性の登用とパイプライン形成に向けた取り組み

多様な人財の活躍状況を測る指標として、管理職の中でも特に指導的役割を担うポジション(ラインポスト+高度専門職)における女性比率に着目し、目標値として2027年度8%、2030年度10%を掲げています。また、この指標は執行役員の株式報酬における業績連動評価指標として設定しており、DE&Iの推進を経営の重要テーマと位置づけています。
上記を達成するとともに、女性リーダーを継続的に輩出できる仕組みとして、候補者母集団の形成に向けたさまざまな取り組みを実施しています。
例えば、管理職登用前の女性従業員を対象にしたキャリア研修では、各自の強みを活かしたリーダーシップの発揮に向けて、上司が伴走しながら実務経験の拡張と成果発揮を支援しています。
また、2013年から継続的に実施しているメンタープログラムでは、累計234名の新任女性管理職が参加し、各自のキャリア形成や課題解決に向けて主体的に考え・行動することで、自己成長への意欲を高めています。2025年度に開始した「女性リーダー育成プログラム」では、役員や先輩従業員との対話、グループ・ディスカッションなどを通じて、経営視点やマインドを養い、変革を牽引するリーダーシップの開発に取り組んでいます。

  • 工藤さん
  • 久世さん
  • 西川さん
  • 女性リーダー育成プログラムの様子
    女性リーダー育成プログラムの様子

また、ラインポストに就く女性管理職のさらなる成長意欲の喚起や視座向上に向けて、女性の社外取締役(2名)、女性の執行役員(2名)と女性管理職とのラウンドテーブルを実施しました。女性役員が自らのキャリアや経験談、女性管理職への期待を語るとともに、女性管理職同士が意見交換を行うことで経営に必要な視点を養い、参加者の挑戦意欲を高め、意識と行動変革を促す機会となっています。

  • 社外取締役と女性管理職とのラウンドテーブルの様子
    社外取締役と女性管理職とのラウンドテーブルの様子
  • 社外取締役と女性管理職とのラウンドテーブルの様子
     
  • 執行役員と女性管理職とのラウンドテーブルの様子
    執行役員と女性管理職とのラウンドテーブルの様子
  • 執行役員と女性管理職とのラウンドテーブルの様子

上記の各種施策と並行して、毎年、各領域・事業会社におけるバイネームでの女性人事計画を立て、実際の登用につながる取り組みを実施しています。
これらの取り組みにより、1994年に3名だった女性管理職は、2025年度には361名に増加しています。また女性の執行役員は3名、取締役は2名、監査役は1名となっています(2026年6月時点)。

ジェンダーバランスの実現を目指し、多様な働き方やキャリア形成を支援する施策としては、女性の管理職や高度専門職、育児休業を取得し家事・育児にも積極的に携わる男性従業員など、社内で活躍する多様な人財を紹介する「ロールパーツモデルチャンネル」をイントラネットで展開しています。「自身の周囲にロールモデルが少ない」という従業員の意見に応え、さまざまなロールモデルとなる従業員を紹介することで、女性従業員のキャリアアップへの挑戦意欲を高めるとともに、男性従業員が育児を担う環境づくりを促進し、性別にとらわれることなく仕事と家庭を両立しながら中長期的なキャリアを形成するイメージを持ってもらうことを狙いとしています。

「ロールパーツモデルチャンネル」より抜粋

マネジメント層の意識変革

一人ひとりの多様性を活かし組織力の向上につなげていくためには、性別による役割分業意識など無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)を理解し、適切に対応することが重要であるとの考えから、2023年度から2024年度にかけて役員およびすべての部長・課長を対象に、2025年度には担当課長層にも拡大してアンコンシャスバイアス研修を実施しました。マネジメント層が自身のバイアスに気づき対応策を学ぶことで、職場の心理的安全性を高め、多様な従業員の活躍を支援できるようインクルーシブ・リーダーシップの開発に取り組んでいます。

  • 女性管理職人数の推移を示したグラフです。女性管理職人数は、2021年度の252名から、2022年度278名、2023年度313名、2024年度335名、2025年度361名へと増加しています。
    女性管理職の推移
    ※各年、翌年度4月1日時点の数値
  • ラインポストおよび高度専門職における女性比率の推移と目標を示したグラフです。女性比率は継続的に上昇しており、2021年度は約3.6%、2022年度は約4.0%、2023年度は約4.3%、2024年度は約4.9%、2025年度は約5.5%となっています。また、今後の目標として、2027年度に8%、2030年度に10%を掲げています。
    ラインポスト+高度専門職における女性比率
    ※各年、翌年度4月1日時点の数値
旭化成グループ※1行動計画 当社グループにおいて、さまざまな価値観やバックグラウンドを有する多様な人財が共に活躍し事業と組織の成長に貢献できる環境を実現するための取り組みの一環として、今まで以上に女性の活躍を促進するため次のように行動計画を策定する。
計画期間 2026~2030年度
内容※2
目標1
女性が指導的役割を果たすポジションで活躍している状況を目指す:
課長以上のラインポストおよび高度専門職就任者の女性比率を2030年度末までに、10%以上とすることを目指し、計画期間中に以下の事項を実施する
① 事業領域の特性を踏まえた女性活躍推進の実行計画の策定と実行
② 女性活躍推進を含むDE&Iの取り組みの重要性に関する理解の浸透を図る
直近の状況:5.5%(2026年4月1日時点)
目標2
男女共に育児休業取得率※390%以上を維持する。
直近の状況:112%(女性)、96%(男性)(2025年度)
  • ※1旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成建材、旭化成セラピューティクス、旭化成ライフサイエンス。旭化成ホームズは個別に行動計画を策定。
  • ※2旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ホームズ、旭化成建材、旭化成セラピューティクス、旭化成ライフサイエンス。
  • ※3育児休業取得率=当年度の育休取得者数/当年度に子が生まれた数。

働き方改革への取り組み

当社グループでは、すべての従業員の能力を最大限に発揮できるよう、社会動向も踏まえ、働き方改革を進めています。
コロナ禍を契機に、2019年度に導入した在宅勤務制度を、2022年7月より恒久的な制度に移行し、併せて在宅勤務補助の導入やフレックスタイム制度の拡充など、柔軟な働き方を支援する施策を展開しています。

在宅勤務制度 利用回数制限の撤廃
新入社員など制度適用対象の拡大
在宅勤務補助の導入
コアタイムなしフレックスタイム制度 制度化および対象者に勤務間インターバルの考えの導入

ワーク・ライフ・バランスの推進

当社グループでは、ワーク・ライフ・バランスを推進するため、長時間労働の撲滅・削減に向け関連法規を遵守するとともに、さまざまな事情を抱える従業員が安心して生き生きと働けるよう各種両立支援制度を設けています。同時に、イントラネット等による制度周知や上司向けのマネジメント支援を通じて、それらの制度を誰もが利用できる職場風土の醸成も進めています。一部内容が異なりますが、両立支援制度は非正規従業員にも適用され、利用されています。

育児休業制度

当社グループ(国内)※では、子の年齢が満3歳到達後の4月1日まで育児休業を取得可能とする制度を設けています。
2025年度の育児休業の取得率は、女性111.6%、男性95.7%でした。パパ&プレパパセミナーの実施や動画配信など、取得促進の取り組みを進め、男性の平均取得日数は47.1日となっています。

  • ※旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ホームズ、旭化成建材、旭化成セラピューティクス、旭化成ライフサイエンス、および国内の主要関係会社の正規従業員を対象とする。
  • 男性および女性の育児休業取得率の推移を示したグラフです。育児休業取得率は「当年度の育休取得者数÷当年度に子が生まれた者の数」で算出しています。女性の育児休業取得率は、2020年度99.1%、2021年度99.2%、2022年度108.7%、2023年度95.1%、2024年度98.4%、2025年度111.6%と推移しています。男性の育児休業取得率は、2020年度54.3%、2021年度58.5%、2022年度77.5%、2023年度84.3%、2024年度92.8%、2025年度95.7%と上昇しています。
  • 男性の平均育児休業取得日数の推移を示したグラフです。平均取得日数は、2020年度の5.7日から、2021年度9.2日、2022年度15.8日、2023年度26.2日、2024年度40.8日、2025年度47.1日へと増加しています。
    育児休業制度の平均取得日数(男性)の推移

仕事と育児の両立のための短時間勤務制度

当社グループ(国内)※では、子の小学校就学時まで短縮勤務が可能な育児短時間勤務制度(1日最長2時間)に加えて、キッズサポート短時間勤務制度を2007年9月に導入し、子が小学校3年生を終了するまでの短時間勤務を可能にしています。フレックスタイム制度が適用されている職場では、フレックスタイムとの併用など同制度を利用しやすい環境づくりを進めています。
2025年度の育児短時間勤務制度・キッズサポート短時間勤務制度の利用者は449名で、そのうち男性の利用者は16名でした。なお、2020年4月に契約社員の育児短時間勤務制度の適用期間の拡大(小学校就学前まで)およびキッズサポート短時間勤務制度適用を開始しました。

  • ※旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ホームズ、旭化成建材、旭化成セラピューティクス、旭化成ライフサイエンス

育児短時間勤務制度およびキッズサポート短時間勤務制度の利用者数の推移を示したグラフです。育児短時間勤務制度の利用者数は、女性が2021年度322名、2022年度307名、2023年度304名、2024年度327名、2025年度284名となっています。男性は2021年度2名、2022年度1名、2023年度5名、2024年度11名、2025年度15名となっています。キッズサポート短時間勤務制度の利用者数は、女性が2021年度135名、2022年度154名、2023年度163名、2024年度157名、2025年度149名となっています。男性の利用者は2021年度0名、2022年度0名、2023年度0名、2024年度1名、2025年度1名となっています。育児短時間勤務制度・キッズサポート短時間勤務制度の利用者数の推移

仕事と介護の両立のための制度

当社グループ(国内)※では、法定を超える介護支援制度を設け、仕事と介護の両立を支援しています。介護休業は要介護者1人(1疾病)につき通算245日、介護短時間勤務は通算1,225日取得可能です。また、フレックスタイム勤務などを活用した介護支援勤務制度も整備しています。さまざまなテーマによる介護セミナーの開催やeラーニングコンテンツの提供、情報ハンドブックの作成など、多様なニーズに対応できるように制度の周知と利用促進にも取り組んでいます。

  • ※旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ホームズ、旭化成建材、旭化成セラピューティクス、旭化成ライフサイエンス

家族の介護をするときに仕事と介護の両立を支援するハンドブック

  • 妊娠期から育児期、介護期まで利用できる主な仕事と育児・介護の両立支援制度を示しています。休暇・休業制度として、妊娠期には女性を対象とした「つわり休暇」、出産前後には産前42日・産後56日の「産前産後休暇」を「プラス産前または産後に14日」を追加する形で利用できます。育児期には「育児休業」を「3歳到達後の4月1日まで」を追加する形で利用できるほか、妊娠期から育児期、介護期まで「サポート休暇(失効年休の積み立て制度、保有限度40日)」および「家族看護等休暇」を利用できます。介護期には、疾病ごとに245日まで取得可能な「介護休業」と「介護休暇」を設けています。勤務支援制度として、育児期には「育児短時間勤務制度」を利用でき、小学校3年生終了までは「キッズサポート短時間勤務制度」を利用できます。また、介護期には要介護者1人につき1,225日まで利用可能な「介護短時間勤務制度」および「介護支援勤務制度」を設けています。さらに、妊娠・出産・育児・介護の各段階を通じて、「ベビーシッター利用補助、ヘルパー利用補助」を利用できる仕組みを示しています。
    主な仕事と育児・介護の両立支援制度

事業領域を超えた人事異動

当社グループでは、幅広い技術、多様な事業、多様な市場との接点といった当社の強みを活かすべく、事業領域を超えた人事異動を積極的に行っています。この取り組みにより、従業員が異なる分野での経験を積み、視野を拡げるとともに、グループ全体の経営資源を有機的に活用することが可能となります。例えば医薬事業の海外展開においては、グループ全体の人財・ノウハウなどの経営基盤を活用することで、スピーディーな事業展開と創薬研究力の向上を実現しました。このようなグループ横断的な人財活用は、当社の無形資産である「事業や技術の多様性」を最大限に活かす取り組みであり、今後もより一層強化していく方針です。

タレントマネジメントシステム「CaMP」の導入

当社グループでは、タレントマネジメントシステム「CaMP(Career Management Place)」により人財の可視化を進めています。CaMPでは、各従業員のキャリアに関する考えや専門性、経験値などの情報を一元管理し、人財開発や人事配置などに活用することで、個々の能力を最大限に引き出す環境づくりを目指しています。本システムの導入により、従業員のキャリア志向と組織のニーズをマッチングさせることが可能となり、より柔軟かつ戦略的な人財活用が実現しています。また、CaMPは「共創力」の強化にも寄与しており、多様な人財が連携しながら新たな価値を創出するための基盤として機能しています。

グローバル人財の育成

当社グループでは、グローバルな事業展開を支える人財の育成を重要な戦略と位置づけ、グローバルな経験や挑戦、活躍を促進する施策を展開しています。
若手従業員が自ら海外経験獲得を志向して挑戦する「海外公募留学制度」、海外現地法人マネジャーへのステップとする指名制の「海外実務研修制度」、グローバル事業創出に向けた「海外指名留学制度」を運用し、コロナ禍を除き毎年15~20名程度を派遣しています。さらに、共創力強化に向け海外現地法人の人財育成施策にも取り組んでいます。ローカル従業員の海外間転勤、理念浸透施策、異文化コミュニケーション研修、マネジメント研修などを地域や各法人の状況に合わせて実施・運用、推進しています。これにより、海外拠点におけるキーポジションへのローカル人財の登用を進め、その中から優秀な人財については各事業にとどめず、グループ全体に貢献する人財に育成する施策を進めています。さらに、2022年より国境を越えたオンライン相互メンタープログラム「AK Global Connect」を日米で実施し、約60ペアが参加し高い評価を得ています。
また、海外M&Aにより当社グループの一員になった優秀な人財も積極的に登用し、執行役員レベルでグループ経営に参画しています。
現在、旭化成株式会社の外国人執行役員は7名です。

障がい者雇用の促進

当社グループでは、障がいの有無にかかわらず、すべての従業員がそれぞれの能力を発揮し気持ちよく働けるようにサポートしています。
当社グループは、障がい者雇用促進のための特例子会社「旭化成アビリティ」を1985年に設立しました。データ入力、書類の電子化(PDF化)、ウェブサイト作成などのOA業務、名刺作成、印刷・製本、サンプル発送代行、クリーニング、筆耕、花壇の管理など、当社グループからさまざまな業務を請け負っています。
2025年度の障がい者の法定雇用率は2.5%ですが、当社グループの年間を通じての雇用率は2.68%※、直近の2026年3月末時点でも2.66%(710名)となっており、2026年7月度に2.7%に引き上げられた法定雇用率に対しても対応をしています。

  • ※雇用率・雇用数は特例子会社グループ適用会社全体の各年度平均の数字です。2026年3月末日の算定基礎人員は22社合計26,704名(障害者雇用促進法に基づいて計算した人員数)

障がい者雇用者数と障がい者雇用率の推移を示したグラフです。障がい者雇用者数は、「アビリティ」と「その他」の合計で構成されています。雇用者数は、2021年度が643名(アビリティ453名、その他190名)、2022年度が657名(アビリティ471名、その他186名)、2023年度が715名(アビリティ531名、その他184名)、2024年度が720名(アビリティ545名、その他175名)、2025年度が710名(アビリティ556名、その他154名)となっています。障がい者雇用率は、2021年度2.42%、2022年度2.37%、2023年度2.55%、2024年度2.62%、2025年度2.68%と上昇しています。また、法定雇用率は2021年度から2023年度まで2.3%、2024年度および2025年度は2.5%となっています。障がい者雇用率・雇用数の推移※

旭化成アビリティの取り組み

① 営業活動の強化

  • (1)専任部署の設置と活動

    今後も法定雇用率上昇に対応し、障がい者の雇用を増やしていきますが、それだけでなく障がい者に生き生きと誇りをもって働いてもらう仕事を創出するため、専任部署として営業推進部を設置し、2023年度より本格的に活動を開始しています。旭化成グループ内外に対する当社および当社業務の認知度向上、ひいては障がい者の雇用を確保するための業務創出に努めています。

  • (2)職場見学会の実施

    各営業所(延岡、水島、大阪、富士、東京)では随時見学者を募集しており、多くの旭化成グループ内外の企業、自治体などに業務および職場の紹介を行っています。

② 継続業務

  • ヘルスキーパー(マッサージ師)の雇用

    延岡営業所では、障がい者雇用の推進および当社従業員の福利厚生の一環として、あん摩マッサージ指圧師の資格を保有する視覚障がい者(ヘルスキーパー)を引き続き雇用しています。ヘルスキーパーによるマッサージ業務は、日々の業務で疲労が蓄積しやすい従業員の心身のケアを目的として実施しており、従業員からも継続的に高い評価を得ています。本取り組みは、障がいのある方が専門性を発揮しながら活躍できる職場づくりと従業員の健康維持・増進の双方に寄与する仕組みとして、今後も安定的な運用を図っていく予定です。

③ アビリンピック(障がい者技能競技大会)
旭化成アビリティからはアビリンピック(障がい者技能競技大会)の各県大会に総勢36名の従業員が出場し入賞しています。2025年度の全国大会(愛知県開催)に県大会を勝ち抜いた8名の従業員が各都府県代表として出場し、1名がオフィスアシスタント競技金賞、1名がDTP(Desktop Publishing)競技銅賞を獲得しました。
また、第11回国際アビリンピック派遣選手選考も併せて開催され、1名が洋裁競技において、2027年5月フィンランド共和国ヘルシンキ市への派遣が決定されました。

  • 2025年度全国大会 オフィスアシスタント競技金賞受賞 中谷さん
    2025年度全国大会 オフィスアシスタント競技金賞受賞 中谷さん
  • 2025年度全国大会 DTP競技の様子
  • 2025年度全国大会 パソコン入力競技の様子
  • 2025年度全国大会 表計算競技の様子
  • 2025年度全国大会(写真左から)DTP競技、パソコン入力競技、表計算競技の様子

すべての意欲ある人財の活躍を支援する制度

当社グループでは、従業員の個々の事情に対応し、それぞれの人財が十分に能力を発揮し活躍できる環境づくりのための支援策を幅広く展開しています。

病気療養後の業務復帰支援

病気療養からの円滑な業務復帰を支援する仕組みとして、産業医の指示に従い段階的な業務再開などを行うための「リハビリ勤務制度」を設けています。さらに2023年3月には、病気の治療と仕事を両立させるための「治療のための通院時間確保支援制度」を新設し、病気の治療や不妊治療などで通院が必要な従業員を支援しています。

配偶者海外転勤時同行休職制度

社会のグローバル化の進展に伴い、配偶者が海外転勤となるケースが増加していることから、当社では2013年に「配偶者海外転勤時同行休職制度」を導入しました。この制度により、従業員が配偶者の海外赴任に同行するための休職が可能となり、2025年度には18名(うち男性3名)が利用しています。

LGBTQ+の活躍支援

LGBTQ+活躍支援として、2021年1月より、同性パートナー関係を社内制度上は婚姻関係と同等に扱う運用を行っています。また、本社ビルには性別や性自認を問わず誰でも利用できるジェンダーレストイレが設置されています。性の多様性に関する理解促進を目的としたeラーニングや外部有識者による講演会を実施し、LGBTQ+に関する従業員の理解促進や働きやすい環境整備に取り組んでいきます。

外部機関による活動の評価・顕彰

次世代育成支援企業(子育てサポート企業)認定「プラチナくるみん」

旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成セラピューティクス、旭化成ライフサイエンスの4社は、次世代育成支援に積極的な企業のうち特に取り組みが優秀な企業として、2016年に厚生労働省より「プラチナくるみん」認定を取得しました。また、旭化成ホームズ、旭化成建材は、「くるみん」を取得しています。

プラチナくるみん 子育てサポートしています

子育てサポートしています

女性活躍推進法に基づく優良企業認定「えるぼし」

旭化成は、女性活躍推進法に基づく行動計画の策定と届出を行った企業のうち、女性の活躍推進に関する取り組みが優良な企業と認定され、2024年に厚生労働省より「えるぼし(2つ星)」認定を取得しています。

女性活躍推進法に基づく優良企業認定「えるぼし」

「PRIDE指標2025」の「シルバー」を受賞

旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ホームズ、旭化成建材、旭化成セラピューティクス、旭化成ライフサイエンスの6社は、職場におけるLGBTQ+などのセクシュアル・マイノリティに関する取り組みの評価指標「PRIDE指標2025」において、「シルバー」を受賞しました。

「PRIDE指標2025」の「シルバー」を受賞

「D&I AWARD 2025」において最高水準の評価「ベストワークプレイス」に2年連続認定

旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ホームズ、旭化成建材、旭化成セラピューティクス、旭化成ライフサイエンス、旭化成アビリティの7社は、株式会社Job Rainbowが実施する表彰制度「D&I AWARD 2025」において、最高位の評価である「ベストワークプレイス」に2年連続認定されました。

「ベストワークプレイス」に認定

方針

旭化成グループは、当社グループで働くすべての人財は多様性と変革力による新たな価値を創造する源であると考えています。

当社グループは、国連グローバル・コンパクトの署名企業として、グローバル・コンパクトの労働に関する原則を支持し、尊重します。また、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」「子どもの権利とビジネスの原則」にも賛同し、これらの枠組みをもとに、事業における労働課題の把握と適切な対処に取り組んでいきます。
国連グローバル・コンパクトでは、以下の労働原則が規定されています。

  • 結社の自由と団体交渉の実効的な承認
  • あらゆる形態の強制労働の撤廃
  • 児童労働の実効的な廃止
  • 雇用と職業における差別の撤廃

さらに、「旭化成グループ行動規範」では、当社グループはもとより調達先においても、児童労働や強制労働など非人道的な行為を容認せず、雇用形態を含むあらゆる理由に基づく差別を禁止し、人権および多様性を尊重し、誠実で責任感ある業務遂行を実践していくことを明記しています。

上記の考え方に基づき、以下の労働問題について、国内外の労働関連法令の遵守はもちろんのこと、従業員が能力を十分に発揮でき、安全で安心して働ける職場環境づくりに努めます。

  • 児童労働および強制労働の防止
  • 過度の労働時間の削減
  • 労使の協議に基づく労働条件の策定

     旭化成株式会社の新卒採用者の初任給は、地域別最低賃金の全国加重平均額を十分に上回る水準で設定しています。
     地域で定められた最低賃金の遵守および適正な生活賃金の支払いを通じて従業員の生活水準を一定以上に保ちます。
     また、現地の法令で定められた最低賃金を遵守し、同一労働・同一賃金の考え方に基づき、同じ職位であれば性別などによる差を設けない報酬体系を適用しています。

  • 結社の自由および団体交渉権の保障

     雇用する従業員については、結社の自由および団体交渉権を保障しています。

当社グループの労働条件は、労使の協議および合意に基づき、策定し、運用します。

マネジメント体制

当社グループの人事・労務管理に関する取り組みは、旭化成の総務部および人事部が所管しています。グループ各社はそれぞれにおいて人事制度を運営し、人財開発に取り組んでいますが、法令違反や不適切な状況が発生していないか、定期的な監査によりグループ全体の状況を確認し、取締役会にて適宜報告しています。

労働基準遵守への取り組み

労働基準に関する労使の協議

法令遵守をグループ全体で徹底するため、労働関連法の改正やトピックスについてグループ各社へも情報共有を行うなど、法令遵守の徹底に取り組んでいます。
また、当社グループでは2017年度より働き方改革に関して労働組合と会社で検討を行う専門委員会を設け、在宅勤務制度などの施策を具体的に実施しています。
さらに、労働時間を短縮すべく、年次有給休暇の取得促進のほか、過重労働を組織単位で防止する目的で労働時間が相対的に長い職場のモニタリングなどに取り組んでいます。
2025年度の労働基準法違反に伴う行政処分件数は0件でした。
労働時間管理に対する理解が十分ではないとの課題認識のもと、全社レベルで労働時間管理についての意識を強化しています。上司および本人に対して必要な指導を行うとともに、2022年度より勤怠管理者全員を対象として勤怠管理eラーニングを実施するなど、理解促進に取り組んでいます。

労使のコミュニケーション

当社グループは、従業員の結社の自由と団体交渉の権利を支持し、健全な労使関係の維持・強化を重視しています。
旭化成労働組合との間では、グループ全体の経営についての協議会や事業部門、事業所ごとの経営協議会を定期的に開催しています。また、当社グループの各労働組合の連合体である旭化成グループ労働組合連合会とも定期的に経営懇談会を開催するなど、議論の場を持ち、労使の円滑なコミュニケーションを促進する取り組みを行っています。
なお、旭化成労働組合とはユニオンショップ協定(管理監督者を除くすべての従業員が組合に加入する協定)を締結しており、組合員数は9,072名(2026年3月1日時点)となっています。

地域雇用の創出

当社グループ事業の進出地域において、地域からの雇用や調達を通じて地域に貢献していきます。