方針

すべての人びとの人権の尊重は、旭化成グループの事業活動において最も重要なことの一つです。2022年3月に取締役会の承認のもと制定した「旭化成グループ人権方針」は、「国際人権章典」およびILO(国際労働機関)の「労働における基本的原則および権利に関する宣言」に準拠しています。加えて、国連グローバル・コンパクトの10原則と国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」「子どもの権利とビジネスの原則」に賛同し、これらの枠組みをもとに、事業における人権課題の把握と適切な対処に取り組みます。

旭化成グループ人権方針

人権尊重は、旭化成グループの全ての活動の前提を成すものです。その基本的な考え方と取り組みについて示した本方針を旭化成グループは遵守し、経営理念「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献する」を追求します。
旭化成グループの世界の人びとへの想いは時代や社会が変わっても不変です。多様な人びとが互いの個性と人権を尊重し、誰もが生き生きとして暮らせることは何よりも大切と、旭化成グループは考えます。

旭化成グループは本方針をグループ各社の全ての役員・従業員に適用するとともに、サプライヤーを含む全てのビジネスパートナーの皆さまが本方針を理解し、支持することを期待します。

基本的な考え方

旭化成グループは、自らの活動および事業のバリューチェーン全体におけるステークホルダーのすべての皆様の人権を尊重します。

旭化成グループは「国際人権章典」およびILO (国際労働機関)の「労働における基本的原則および権利に関する宣言」に定められている人権を尊重し、加えて、国連グローバル・コンパクトの10原則と国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を支持します。旭化成グループはこれらの規範等に則った取り組みを実施していきます。

旭化成グループは、活動を行う全ての国・地域において、関連する法令を理解し、遵守します。万一、当該国・地域の法規制が国際的な規範等と異なる場合は、当該国・地域の法令を遵守しながら、国際的な人権規範等を尊重するための方法を追求します。

旭化成グループは、事業のバリューチェーンにおいて人権侵害が認められる場合には、ビジネスパートナーの皆様と協働でその低減・解消に努めます。

人権尊重の実践

旭化成グループは以下を実践します。

  • 労働時間と賃金に関する法令を遵守します。
  • 安全・衛生に関する法令を遵守します。また、事故や災害の発生を予防し、安全で衛生的な職場環境をつくり、従業員の心身の健康が保たれるよう努めます。
  • 人身取引、強制労働、奴隷労働、児童労働を一切認めません。
  • 人種・民族・出生・国籍・宗教・性別・性的指向・障害・思想などを理由とした差別とハラスメント行為を含む、あらゆる非人道的な扱いを認めません。
  • 個人情報の保護に関する法令を遵守し、必要な管理を適切に行います。
  • 製品の品質と安全性の確保を通じ、ステークホルダーの皆様の安全と健康を守ります。
  • 地域の文化を理解し、安全や健康を含む地域社会の皆様の人権を尊重します。

人権尊重の推進

関係者に対する人権についてのトレーニング
旭化成グループは、すべての役員・従業員に対して、本方針の実践に必要な教育を実施していきます。
人権デュー・ディリジェンス
旭化成グループは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて、人権デュー・ディリジェンスを実施します。具体的には、人権侵害リスクを評価し、特定した人権侵害リスクを防止・軽減する取り組みを行います。人権侵害を旭化成グループが引き起こし、または助長したことが明らかになった場合には、適切な手段による是正、救済に取り組みます。
ステークホルダーとの対話・協議
旭化成グループは、活動において人権への影響を受ける、あるいは受ける可能性があるステークホルダーの視点から人権課題に対応することの重要性を認識し、人権課題の理解や改善・解決のため、関係するステークホルダーの皆様と適時に対話・協議を行います。
通報・相談窓口
旭化成グループは、自社ならびにお取引先の従業員が人権に関する懸念事項について通報できるシステムを設け、その実効性向上に努めます。通報においては、秘密保持と個人情報保護を行う一方、通報を理由とする通報者の不利益な取り扱いは行いません。
情報公開
旭化成グループは、人権尊重に関する取り組みの結果を確認し、ウェブサイト、統合報告書などを通じて定期的に開示します。

(2022年3月8日 旭化成株式会社 取締役会決定)

人権に関するイニシアティブへの参加(国連グローバル・コンパクト署名)

当社は、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンが提供・運営する人権尊重に関わる分科会活動にも積極的に参加しています。2024年度、2025年度を通じ、サプライチェーン分科会内の「人権デュー・ディリジェンスの実践のためのマニュアル」作成のワーキング・グループに参加し、内容のブラッシュアップを検討しました。また、「HRDD分科会」、「人権教育分科会」での有識者の講演会やワークショップにも参加し、人権尊重に関する最新動向や参加企業の事例を当社での取り組みに活用しています。

マネジメント体制

人権尊重について議論・方向づけする場として、また、「旭化成グループ人権方針」の実現のための推進体制として、2022年に人権専門委員会を新設しました。人権専門委員会はサステナビリティ推進委員会の小委員会として位置づけています。委員長を社長とし、事業の責任者、スタッフ系・技術系の責任者など、幅広いメンバーで構成しており、年1回開催しています。人権専門委員会で討議した内容は、取締役会にも報告しています。
2025年度は、人権を巡る動向や、当社グループの取り組み状況、方向性について共有と議論を行いました。議論では、関係部署での連携の重要性や各組織での振り返りの必要性などが議論されました。議論を踏まえ、「すべての役職員・グループ従業員が、人権に関する社会的な要請を正しく理解し、各々が自らを振り返って考えることが大切。コミュニケーションを基本として、お互いを理解しリスペクトして仕事を進めていくことが重要である」と総括しました。また、人権課題の対応でわからない点などは事務局へ相談し、的確に対応していくことが改めて共有されました。これらの内容は取締役会に報告されました。

  • 人権に関するマネジメント体制を示しています。取締役会の監督・助言の下、社長を中心とする経営会議と連携してサステナビリティ推進委員会を設置し、その分科会として人権専門委員会および地球環境対策推進委員会を配置しています。また、リスク・コンプライアンス委員会、環境安全・品質保証委員会、DE&I委員会と連携しながら人権に関する取り組みを推進する体制を示しています。人権専門委員会は、人権尊重に関する情報共有、人権尊重に関する取り組み方針の決定、人権尊重に関する取り組み事項の決定を役割としています。委員長は社長が務め、委員には領域長、各事業部門責任者、スタッフ系組織担当役員、技術系組織担当役員が参画しています。さらに、サステナビリティ推進委員会はスタッフ部門および事業領域とも連携しながら活動を推進する体制となっています。
    人権に関するマネジメント体制(2026年8月1日現在)

人権デュー・ディリジェンス

当社グループは、人権尊重の責任を果たす上で、人権デュー・ディリジェンスが重要であることを認識しています。当社グループが社会に与えうる負の影響を予防的に把握し、回避、緩和するため、順次、取り組みを深めていきます。
2024年度に、外部の専門家の知見を踏まえ自社内で検討し、人権デュー・ディリジェンスのすべてのプロセスを実務に落とし込むため、全体像を見直しました。

  • 旭化成グループの人権デュー・ディリジェンスの実施プロセスの全体像を示しています。STEP1では、「旭化成グループ人権方針」に基づき、共通指針や手順の整備、教育・啓発、注意喚起などを実施します。STEP2では、潜在する人権侵害リスクの特定・分析・評価を行います。対象は、マテリアル領域、住宅領域、ヘルスケア領域における自社の取り組みと、お取引先との取り組みです。STEP3では、人権侵害リスクによる負の影響への対応として、負の影響の防止と軽減に向けた適切な措置を実施するとともに、目標や予防計画を設定します。STEP4では、目標や予防計画の結果確認、監査の実施、是正計画およびマネジメントレビューを通じて、取り組みの実効性を評価します。STEP5では、取り組みの進捗をステークホルダーと継続的に共有し、ウェブサイトや統合報告書への掲載を通じて説明・情報開示を行います。これらのプロセスは、人権デュー・ディリジェンスを中心に循環的に運用されるとともに、ステークホルダーとの対話および救済・苦情処理メカニズムと連携しながら推進されることを示しています。
    人権デュー・ディリジェンスの全体像

2023年度の取り組み:事業部責任者に対する人権侵害リスクに関するアンケート調査

2024年度の取り組み:

2024年度より、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGP)の原文にあらためて立ち返り、当社グループの3領域(マテリアル、住宅、ヘルスケア)を対象として運用に関する手順や文書の見直しを行っています。
また、グループ全体として抽出したリスク課題をもとに、各事業で行っている取り組みとグループとして網羅的に取り組んでいる既存の施策に加え、グループのバリューチェーン上での各ステップにおけるビジネスと人権に関する追加的な取り組みについて、今後必要な施策も含め整理しました。

2024年度旭化成グループの人権デュー・ディリジェンスの取り組み


2025年度の取り組み

(1)個別相談への対応
2025年度には事業部関係者から事務局へ、バリューチェーン上の人権に関する個別相談が6件あり、それぞれの実態を踏まえて必要な是正措置や予防策の実行などの対応を行いました。リスクが低い案件についても、継続してモニタリングを行うなどの措置をとっています。
(2)旭化成グループのバリューチェーン上の潜在人権リスクの再整理
2025年度においては、2024年に抽出したバリューチェーン上の潜在人権リスクについて、ステークホルダーとの対話を通じた予防・是正に実効的につなげることを目的に、関連するライツホルダーごとに改めて整理しました。なお、ライツホルダーとは、当社グループの事業活動およびバリューチェーンにおいて、人権への負の影響を受ける、または受ける可能性のある個人・集団を指します。
(3)当社グループ横断で運用する人権デュー・ディリジェンスの手順と文書の整備
2024年度以降、当社グループの3領域(マテリアル、住宅、ヘルスケア)を対象として運用に関する一連の手順や文書の見直しと整備を行っています。また、2024年に実施した人権デュー・ディリジェンスのプロセスにおけるSTEP2(潜在する人権侵害リスクの特定、分析、評価)を中心とした取り組みをさらに深め、2025年から2026年にかけて、当社グループの3領域における各部門(製造現場、施工現場、事務所、子会社、海外拠点など)で共通して継続的に使用できる人権リスク評価ツール文書を活用し、定量的な人権リスク評価と重要リスクの特定に取り組んでいます。
2025~2026年度には、旭化成ホームズで人権リスク評価を実施し、その結果を公表しています。
当社グループの各領域を対象とした人権リスク評価と重要リスク特定のプロセス
  • 事前準備:
    個別リスク評価の対象となる事業を事業内容、製造・施工拠点、活動地域と範囲で整理。事業部門にヒアリングの上、実施。従業員数、売上金額、調達金額を考慮。
  • Task1:
    対象事業担当者と本社事務局で、予備的な人権リスクスコーピングを実施。
    (「人権リスクスコーピング表」を使用)
  • Task2:
    対象事業部門の複数の関連部署が加わった形で人権リスク評価を実施。
    (「人権リスク評価表」を使用)
  • Task3:
    対象事業部門事務局と本社事務局で、個別事業にとっての重要な人権リスクとライツホルダー、該当事例を特定。
    (「人権リスクマッピングシート」を使用)
  • Task4:
    結果をウェブサイトで公開。
プロセス整備にあたっての主な参照先
  • 国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」をはじめ、経済産業省「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」等の国際的な規範・ガイドライン
  • 人権専門家による助言、国際機関、NGO/NPO等が公開する国別人権リスクデータ、 報告書、外部専門機関による調査・分析資料

旭化成グループのバリューチェーンにおける人権課題の取り組み状況

上記の人権尊重の取り組みの方向性を踏まえ、各領域・各事業で行っている取り組みと、グループ全体で網羅的に進めている既存の施策を整理しました。併せて、グループのバリューチェーン上での各ステップにおけるビジネスと人権に関する追加的な取り組みについても、今後必要となる施策も含め整理しています。

  • 旭化成グループのバリューチェーンを示しています。上流から下流に向けて、「資源の産地・生産収穫」「原料」「製造・加工」「[自社]製造・施工」「[自社]製品・サービス」「顧客企業」「お客様」「使用・廃棄・リサイクル」の順で事業活動がつながっています。「資源の産地・生産収穫」から「製造・加工」までは、サプライヤーや調達先との関わりを示しており、「[自社]製造・施工」「[自社]製品・サービス」の工程では外注の直接委託先との関係も示しています。また、バリューチェーン全体を通じて、地域住民・コミュニティとの関わりがあることを表しています。
    旭化成グループのバリューチェーン
旭化成グループのバリューチェーン サプライヤー・調達先 [自社]
製造
施工
外注
(直接委託先)
[自社]
製品・サービス
顧客企業・
お客様
地域住民・コミュニティ 使用・廃棄・リサイクル
資源の産地・採掘/生産/収穫 原料 製造・加工
関連部門 ・調達 ・人事、法務
・経営企画、コンプライアンス
・製造
・環境安全
・品質保証
・調達
(外注加工)
・販売、マーケティング
・物流・品質保証
・販売、マーケティング
・品質保証
具体的な事業活動 ・製造原料の調達(マテリアル領域、ライフサイエンス領域)
・建築資材の調達(住宅領域)
・製造、組立
・施工
・加工、組立、仕上   ・お客様による自社製品の使用 ・お客様による自社製品の使用 ・自社製品の廃棄、リサイクルに関する情報提供
関連する人権テーマ ・労働状況
・労働条件
・労働安全衛生
・労働状況
・労働条件
・労働安全衛生
・差別・ハラスメント
・品質・製品安全
・環境保全
・労働状況
・労働条件
・製品安全
・広告宣伝
・製品の注意書き
・個人情報の管理
・お客様の安全と安心
・住民配慮
・環境保全
・環境保全
自社事業により、人権の負の影響を与えうるライツホルダー ◇サプライヤー、協力企業の従業員
◆自社の従業員
□お客様
〇地域住民とコミュニティ
グループにとっての重要な潜在リスクと関係するライツホルダー
(2025年度見直し)
◇サプライヤーの従業員
・児童労働・強制労働・過重労働
・責任ある鉱物の使用
・2次・3次原料調達先での人権リスクの把握が十分でないことに起因する負の影響の懸念
・低賃金、生活賃金不払い
・危険・劣悪な環境

〇地域住民とコミュニティ
・児童労働・強制労働
・植物由来原料における森林環境破壊
◆自社の従業員
◇協力企業の従業員

・自社工場内、施工現場での労働安全衛生
・適正な労働時間の管理(工場、施工現場など)
・差別・ハラスメント
・多様性尊重への特段の配慮(職場設備など)
・外国人労働者の労働条件
◇協力企業の従業員

・製造/販売委託先従業員の労働安全衛生および労働条件(労働時間、不当な懲戒や解雇)
・差別・ハラスメント
・無理な納期、解約条件
◆自社の従業員
・適正な労働時間の管理(事務所)
・差別・ハラスメント(事務所)

□お客様
・健康被害
・不適切表現

〇地域住民とコミュニティ
・人権リスクを抱えた国、地域での事業活動
・広告での不適切表現
□お客様
・個人情報の管理
・お客様の安全と安心

〇地域住民とコミュニティ
・目的外使用(軍事・虐待)
〇地域住民とコミュニティ
・健康被害
・強制立ち退き
・資源枯渇による周辺住民の生活・社会インフラの維持への影響
〇地域住民とコミュニティ
・環境汚染・破壊
・リユースに関する情報不足による誤った廃棄
取り組み
(2025~2026年度)
・認証済の原料の優先調達(FSC、RSPO等) ・サプライヤーの新規契約時の確認(仕様書など) ・全社としての網羅的な取り組み
(グループとしての人権デュー・ディリジェンスの手順と文書の整備)
・SDSの提供 ・サプライチェーン調査対応 ・説明会、懇談会の実施 ・製品取扱説明書(使用、廃棄、リサイクル方法)
・「サプライヤー行動規範への同意書」の署名取得に向けた重要品目と対象サプライヤーの特定 ・サプライヤー行動規範の浸透、説明会の実施 ・3領域での個別の取り組み
住宅領域:
主要事業を対象に個別人権リスク評価を実施、(2025-2026年)
マテリアル領域:
主要事業を対象に個別人権リスク評価を実施中(2026年) 
・製品取扱説明書(安全・注意事項、不良品対応) (顧客企業からの依頼へ事業単位で対応)
・個別のサプライチェーン調査(紛争鉱物等)の拡大 ・サプライヤーのCSRリスク評価の実効性の強化(CSR調達アンケートの対象先拡大等)
・特定したリスクに関わるサプライヤーとの対話
・環境・人権に関する情報発信ガイドの浸透 ・EcoVadisサプライチェーン評価受審(事業単位)
・CSR調達アンケートを通じたサプライヤー改善活動 ・専門データベースを利用したリスクスクリーニング  
・専門データベースを利用したリスクスクリーニング ・法令、規範の遵守状況の監視と監査
(社内監査への人権尊重の組み込み)
・教育・啓発
   
・ステークホルダーエンゲージメント:CSRアンケートによるモニタリングの過程でのお取引先に対する改善活動など
リスク評価によって特定された人権課題に関わるライツホルダーとの対話の実施、予防と軽減、是正措置
・法令の遵守:国際規範の尊重の観点
・内部通報/お取引先通報の仕組み設置・通報者の保護:受付窓口の拡大、是正手順の文書化、報告と見直し

サプライチェーンにおける⼈権配慮

当社グループは、事業が多岐にわたっており、各事業のさまざまなバリューチェーンおよびサプライチェーンについて、⼈権尊重の観点から取り組むべき重要なリスクを把握した上で、「旭化成グループ⼈権⽅針」で取り決めた⼈権尊重の実践を推進しています。

調達における人権配慮

当社グループでは、購買・物流統括部とサステナビリティ推進部、ヘルスケア、住宅、マテリアルの3領域の部門と連携し、⼈権尊重をはじめとするCSR意識の醸成に取り組んでいます。2025年度は、CSR調達アンケート実施時に、対象となった国内お取引先519社を対象としたオンライン説明会を開催し、その中で購買方針、サプライヤー行動規範に関する説明も行いました。特に人権の観点から新たな実施対象先の追加を行い、取り組みの実効性の向上を進めています。また、お取引先に対し、「旭化成グループ サプライヤー行動規範」への同意書の署名・提出を依頼しています。
「旭化成グループ サプライヤー行動規範」を、「旭化成グループ人権方針」と共に人権デュー・ディリジェンスの重要な指針と位置づけ、お取引先との対話や、サプライチェーンを通じた人権に関するリスクの把握、予防や改善の措置、結果を見直す仕組みを構築していきます。

物流における人権配慮

旭化成グループは、主に荷主の⽴場から、持続可能な物流への貢献に取り組んでいます。2023年度より、CSR調達の活動を物流分野にも広げ、物流お取引先に対するCSR調達アンケート実施によるモニタリング、サプライヤー行動規範の浸透に取り組んでいます。

EcoVadis社(本社:フランス)によるサプライチェーン評価の受審

国際的なサステナビリティ評価機関であるEcoVadis社(本社:フランス)は独⾃のプラットフォームを活⽤して企業のサプライチェーンを調査・評価しています。当社グループは、海外拠点を含めた複数の事業・製造拠点についてEcoVadis社のプラットフォームに登録し、継続してサプライチェーン評価を受審し、労働と⼈権、環境、倫理、調達などの多岐にわたる分野での取り組みの実効性の向上に役⽴てています。
2025年度には、特に「労働と人権」、「倫理」「調達」テーマに関わる定量的なマネジメント文書の整備状況を確認し、改善が必要な点や今後の課題を整理しています。これらの取り組みを、グループにおける人権デュー・ディリジェンスのプロセス構築の推進の一つと位置づけています。

ステークホルダーとの対話

ステークホルダーエンゲージメントプログラムへの参加

2024年度、経済人コー円卓会議(CRT)日本委員会のステークホルダー・エンゲージメントプログラムに参加しました。プログラムではNPO/NGOや有識者からの問題提起を受け、業界別での重要な人権課題の特定作業を行っています。
当社では本プログラムへの参加を通じ、国内外の深刻な人権リスクに関わるNPO/NGOの活動、有識者の見解や参加企業との意見交換から学び、社内での人権尊重の浸透や、ライツホルダーを意識した実効性のある対話に向けた準備に活かしています。

救済・苦情処理メカニズム(通報・相談窓口)

当社グループのコンプライアンスホットラインでは、人権を含むあらゆるテーマに関する通報・相談を受け付けています。グループ従業員のみならず、お取引先とその従業員の方も対象としています。また、一般のお客様を含む地域住民などのステークホルダーやお取引先以外を対象としたお問い合わせフォームをウェブサイトに設置しており、すべてのステークホルダーが通報できる体制を構築しています。
当社グループでは、人権デュー・ディリジェンスの一連のプロセスの整備を進めるとともに、ライツホルダーからの苦情・通報の受付に基づき実際の負の影響に適切に対処する仕組みの整備にさらに取り組んでいきます。

2025年度の人権に関する内部通報件数

2025年度は、内部通報制度を利用して102件の通報・相談が寄せられましたが、このうち5件が、差別やハラスメントなどの人権問題に関連する通報・相談でした。
通報を受けた事案については、通報者に対し、通報を理由とした不利益な取り扱いが行われないよう措置を講じた上で、社外専門家も含めた専門部署において調査を行い、対応しています。また、差別やハラスメントなどの人権問題を未然に防止するため、受け付けた相談内容を分析し、改善につなげています。

人権に関する教育・啓発

当社グループでは「旭化成グループ人権方針」について経営層および現場での理解を深化させ実践していくため、人権尊重に関するさまざまな教育・啓発を行っています。今後も継続的に人権に関する啓発活動を実施し、企業が社会的に責任を負うべき人権上の問題に対する従業員の理解を深めていくための取り組みを強化していきます。

実施した研修、浸透活動の内容 参加人数
2025年度 ビジネスと人権に関するeラーニング(受講対象者のうち、受講者数の割合:93.12%) 30,632名
従業員向けコンプライアンスアンケート内での人権に関する意識調査 27,919名
従業員向けコンプライアンス活動における人権事例の職場単位でのディスカッション 948名
新任職責者向け 人事研修(ビジネスと人権) 265名
新任管理職向け 人事研修(ビジネスと人権) 328名
マテリアル領域従業員向け「ビジネスと人権の取り組みとバリューチェーン管理」セミナーを実施 185名
2024年度 従業員向けコンプライアンス活動における人権事例の職場単位でのディスカッション 3,766名
新任職責者向け 人事研修(ビジネスと人権) 333名
新任管理職向け 人事研修(ビジネスと人権) 286名
2023年度 労働組合東京支部との対話 21名
従業員向けコンプライアンス活動における人権事例の職場単位でのディスカッション 3,995名
従業員向けコンプライアンスアンケート内での人権に関する意識調査 28,936名
旭化成アミダス(株)での有識者による人権セミナーおよびワークショップ 268名
新任職責者向け 人事研修(ビジネスと人権) 317名
新任課長職向け 人事研修(ビジネスと人権) 314名
2022年度 社外有識者による人権セミナー 124名
人権に関するeラーニング 25,230名
人権課題への取り組み推進について(全社購買会議) 159名

ハラスメント防止と研修の実施

当社グループでは、「旭化成グループ行動規範」において、あらゆる差別およびハラスメントを容認しない方針を明示しています。その実現に向け、就業規則において、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産および育児休業・介護休業などの利用に関するハラスメント、パワーハラスメントを禁止しています。また、国内グループ会社では、新入社員、新任係長クラス、新任課長クラス(経営職)向けの階層別研修、領域ごとの研修、各事業会社・地区で実施する企業倫理研修、全従業員向けのハラスメント防止に関するeラーニング、フリーランスなどの社外関係者へのハラスメント防止に関する社内周知などを通じて、職場や社外関係者への差別やハラスメントのない環境づくりに努めています。

実施した研修、浸透活動の内容 (ハラスメント・差別の防止) 参加人数
2025年度 経営職を対象としたアンコンシャスバイアスについて学ぶ研修 1,638名
新入社員を対象とした多様性に対する理解促進のための講義(eラーニング形式) 203名
新任係長クラス、新任課長クラス対象 多様性およびハラスメント防止に関する講義(eラーニング形式) 593名
2024年度 事業部長、部長、課長層全員を対象としたアンコンシャスバイアスについて学ぶ研修 2,808名
新入社員を対象とした多様性に対する理解促進のための講義(eラーニング形式) 426名
新任係長クラス、新任課長クラス対象 多様性およびハラスメント防止に関する講義(eラーニング形式) 637名
従業員向け ハラスメント防止に関するeラーニング 16,716名
従業員向け 性の多様性に関する理解促進に向けたeラーニング 4,978名