労働安全衛生および健康経営
方針
旭化成グループでは「あらゆる事業活動において、健康、保安防災、労働安全衛生、品質保証および環境保全を、経営の最重要課題と認識し、開発から廃棄に至る製品ライフサイクルすべてにわたり配慮する」との会社方針のもと、労働安全衛生を推進しています。当社グループで働くすべての従業員が安全かつ健康的に働くことができるように、各支社、製造所、工場に設置された労使経営協議会や安全衛生委員会を通じて労使が協働し、全社的な安全衛生環境の整備に努めています。各製造拠点においては協力会社と事故・災害防止を目的に「安全協議会」を開催し、すべてのステークホルダーの安全で健康な職場の形成を推進しています。また、経営層が1年に1回環境安全監査として、あらかじめ定めた重点監査項目を中心とした監査を実施します。各製造拠点、事業会社に赴き、監査を実施するとともに各拠点との対話を行い、活動の実効性を確認します。
従業員による安全衛生改善への関与
当社グループでは、労働安全衛生に関する議論を労使が協働して行っています。労使経営協議会として、労働組合が従業員代表として、経営層との間で健康と安全に関する議論を行っています。職場単位から全社単位までの各層で経営協議会を開催し、それぞれの課題や解決策につながる取り組みを行います。また、各拠点における責任者(製造所長、工場長など)、労働組合などで構成される安全衛生委員会において、毎月報告と議論を行っています。
協力会社の安全衛生活動
当社では、協力会社と一体となった安全管理を重視し、製造所で働くすべての人の安全確保に取り組んでいます。
協力会社に対しては、当社従業員と同様に製造所の安全ルールの遵守を求めており、構内で適用される各種規程・基準について周知徹底を図っています。そのため、入構時教育や各種安全教育を実施するとともに、体験型教育施設なども活用し、危険に対する理解と安全意識の向上を図っています。
また、日々の作業においては、元請・監督者と協力会社との対話を通じた相互確認を重視し、作業内容や危険ポイントに関する認識の一致を図ることで、災害の未然防止に努めています。
さらに、パトロールや監査を通じて安全ルールの遵守状況や現場の課題を確認し、必要に応じて改善指導を行っています。加えて、協力会社を含めた安全協議会を開催し、安全方針や重点事項の共有、活動状況の確認、意見交換を行うことで、継続的な安全レベルの向上を図っています。
このように、当社は安全ルールの共有、教育、現場での対話、パトロールおよび協議の仕組みを通じて、協力会社とともに安全管理を推進し、誰もが安心して働ける職場づくりを進めています。
体制
労働安全管理体制は下図の通りです。環境安全・品質保証委員会の構成は、「旭化成グループの環境安全・品質保証活動>マネジメント体制」を参照ください。
労働安全管理体制
労働災害防止活動
旭化成ライフセービング・アクション(LSA)
当社グループでは2020年度より、重篤労働災害の撲滅を図るため、「旭化成ライフセービング・アクション(LSA)」を定めて、グループ全体で展開を開始しました。守らないと命を失う恐れがある下記の4つの行動を「禁止行動」として制定し、事業活動のあらゆる局面で徹底して守ることを推進しています。
LSAの4つの禁止行動
労働安全衛生マネジメントシステム
当社ではISO 45001に準拠した形の労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)ガイドラインを制定し、各事業場において安全衛生活動を推進しています。ISO 45001を取得した事業場は2026年5月現在で下記の通りです。
- 旭化成メタルズ株式会社
- 旭化成株式会社 川崎製造所 交換膜製造部
- 旭シュエーベル台湾
- Thai Asahi Kasei Spandex Co., Ltd.
労働災害防止に関する重点課題の取り組み
当社では、LSA活動と労働安全衛生マネジメントを労働安全活動の柱とするほか、重篤労災を防止する観点で、「1. 機械挟まれ・巻き込まれ防止」「2. 化学物質管理」「3. 熱中症防止」を重点課題として取り組んでいます。
1. 機械挟まれ・巻き込まれ防止
LSAの一つである“可動部への近接作業禁止”についての対策を仕組み化するため、機械安全の取り組みに注力しています。
機械安全対策に関する全社基準を策定するとともに、具体的な機械リスクアセスメントの方法を示した全社基準を定めており、これを各事業所にて実践しています。
機械安全の推進にあたって、マネジメント層、機械設計者、安全担当者、製造に携わる機械使用者などへ向けて、各階層の研修プログラムを作成し、教育を実施しています。
また、機械安全の理解度、力量を客観的に把握すること、機械安全の考え方の裾野を広げることを目的に、日本認証株式会社が認定するセーフティアセッサ(SA)、セーフティサブアセッサ(SSA)の資格取得を奨励しています。2024年度までの累計合格者は、SAが50名以上、SSAが950名以上となっています。
2. 化学物質管理
当社は、総合化学メーカーとして、化学物質を取り扱うすべての業務において労働安全の確保を優先課題と位置づけています。労働安全衛生法や化学物質管理に関する国内外の法規制を遵守しつつ、各製造拠点での化学物質リスクアセスメントを実施しています。SDS(安全データシート)に基づく情報の社内展開、適切な保護具の着用指導、局所排気装置の整備、作業マニュアルの整備・更新を通じ、曝露リスクの低減を図っています。
特に2022年5月の労働安全衛生法令改正に伴い、化学物質に対しては事業者による自律的管理が求められるなど大きな変化がありましたので、当社グループでも適切な対応を進めています。リスクアセスメント対象物製造事業場において選任が必要となった化学物質管理者を育成するための社内講習を開催し、グループ内で2023年度は329名、2024年度は76名の化学物質管理者を育成しました。今後も、化学物質管理体制の高度化と職場環境のさらなる安全性向上に継続的に取り組んでいきます。
3. 熱中症防止
昨今の気温上昇に伴い、当社においても熱中症による労災が増加傾向にあります。熱中症が重篤化する事例もあるため、重点課題として対策に取り組んでいます。
各事業所における現場管理者を熱中症対策のキーマンと位置づけ、熱中症予防管理者教育などを実施し、各現場においてWBGT(暑さ指数)の測定、作業管理、適切な休憩や水分・塩分摂取を実施するようにしています。個々の体調に関しても配慮し、熱中症予防に努めています。
また、ウェアラブルデバイスや空調服を支給し、作業環境管理、作業管理、健康管理に加えて、熱中症防止に有効なツールも積極的に取り入れています。
労働安全衛生に関する教育
当社グループでは、安全に関する基礎知識を一人ひとりが習得し活用できるよう、労働安全衛生に関する内容を含む環境安全教育を行っており、現場監督者、環境安全スタッフ、新任者などを対象として、体系的な教育を行っています。
| 研修名 | 概要 | 2025年度受講者数(名) | |
|---|---|---|---|
| 階層別 | 新入社員・入社半年後安全研修 | オンラインによる危険予知トレーニング研修およびグループ討議 | 247 |
| 係長環境安全教育 | 労働安全を含めた環境安全全般についてのオンライン講義およびテスト | 190 | |
| 課長安全教育 | 労働安全を含めた環境安全全般についてのオンライン講義およびテスト | 78 | |
| テーマ別 | 部課長向け機械安全研修 | マネジメント層を対象に機械安全の必要性および管理者の責務の理解を目的としたオンライン講義 | 93 |
| スタッフ向け機械安全研修 | 機械安全に関するリスクアセスメントやリスク低減の習得を目的とした研修 | 112 | |
| 化学物質リスクアセスメント研修 | 化学物質リスクアセスメントの習得を目的とした実務者向けのオンライン研修 | 94 | |
| 熱中症講座 | 現場管理者向けのオンライン講座およびアーカイブ配信 | 392 |
労働災害情報の共有と活用
労働災害が発生した事業所では原因究明と再発防止対策を行います。当社グループ内ではすべての労働災害情報をデータベース化して共有し、安全教育や事例検討、類似災害防止などに活用しています。
また、安全活動により効果的に役立てられるよう、データベースのダッシュボード化も推進しています。
労働災害発生状況
当社グループでは、労働災害の発生状況を度数率・強度率などの指標で継続的に把握するとともに、その低減に努めています。
その結果、労働災害休業度数率および強度率は、厚生労働省が公表する業界平均を下回る水準で推移しています。
過去5年間の国内、海外それぞれにおける旭化成グループおよび協力会社の従業員の休業災害件数を下表に示します。これら休業災害には、前記のLSAに違反する行為、具体的にはルール不遵守による機械挟まれ・巻き込まれや、墜落制止用器具(安全帯)の未着用による転落事故なども含まれます。LSA活動を軸とした安全活動を国内の従業員のみならず海外の従業員および協力会社の従業員への啓発を進め、継続的な安全活動を推進しています。休業災害件数に続き、国内グループ従業員の休業度数率、強度率を示します。
2025年度において、当社グループでは、従業員の死亡または重大な負傷に至る労働災害は発生していません。当社では、万一重大な事故や事象が発生した場合には、速やかに事実関係を確認し、原因調査および再発防止策の検討を行うとともに、その結果を関係部門・事業所に共有し、グループ全体での再発防止に取り組む体制を構築しています。
休業災害件数
| 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 国内グループ従業員 | 22 | 12 | 20 | 18 | 17 |
| 国内協力会社 | 14 | 13 | 14 | 29 | 18 |
| 海外グループ従業員 | 18 | 13 | 14 | 13 | 8 |
| 海外協力会社 | 1 | 3 | 2 | 6 | 2 |
グループ休業度数率(%)※1
グループ強度率(%)※2
- ※1
休業度数率
労働災害の発生率を表す安全指標の一つで、次の式で算出されます。[休業度数率=休業災害被災者数÷延べ労働時間×100万時間]
休業度数率0.1以下というのは、例えば、工場の従業員が100名であれば、50年間に1名しか休業災害を起こさないという、休業災害の発生頻度が極めて低い水準を示します。 - ※2 強度率 労働災害の軽重を表す安全指標の一つで、次の式で算出されます。[強度率=労働損失日数÷延べ労働時間×1,000時間]
安全に関する取引先のリスク評価
当社グループでは、安全衛生についての内容を含むサプライヤー行動規範を策定し、お取引先に同意を求めています。新規お取引先との取引開始時には、購買方針に基づく事前審査で評価を行った上で、取引可否を判断しています。
健康経営方針
企業価値を持続的に向上させていくには、「人財がすべて」であり、従業員一人ひとりが心身ともに健康で最大限に能力を発揮できる環境を整備することが、ますます重要になっています。
当社グループでは、従来の環境安全・品質保証活動の一環である健康管理をさらに発展させ、従業員の健康を全社的な経営課題と位置づけています。グループの「健康経営宣言」のもと、「グループ健康経営ビジョン」に基づき、「健康経営※」をさらに推進していきます。
現在、健康経営の中期目標達成に向けた各施策のPDCAを実施する中で、最重要課題である「メンタルヘルス不調」の対策を一段と強化しています。さらに健康経営を推進する上で解決したい経営上の課題に対して健康経営目標項目を設定し、項目ごとに対策を講じ、従業員が身体的、精神的、そして社会的にも良好で幸福な状態を目指す「Well-being経営」を推進していきます。
- ※「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
【健康経営宣言】
旭化成グループは、私たちの強みである「多様性と変革力」を武器に「持続可能な社会」の実現に貢献し、「企業価値の持続的向上」を追求しています。この実現には、「人財」がすべてだと考えます。
従業員が心身共に健康で、皆が活躍できる環境を会社として整備することが今後、ますます重要になっていきます。これまで展開してきた健康保持・増進の取り組みをさらに発展させた「健康経営」を、「グループ健康経営ビジョン」を掲げて推進することを宣言します。
2020年10月 旭化成株式会社
【グループ健康経営ビジョン】
健康経営ビジョン
旭化成グループは、「一人ひとりの活躍・成長」と「グループの生産性向上・発展」を通じて、さらに「持続可能な社会」の実現に貢献します。そのため会社は、従業員と家族が心身共に健康で、従業員の働きがいと生きがいを高めていきます。
行動指針
- ①会社は、健康保険組合・労働組合と連携し、従業員一人ひとりへの継続的な支援のみならず、職場ごとの活動、旭化成グループ全体の環境整備や従業員を支える家族の健康保持・増進等、各種活動に取り組んでいきます。
- ②また、一人ひとりが、それぞれの人生を豊かにするために、健康づくりの主体は自分自身であるという自覚をもつことも大事であり、そのための支援も実施します。
健康経営推進体制
2020年1月に健康経営推進室を設置し、2021年4月には国内9つの主要拠点の健康管理センターを本社の健康経営推進室の所属としました。これにより、健康関連業務の標準化とグループ全体での最適化を進めるとともに、拠点間の連携強化や共通課題への迅速な対応を可能とし、健康経営を一元的に推進する体制を構築しています。さらに、2022年4月からは、国内の小規模事業所および関係会社にも展開しグループ全体での取り組みを拡大しています。
また、社長の主導のもと、健康経営担当役員(CHO)が管掌する体制を整備し、経営主導で健康経営を推進しています。健康経営推進委員会では、企業価値向上を目的とした方針の策定やKPIの設定・見直しを行い、健康経営推進室がその計画立案から実行、進捗管理までを担っています。さらに、労働組合や健康保険組合と連携し、環境安全部門および人事部門など関係部署と協働することで、従業員の健康保持・増進を通じた持続可能な成長を目指しています。
健康経営推進体制
健康経営の目的
従業員とその家族の心身の健康保持・増進を基盤とし、「一人ひとりの活躍・成長」「働きがい・生きがい向上」「活気あふれる強い組織風土づくり」が相互に作用することで、組織および個人のパフォーマンス向上を通じて「従業員のWell-beingの実現」および「グループの生産性向上・発展」につなげていきます。
その結果として、“持続可能な社会への貢献” と “持続的な企業価値向上” の2つの「サステナビリティ」の好循環を実現することを目的としています。
健康経営の全体像
健康経営戦略マップ
当社では、健康経営を推進するにあたり、経営課題の解決に向けて、どのような投資や施策がどのような効果につながるのかを明確にすることが重要であると考えています。そこで、健康経営戦略マップを策定し、各施策の目的、期待される成果、および具体的な取り組みとの関係性を可視化しています。
本マップでは、従業員の活躍・成長機会の創出や個人・組織の活性化、さらには睡眠の質・量の向上などの重点施策を柱とし、健康保持・増進を基盤としたWell-beingの実現と、それを通じた生産性向上の両立を目指す道筋を示しています。また、本マップを通じて、健康経営の取り組みがどのように企業価値向上につながるかを体系的に整理し、社内外のステークホルダーに対する説明責任の強化にも活用しています。
健康経営目標(重点施策)
健康経営の目的を達成するためには、「従業員の活躍・成長機会の創出」および「個人・組織の活性化」が重要であると考えています。
「従業員の活躍・成長機会の創出」に向けては、休業日数の削減を通じたアブセンティーズムの改善に取り組みます。あわせて、「個人・組織の活性化」を推進することで、従業員一人ひとりがより高いパフォーマンスを発揮できる環境づくりを進めていきます。
また、生産性向上の観点から「プレゼンティーズム」に大きく影響するとされる「睡眠」の質・量の向上にも取り組みます。
これらを踏まえ、当社グループでは、①従業員の活躍・成長機会の創出(休業率:アブセンティーズムの改善=メンタルヘルス不調、生活習慣病重症者、メタボリックシンドローム該当者、がん、喫煙への対策)、②睡眠の質・量の向上(プレゼンティーズムの改善)、③個人・組織の活性化(ワーク・エンゲージメントの向上)を、主要な健康経営目標の項目に設定しています。
③個人・組織の活性化(ワーク・エンゲージメントの向上)に関しては、従業員自身のストレス状況への気づきを促し、メンタルヘルス不調のリスク低減を図る一次予防を目的として、毎年7月にストレスチェックを実施しています。さらに、各職場のワーク・エンゲージメントである「熱意」・「没頭」・「活力」を詳細に分析・可視化できる「KSA(活力と成長アセスメント)」を2020年度に導入しました。KSAは、①上司・部下の関係、職場環境、②活力、③成長につながる行動の3つの指標に基づき、各職場の状態を定量的に把握するものです。
現在は「ストレスチェック」と「KSA」の分析結果を組み合わせて活用し、各職場におけるマネジメントの取り組みの可視化や、従業員同士の対話を通じた課題共有を進めることで、さらなるワーク・エンゲージメントの向上につなげています。
主要な健康経営目標の項目
| 項目 | 実績 | 目標 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | 2026 | 2027 | |||
| 休業率(アブセンティーズム)の改善 | メンタルヘルス不調による休業者率(%)※1 | 1.00 | 1.07 | 1.16 | 1.20 | 1.44 | 1.10 | 1.00 | |
| 生活習慣病重症者率(%)※2 | 10.7 | 10.7 | 9.9 | 10.0 | 8.3 | 8.2 | 7.8 | ||
| メタボリックシンドローム該当者率(%) | 11.1 | 10.7 | 10.8 | 11.0 | 11.2 | 10.8 | 10.6 | ||
| がん検診受診率60%達成地区の割合(%) | 肺がん | ― | ― | ― | ― | 100 | 100 | 100 | |
| 胃がん | ― | ― | ― | ― | 57.9 | 65.1 | 100 | ||
| 大腸がん | ― | ― | ― | ― | 89.5 | 93.0 | 100 | ||
| 乳がん | ― | ― | ― | ― | 78.9 | 67.4 | 100 | ||
| 子宮頸がん | ― | ― | ― | ― | 44.7 | 53.5 | 100 | ||
| がん1件あたりの休業日数(日) | 87.5 | 88.6 | 67.3 | 82.7 | ― | ― | ― | ||
| 喫煙率(%) | 23.5 | 22.5 | 21.8 | 20.2 | 19.5 | 18.6 | 16.6 | ||
| プレゼンティーズムの改善 | 睡眠で休養が十分取れていない者の割合 | 27.2 | 28.0 | 28.5 | 29.8 | 29.5 | 29.0 | 28.0 | |
| ワーク・エンゲージメントの向上 | 活力(エンゲージメント)※3 | 3.54 | 3.54 | 3.55 | 3.57 | 3.59 | ― | ― | |
- ※対象範囲旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ホームズ、旭化成建材、旭化成セラピューティクス、旭化成ライフサイエンス(2025年3月までは旭化成メディカル)および一部関係会社
- ※1年度内で連続30日以上休業している人数の割合
- ※2自社基準に基づき選定
- ※31~5の5段階から回答
- ※4がんに関するKPIについては、2025年度より指標の見直しを行い、従来の「がん1件あたりの休業日数」に加えて、より実態に即した管理を行うため、「5大がんの検診受診率が60%を達成している地区の割合」を新たな指標として設定しました。これにより、がんの早期発見・早期対応に向けた取り組みを一層強化しています。
具体的な取り組み
メンタルヘルスケアの推進
当社グループでは「メンタルヘルスケア・ガイドライン」に基づき、メンタルヘルス不調による休業者率低減に取り組んでいます。メンタルヘルス不調による休業者数の低減を目的に、休業に至った原因を産業保健スタッフによる面談結果をもとに、直接要因および背景要因を整理し、寄与度の観点から分析を行っています。また、これらの分析結果を地区単位で把握するとともに全社集約し、職種や職階などの多様な切り口から横断的に分析しています。その結果を全社で共有し、課題に応じた対策の検討・実施につなげています。
① セルフケア対策
ストレスやメンタルヘルス不調への対処方法などへの理解を促すため、メンタルヘルスに関する研修を実施しています。2023年からは、旭化成グループ国内の全従業員約3万人を対象に、毎年セルフケア教育を実施しています。受講率は95.5%と高い水準となっています。また教育受講後には、受講から3カ月後に行動変容に関するアンケートを実施しており、自身の行動や生活習慣を見直した人の割合は97.2%に達しました。これらを通じて、理解度の定着や実践状況を確認することで、施策の実効性の把握と改善につなげています。
② ラインによるケア
ラインによるケアの一環として、ストレスチェックの組織分析結果を活用した職場環境の改善や、管理職向け研修の実施などを通じて、職場環境の改善につなげています。人事部門、産業保健スタッフ、労働組合とも連携しながら、ストレスチェックとKSAの分析結果を組み合わせて活用したワークショップを実施し、職場単位での課題共有と改善活動につなげています。
③ 産業保健スタッフなどによるケア
環境の変化があった後の生活や仕事への適応状況を確認し、不調の兆候がある従業員に対して早期に対応することで、重症化を予防することを目的に、「異動者等フォローアップ」を実施しています。
異動者等フォローアップは、異動者および新入社員に対し、アンケートや面談により本人の健康状態、新たな業務や生活環境への適応状況を確認し、必要に応じて早期に介入しています。また、必要に応じて結果を職場にフィードバックすることでメンタルヘルス不調の予防につながる職場づくりの支援にも活用しています。2024年度より全社への展開を開始し、異動者へのフォロー実施率は99.3%となりました。今後は、こうした取り組みによる早期フォローの効果を検証し、さらなる施策の高度化につなげていきます。
④ 専門機関によるケア
メンタルヘルス不調により休業した従業員が、円滑に職場復帰できるよう「リハビリ勤務制度」を整備するとともにリワークプログラムの活用を進めています。さらに、外部講師による研修やカウンセリングの導入など、外部専門機関と連携した支援を実施し、従業員の早期回復および再発防止に取り組んでいます。
がんへの取り組み
① がんに対するリテラシー向上のための教育を実施
従業員のがんに対する正しい知識の習得を促し、がんの予防につながる生活習慣の改善や早期発見・早期治療にむけたがん検診受診率の向上を図るため、旭化成グループの国内の全従業員を対象に、「がん予防と両立支援」に関する教育・情報発信を継続的に実施しています。
また、全社セミナーでは、がん検診受診率向上に向けた啓発に加え、がん罹患経験者(がんサバイバー)やその上司へのインタビューなどを組み合わせた複数回の企画として実施し、がんに関する理解促進と行動変容の促進を図っています。セミナー動画はアーカイブ配信を行い、継続的に視聴できる環境を整備しています。延べ1,160名が視聴し、満足度は94%と高い評価でした。
さらに、社内報や社内ウェブ媒体を活用した情報発信にも取り組み、がん検診の重要性や受診行動の促進に向けた継続的な啓発を実施しています。
加えて、各地区においては、製造所などへ講師を派遣した対面型セミナーも実施しており、地域特性や職場環境に応じたきめ細かな教育機会の提供を行っています。
② がん検診受診奨励
定期健康診断・人間ドックにおいて、がん検診受診を奨励するとともに、費用補助を実施しています。そのほか、がんに罹患した場合の治療を支援する制度や、復職時に働きやすい環境を整える社内制度について周知を行い、治療と仕事の両立支援の充実を図っています。
また、がん検診受診率の向上に向けて、地区別の受診率の差異に着目し、受診率が高い地区および低い地区の取り組み状況や課題について実態調査を実施しています。受診機会の確保、勤務制度、職場での啓発状況などの観点から要因分析を行い、好事例の横展開や課題への対応策の検討につなげています。
さらに、2026年2月には、がん検診未受診者を対象としたアンケートを実施し、自治体検診の利用状況や未受診の理由について把握を進めています。現在、この結果について地区別・年代別・性別・勤務形態別などの観点から詳細に分析を行い、受診行動に至らない要因の特定と、それに基づく施策の高度化を進めています。
生活習慣病重症者、メタボリックシンドローム該当者への取り組み
当社グループでは、従業員の健康保持・増進のため、生活習慣病の予防および重症化防止に向けた取り組みを推進しています。
① 特定保健指導とスリムアップ事業
当社グループは特定保健指導に関する全社方針として、受診できない合理的な理由がある場合を除き、原則として受診する方針としており、就業時間内での受診を可能とするなど、受診しやすい環境の整備を進めています。 また、従来は対象外であった従業員にも対象を拡大した「スリムアップチャレンジ」を実施し、生活習慣病の予防を目的とした早期段階からの介入に取り組んでいます。
② 運動機会の創出・運動習慣の定着
当社グループでは、従業員の健康保持・増進および生活習慣病予防を目的として、運動機会の創出と運動習慣の定着に向けた取り組みを推進しています。
具体的には、製造拠点ごとにウォーキングイベントの開催や体力測定会を毎年実施し、従業員の体力の経年変化を把握するとともに、運動への関心向上を図っています。また、自宅や職場など場所を問わず実施できるエクササイズ動画を社内ウェブサイトに掲載し、日常的に運動に取り組みやすい環境を整備しています。
さらに、各拠点においては、これらの取り組みに加え、運動習慣の定着に向けた自律的な工夫も行われています。ウォーキングアプリを活用した歩数の可視化や継続的な記録を通じて、行動変容や健康意識の向上を促進するとともに、参加者同士のコミュニケーション活性化にもつなげています。また、一部の拠点では、製造所内でクイズを探しながら歩く「謎とき健幸ウォーク」を実施するなど、楽しみながら運動量を増やす取り組みも展開しています。
旭化成柔道部作成のストレッチ動画
食育の推進
当社グループでは、食生活の改善による健康増進を目的として、野菜摂取の促進を中心とした取り組みや、日常的に実践しやすい食生活改善支援を行っています。
具体的には、外部企業との協働により、新入社員を対象とした野菜摂取促進プログラムを実施しており、野菜スムージーの提供やリーフレット配布、動画による教育などを通じて、野菜摂取の重要性と実践方法の理解促進を図っています。
また、社内ウェブサイト上に「食生活改善の部屋」を設け、食生活改善に関する基礎知識や、手軽に実践できる高たんぱく・低カロリーのメニューなどを定期的に発信しています。これにより、日常生活の中で継続しやすい食習慣の定着を支援しています。
さらに、拠点ごとの取り組みやデジタルツールを活用した情報発信により、従業員の健康意識の向上と行動変容を促進しています。
喫煙率低下への取り組み
喫煙者の禁煙をサポートするとともに、従業員の望まない受動喫煙を防止することを基本的な考え方として掲げ、「旭化成グループ禁煙方針」に基づき、2024年4月から就業時間内全面禁煙、そして2025年4月より敷地内全面禁煙および宴席中禁煙※となりました。
喫煙者の禁煙をサポートするため、「禁煙プログラム」の導入や禁煙セミナーの開催など、禁煙支援施策の充実を図っています。
- ※宴席中禁煙会食場所を離れて喫煙し、その後会食場所に戻ることも禁止すること。
睡眠改善プログラムの実施
睡眠の質・量が、メンタルヘルス不調に続くプレゼンティーズムの大きな要因と考えられていることから、当社グループでは睡眠の質・量の改善に向けた「睡眠対策確立プロジェクト」を立ち上げ、取り組みを推進しています。
睡眠対策確立プロジェクトでは睡眠改善プログラムを実施し、その結果、参加者の80%に改善が認められるなど一定の効果が確認されており、継続的に取り組みを実施しています。特に交代勤務者の睡眠を重要な課題と捉え、交代勤務者向けの動画を作成し、研修カリキュラムに組み込むことで、勤務形態に応じた対策の強化を図っています。さらに2025年6月より、睡眠に関する全社アンケートを実施し、従業員の睡眠実態の把握と課題の可視化を進めています。今後は分析結果を踏まえた施策の見直し・高度化につなげていきます。
健康経営に関する教育
当社グループでは、従業員の健康経営のための知識・スキル習得を支援するために、各層の業務役割を踏まえたさまざまな教育を実施しています。
| 研修 | 形態 | 目的 | 2025年度 受講者数 |
|
|---|---|---|---|---|
| 階層別研修 | 新入社員研修 | eラーニング 対面研修 |
社会人としての健康に関する基本的な考え方の理解、心身のセルフコンディショニングへの取り組み、有害物を取り扱う際の注意点、および必要な社内ルールなどの習得 | 246名 |
| 新任係長クラス研修 | eラーニング | 仕事と健康の基本的な考え方、健康管理における会社および従業員の責務 | 321名 | |
| 新任経営管理職研修 | eラーニング | 健康管理業務のうち、現場管理に必要な有害業務・職業性疾病予防、当社グループの健康経営の全体像および健康経営の重要性の理解 | 313名 | |
| 課長環境安全教育 | オンライン | 製造現場における有害物取扱業務のマネジメント | 79名 | |
| 目的別研修 | eラーニング | メンタルヘルスセルフケア | 28,205名(95.9%※) |
- ※受講対象者のうち、受講者数の割合(%)
重点施策以外の取り組み
女性の健康施策
健康課題の有無にかかわらず、女性が妊娠・出産、育児などのライフイベントを通じて働き続け、その能力を発揮するためには、女性の健康支援が重要であると考えています。
女性の健康リテラシー向上を目的とした情報発信や「働く女性の健康」に関する教育コンテンツを作成し、社内イントラネットに掲載しています。
2025年大阪・関西万博会場 ウーマンズパビリオンin collaboration with Cartier「WA」スペースにて、“女性のエンパワーメントに未来のヘルスケアはどう貢献できるのか”をテーマに、「地球女性からだ会議2025」が開催され、旭化成グループは“優秀賞”を受賞しました。
海外勤務者への健康管理の対応
当社グループでは、グローバル展開に伴い増加する海外勤務者に対し、赴任前・赴任中・帰任後の各段階に応じた一貫した健康管理体制を整備しています。
赴任前には、健康診断や予防接種、健康教育を実施し、赴任中は年1回の健康診断に加えストレスチェックや健康調査票を活用した健康状態の把握を行っています。これらの結果に基づき、必要に応じて産業医によるウェブ面談を実施しています。
また、帰任後には本人および帯同家族への健康診断を実施するほか、長時間労働が疑われる場合には別途フォローを行うなど、個々の状況に応じた対応を行っています。
さらに、海外勤務者には健康便りを定期的に配信し、健診結果や生活習慣に関する情報提供を行うとともに、健康相談にも対応しています。
外部機関による活動の評価・顕彰
健康経営優良法人2026(大規模法人部門)ホワイト500に認定
経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)ホワイト500」に4年連続認定されました。健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している法人等を顕彰するものです。

スポーツエールカンパニー2026に認定
スポーツ庁より「スポーツエールカンパニー2026」に認定されました。この制度は、「働き盛り世代」のスポーツ実施を促進し、スポーツに対する社会的機運の醸成を図ることを目的として、従業員の健康増進のためにスポーツ活動の促進に積極的な取り組みを行っている企業を認定するものです。当社は、エクササイズ動画の配信、運動施設の提供、各事業所のウォーキングイベントの開催が評価されました。

食育実践優良法人2026に認定
農林水産省が実施する「食育実践優良法人顕彰制度」において、当社グループの取り組みが評価され、初めて認定されました。本制度は、従業員の健康保持・増進に向けた食育の取り組みを推進し、優れた実践を行っている法人を顕彰するものです。





